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春、きらり  作者: 如月 蝶妃
第2章 文化祭
9/32

ギャップ

演目決めから数日後の土曜日。


部活動は午前のみのところが多いため、第1回、メイク、衣装リハーサルが午後から行われる。




女子5人で午前中は、メイク道具の買い出しに出かけた、ひきずるキャリーケースの中には、家から持ち寄った浴衣と、男子がきれそうな、ゆったりめのワンピースなどが入っている。


百均でコスメを大量に買い込んで、ランチを楽しんだ。





教室へつくと、パラパラと人が集まっていた。


今日は裏方の出番はないから、出演者と女子のみが集合する。


教室に少人数で集まっている特別感がお祭りに向かっていることを実感させてくれる。



陸上部はミーティングが長引いたようで最後に教室にやってきた。


大貴は出演者ではないが、内山くんについてきて、リハーサルを見るようだ。



陸上部の子達は、教室の隅でお弁当を食べ始めた。







とりあえず、出来る所からリハーサルが開始された。


私と佳代の着付けの目安時間を図るため、浴衣組への着付け時間を計測することに。


作り帯を持参してきているので、さほど時間はかからなかった。


女子っぽさをだすために、胸にはタオルを入れて、腰にもタオルを巻いて丸みを出した。


浴衣を着た男子たちは口々に暑い、きついだの不満を漏らしていた。


文句を言いながら、浴衣組はメイクリハーサルへ進んでいく。


私と佳代は担当の着付けを終えた。



練習すればもっと時間は縮められそうだ。


次にチャイナドレス組が衣装を着替え終わって現れた。


メイク担当の3人が浴衣組とメイク打ち合わせ中なので、私と佳代がチャイナドレス組の打ち合わせをする。


その時、教室の隅でご飯を食べている陸上部が目に止まった。


部活着のままだった陸上部は、タンクトップを着ていた。



ほんわか内山くんの肩幅が想像よりもずっとずっと大きくて、ビックリした。

腕にも筋肉がすごく着いていて、胸板も厚い。


うそ。



一人、ぽかんとしていると、チャイナドレス組に急かされた。



お笑い担当なので、思いっきりファンデーションで肌を白くして、ピンクのチークを濃く濃く塗りたくる。口紅も赤く。バッチバッチのつけまつげに大袈裟なアイラインを引いた。


もともと、顔が濃い人が多いチャイナドレス組は見事な仕上がりだった。


鏡を見て、みなが笑いあっていた。




メイクが決定した人達の写真を撮って、保存しておく。


私服、パジャマ組もそれぞれの衣装が決まり登場した。


私と佳代はパジャマ組を担当して、メイク打ち合わせに入る。


パジャマなので、メイクは薄め。


ヘアバンドをしたり、小物で可愛さを出して、メイクはベースメイクのみを行うこととなった。



あっという間にパジャマ組のメイクが完成。



そして、制服組が着替えて登場した。



内山くんが私の所にやってきた。



「斎藤さん。空いてるなら、お願いしていい?」



「あ、うん。」


間近で見る内山くん。



これぞ、ギャップだな。



マジマジと内山くんを見つめる私。



「スカート後3センチ短くして。

ソックスは、ニーハイあげるから、こっちにして。膝小僧隠さないと、男感がすごい。」


「ブラウスは肘下まで折りたたんで。手首がごついから、はいこれ。」

私が付けていたシュシュを手首にはめる。


それから、ブラウスのボタンもう1つあけて。




次々に内山くんへ指示を出して、整えて貰う。


周りの男子から歓声があがった。





すげーー。

一気に可愛くなった!


内山!ちょっと内股にしてみろよ!



素直に従う内山くん。


うお!可愛い!



絶対領域ってやつ?


内山、以外とごつくてどうしようかと思ったけど、いけるぞこれ!




内山くんも、嬉しそうに笑っている。


次はヘアメイクの打ち合わせ。



顔を眺めて、また固まる。


肌きれー。まつ毛ながー。



感嘆する私。



「あ、ごめん。俺、めっちゃ焼けてるよね。」


「あ、ちが。あんまり肌が綺麗で羨ましくて。」



健康的な感じに焼けてていい感じだから、このまま活かそっか。



そう声をかけて、簡単にベースメイクを施す。


つけまつげは怖いと言って、嫌がる男子が多くてマスカラのみの人も多い中、内山くんは大丈夫!斎藤さんに任せた!と、了承してくれた。


綺麗な二重。


つけまつげをつけて、瞬きを繰り返す内山くんを見つめる。




内山くんがふいと顔を逸らした。


「斎藤さん。見つめすぎ。照れるから。」



「あ、ごめん。」


ほんのり、赤らんだ内山くんがたまらなく可愛く見えた。


リップはオレンジ。




内山くんは、男の子にしては髪も長い方なので、ウィッグは被らずに地毛で行くことにした。


女の子風にヘアセットを行うと、見違える内山くんがそこにいた。



私は、パシャパシャと何枚も内山くんの写真を撮った。




内山くんの完成体はクラス内の評判も高く、急遽内山くんの宣伝隊でまわる回数を増やすことになった。

内山くんは、笑顔で了承していた。



「斎藤さん。俺、本番も斎藤さんに、ヘアメイクして欲しいんだけど。」


クラスのみんなも、斎藤さんがやってあげて!と、盛り上がる。



私は、着付けとパジャマ組の子一人と、内山くんの担当になった。

手があけば他の子の手伝いにまわる感じだ。



今日は、ここまでとなった。



来週は、裏方も招集して舞台セッティングと、ショーの動き確認をすることになった。




内山くんのメイクオフをしている時に、聞いてみた。


内山くん、志願組じゃないのに凄いやる気だね。


「やるって決めたからには、俺、本気だよ!だから、斎藤さんも本気で俺のこと可愛くして?」


ニカッと笑う内山くん。


メイクオフして、ブラウスを脱ぐと逞しい内山くんの体。


思わず私は呟いた。


「内山くん。筋肉凄いんだね。」


「ああ。ま、鍛えてるし!」


力結構あるんだよ。



こぶを作って見せてくれる内山くん。





「だから、何か困ったことあったら、頼ってくれてもいいよ。守ってあげられるくらいには、強いよ?」


あははと笑って誤魔化したけど、これは所謂ギャップ萌え?





私に、そんな趣味があったなんて知らなかった。





メイクオフしている間に大貴は帰っていったそうだ。


まだいたら、一緒に帰ろうと誘ってみようかと思ったけれど。





私は結局、佳代と教室を後にした。


佳代に内山くんのギャップの話をすると、腹を抱えて笑ってた。



普通に体操服の時とか筋肉あるなぁって、私思ってたよ。と、佳代が笑う。


「もしかして私。ちゃんと内山くんのこと見てなかったんかな?」


「さあ?でも、井上くん以外の男の子にも、色々興味出てきたのは、いい事なんじゃない?男の子は井上くん以外にもたくさんいるんだからさ。」



そうか。


物心ついた頃から1番傍には大貴がいて。


私の中の男の子の基準は全部大貴だった。


大貴しか知らなかったし、見てもなかったんだな。



高校生になって、そんなことに気付いた。




あれ?

それじゃ、桜木先輩にドキドキしたのは、大貴以外の男の子と接触したから?



また、頭がこんがらがってきた。

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