現役高校生が援助交際始めてみた5
「すけべな男の子って、中田。そりゃあ否定はしないけどさあ」
「まあまあ、城島。話を聞けって。それでだね、例えば君がだね、『俺、年商三百六十五億円なんだ。ビッグマネーを右から左に動かしちゃってるんだぜ』なんてことを言えばだね、離婚裁判で慰謝料をふんだくることしか考えてないような頭も尻も軽そうな女がだね、いくらでも自分から股を開いて飛んでくるっていう寸法さ。奴らは年商が巨額ってことだけで色めき立つからね、それで実際にはいくら儲けているか、利益がいかほどかなんてまるで頭が回らないのさ。頭が軽いのに回らないとはこいつは愉快だね」
「中田、お前何か女に怨みでもありゃあしないだろうね」
「女に恨みなんてないよ。特段興味がないってだけさ」
「そうなのかあ。べつに中田がそれでいいなら構わないけどさ」
「そう、それでいいのさ。じゃ、城島、早速致そうじゃあないか」
「致すって、何を?」
「だからさっきから言ってるじゃあないか。城島、僕を五千万円で買ってくれよ」
「だから嫌だってば」
「それじゃあ、僕が五千万円で売ろうか? 二つに一つだよ」
「だから何で俺とお前が売買契約をすることが前提になっちまってるんだよ。ああ、くどいね、わかったよ。もう面倒臭いや。中田、お前を五千万円で買うよ。だからサービスしてくれよ。サービス内容は、そうだね、笑って見せてくれればそれでいいや」
「笑顔かい。何だ、そんなものでいいのかい。欲のないお人だねえ。はい、百万ドルの笑顔だよ」
「まあ、五千万円分の価値ある笑顔じゃないとこちらとしても困るんだけどね、ええと、いま一ドルいくらだったっけ、まあどうでもいいや」
「じゃあ、城島、五千万円払うからさ、そうだね、手でも振ってもらおうじゃあないか」
「はいはい、わかったよ。ばいばい、これでいいかい、じゃあさようなら」
「いや、違うよ、城島。そういうことじゃあないよ。手を振ることが別れの挨拶とは限らないだろう」
「何だよ、中田。さっき一晩一往復って言ったじゃあないか。もうこれっきりにしてくれよ」
「あれは仮定の話だよ。だいたいまだ日は高いよ。二人の夜は始まってもいないよ」
「夜は俺たち二人だけのものじゃあないよ。気持ち悪いこと言わないでほしいなあ。しかしお前もしつこいね。いいよいいよ、続ければいいんだろう」
「そうこなくっちゃあ、城島。それでこそ僕が見込んだ男ってものだ」