現役高校生が援助交際始めてみた9
これにて完結となります。どうかご拝読ください
「それで、中田殿、あなた様はわたくしめに一体全体何をご教授していただけるのですか」
「とりあえず、言葉遣いはいつもの通りでいいよ、城島。正直言って気持ち悪い」
「そうかい。じゃあ中田、さっそく頼むよ」
「はいはい。で、まず第一にね、僕たち二人は未成年だよね、普通に小学校中学校と日本国内で義務教育を修了してそのまま高校に入学したから別に浪人とかしてないわけだし、留年もしてないだろう。それに、ここは定時制高校でもないから僕たちが社会人学生であるわけでもないからね」
「まあそうだね」
「そしてね、未成年が行った契約は取り消すことができるというふうになっているんだよ。未成年というのはだね、城島、君みたいにいろいろ未熟だからね法律で保護されているんだ」
「俺、未熟なの?」
「大いにね。それにこの契約書だけどね、これも全然だめだよ。なんだいこいつは。契約日時も、返済期日も、どうやって返済するかも遅れた場合どうするかも書かれていない。こんなものまるで話にならないよ」
「話になりませんか、先生」
「全然だめだね。ついでに言うと一八歳未満の男女との性行為は青少年育成条例で禁じられている。僕たちは一六歳だからね、まあ条例だから都道府県によって差はあるけれどね、僕の知る限り、日本全国津々浦々で一六歳の男の子との性行為をするという契約自体無効となるんじゃあないかな。いいかい、一八歳未満だよ。城島、君が一八歳になってもまだ高校生ということは現実問題としてあり得るけれども、そうなったときには注意したほうがいい」
「了解であります、教官殿」
「重要なのは、法律の知識を持つことも大事だけれども、その場の雰囲気に流されないことだね。城島、実際どうだった? 僕が君を脅迫したとき、君は冷静でいられたかい?」
「正直混乱して訳が分からなかったよ」
「だろう。詐欺というのはだね、後から考えればどうしてあんな内容で騙されたんだろう、と思ってしまうものなのさ。一流の詐欺というのは理屈もそうだが、被害者がそう行動せずにはいられないその場のムードを作り出している、ともいえるね」
「大変参考になりました、お師匠様」
「じゃあ今日はこれくらいにして帰ろうか、城島」
「ありがとう、中田。俺、お前が友達でよかったよ」
「あんまり褒めないでくれよ。照れるじゃあないか」
こうして城島と中田は二人仲良く家路についたのでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さん詐欺には気を付けましょう。