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春、きらり  作者: 如月 蝶妃
第2章 文化祭
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演目決め

先輩と連絡先を交換した喜びと、彼女がいる事実を再認識して落ち込む気分と浮き沈みしながら、教室へ辿り着く。


佳代が私の表情を見て、ぷくくと笑った。


「奈美。顔に全部出てる。どんな良い知らせと悪い知らせがあるの?」


ぽかーんと佳代を見ると、もしかして気付いてない?

奈美さ。百面相か!ってくらい、顔に全部書いてあるよ?


思わず、頬に手をあてる。


ま、諦めな。佳代にひとしきり笑われて、人生相談のお礼をして、連絡先を交換したこと。彼女の登場ですごすご退散してきたことを報告した。


「なんか。進展してるんだか。してないんだか。」


本気なら、奪っちゃえば?


軽く言う佳代に、そんなん絶対無理!


私は、勢いよく否定した。



冗談。奈美に出来るわけないって分かるっての。






いつの間にか、澤谷先生が教壇に立って、指揮を取り始めていた。



でかでかと『文化祭』と書かれていた。



2年H組の級長を務めるクラスメートが前に出てきていた。


そこで彼は宣言した。



「我々、H組には代々受け継がれる伝統を継承する必要がある。皆、分かるな?2年H組は女装ファッションショーを開催する!」


その宣言に沸き立つ男子。



ああ、思い出したわ。

去年の文化祭。

この教室で行われていたファッションショーを。


机をくっつけて舞台とみなし、ランウェイする先輩達を。


去年、物理専攻の女子がほとんどいなくH組は男子のみクラス。所謂男クラになっていたのだ。


そんなことを思い出していると、級長と目が合った。


ニヤッと笑って次の言葉を続けた。



「お前達、喜べ!幸いにもこのクラスには、今年は女子がいる!!レベルアップは間違いない!本気で行くぞーー!」


あはは。決定権はないのか。



まあ、でも。

なんか、面白そう。




男子達も盛り上がっているし、他の女の子と目が合ったが、呆れ顔で笑っていた。


否定意見は出ずに、催しは確定した。





では、女子は衣装、メイク係になります。いいですか?

級長に話を振られ、了解でーす!と、口々に、返事を返した。


級長は頷くと黒板に


女子 メイク、衣装


と、達筆に記入する。


続いて、出演者の選定だ。


自薦他薦は問わない!と、級長が宣言すると、次々と手があがる。



自選、他薦に分けて名前が黒板に書かれていく。





他薦の欄に内山くんの名前があがった。



まあ、あのほんわかした雰囲気は、女装したら化けそうだもんな。


他にも、中性的な顔立ちの男の子。

背が高くスタイルの良い男の子。


ウケ狙いの濃い顔揃いの男の子たちが指名される。




他薦組は強制はしないとのことで、やりたいか確認されていく。



内山くんは、やります!と、元気に答えていた。


大貴はちゃっかり裏方に回っていた。





次に、ファッションショーの開催時間が決められた。


1回20分。1日3回。合計6ステージが決定した。



それぞれ、部活やバンドで出られない時間を考えて、出演コマが決まる。


ステージをしない時間は、宣伝隊を出すこととなり、宣伝隊のスケジュールも決まった。


女子は特に部活もバンドもやってないから、全ステージ5人でメイク、衣装を担当することとなった。


合間の宣伝隊の時間が女子の休憩時間となった。




次は、衣装会議。


パジャマ部門。

チャイナドレス部門。

私服部門。

制服部門。

浴衣部門。


5部門に割り振られ、出演者の中で誰がどの衣装が似合いそうか、皆で話し合う。


背の高いスタイルの良い男の子達は浴衣部門に。

チャイナドレスは、お笑い担当組。

制服部門は、流行りのアイドルのダンスをすることになり、ダンスが踊れる男の子達が名乗りをあげた。内山くんは、制服部門となった。

私服、パジャマ部門は残りの人達で割り振った。



浴衣の着付けが出来るのは、私と佳代だけだったので、私と佳代が浴衣の着付けを基本的に担当する。


余った時間でメイクを担当することになった。


リハーサルの時に私と佳代のメイク担当は決まることとなり、会議時間終了。



6限目は、体育祭のメンバー決めが待っている。




うん。なんて楽しい時間。



放課もクラス全体が文化祭の話で持ち切りだ。


基本、衣装は借りなくてはいけないので、中学時代の伝を利用して他校の制服を借りられるように一斉に連絡をする。


浴衣や私服は、私たちが提供するが、サイズが合わない分は、各出演者が知り合いに頼むことになった。


チャイナドレスとパジャマ、メイク道具はお金を出しあって買うことも決定した。






体育祭も、みんなやる気満々で決まっていく。


陸上部の大貴と内山くんは、リレー選手に選ばれていた。


私は、障害物競走に出ることになった。





ウキウキした気分で放課後を迎える。


昇降口へ向かっていると、1年の頃同じクラスで仲良くしていた山口真子と、偶然会った。


お互い今日は予定がないとのことで、私が玲奈と良く行くケーキ屋へ寄り道しようという話になった。


真子との話題も文化祭の話で持ち切りだった。



真子たちのクラスは、女子と男子の割合が半々のため、女子の意見がとおり、ベビーカステラの模擬店をするそうだ。


ドリンクも一緒に販売するらしい。


しかし、女子が多いと話が進まずメニューなど決まっていないことが多いと愚痴を漏らす。


奈美たちは、なんか楽しそうだね。

団結力高そうだし。


と、真子に羨ましがられた。



ほぼ、男クラノリだからね。


と、自嘲ぎみに笑えば。




女子は面倒臭いよ。と、真子の顔が曇る。

どうやら、揉め事が発生したよう。


私も1年の時は男女比5:5の中で過ごしていたので経験がある。



真子の愚痴を聞きながら、ケーキを頬張る。



「私、ファッションショー見に行くね!」


真子が楽しそうに笑った。




真子はクラスの雰囲気に辟易しているようで、奈美と話すと落ち着くから時々寄り道しよーと、懇願してきた。


そんなこと、いつでも誘ってよ!っていうと、にまっと笑ってくれた。


真子は小柄にストレートのロングヘア。二重のくりくりの目が可愛い女の子。


たまに毒を吐くギャップがたまらなく可愛い子だった。




真子との寄り道も楽しそうだな。と、ニコニコしながら帰路についた。

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