現役高校生が援助交際始めてみた6
「中田、見込んだってねえ、何を、どう見込んだかは聞きたくもないけれどね。じゃあ、ハイ五千万円、握手して」
「はいよ、いつも応援ありがとうございますってね。じゃあ城島、五千万円で一つ歌を歌ってよ」
「ラー、ラー、ラ、これでいいかい、中田。そんで持って五千万円払うからね、踊りでも見せてもらおうかな」
「お安い御用だ、ブロードウェイからお呼びが来ちゃうかもしれないね。これでいいかい、城島。またまた五千万円だ。今度はサインでもしてもらおうかな」
「へいへい、さらさらっとね。ねえ、中田、いいかげんやめにしようよ。五千万円払うからさ」
「何だ、辞めることが五千万円の対価かい? 構わないよ。じゃあこれで援助交際は終わりにしようとするかね」
「なんだ、ずいぶんあっさりと了承するじゃあないか。てっきりもっと続けたいってわがまま言うものとばかり思ったんだけどね」
「まあ城島がそう言うならね。それはそれでいいってものさ」
「じゃあこれで、このふざけたビジネスとやらは終了ってことなんだね」
「ところが、そうは問屋が卸さないんだなあ」
「何のことだい、中田。俺たち二人の間の取引には問屋なんて仲介業者はなかったじゃあないか。売り手と買い手との直接取引だっただろう」
「まぜっかえすなよ、城島。問屋が卸す卸さないというのは一つの慣用表現だよ。つまり例えだね。そうじゃあなくてね、この取引はだね、君が五千円を払うから、まあ実際には払っていないけれども、そして僕がサービスを提供する、具体的には笑顔を見せたわけだけど、そういう形で始まったよね」
「ああ、そうだったとも」
「その後しばらくお互いにサービスを提供しあった後に、城島、君が五千万円を払うからこのビジネスをお仕舞いにしようってことになった、ということは間違いないよね」
「ああ、だからこれでやめ、になるんじゃあないのかい」
「違うよ、よく考えてごらんよ、城島。最後に君が払うといった五千万円だけどね、その後に僕は君に五千万円提供するから何かサービスしてくれとは求めてないんだなあ。つまり、城島君、君はこの僕、つまり中田に五千万円の借りがあるということになるんだ。最後だけは五千万円が往復せずに君から僕への一方通行で終わったことになる。で、その五千万円は実際のところは払われていないんだ。ということで、僕は君に五千万円を請求するよ」