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ZERO-DELAY  作者: WE/9
ZERO-DELAY:平凡なリズム

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83/102

同棲生活

今田のマンションの玄関先には、「九条」の文字が入った高級な革のスーツケースがいくつか積まれており、この古いアパートにはひどく不釣り合いに見えた。


「……これが、あんたの言う『少しは片付けた』状態なわけ?」


凛はリビングの中央に立ち、腕を組みながら、つま先で嫌そうに空のカップ麺の容器を蹴飛ばした。今日の彼女はシンプルな白いスポーツタンクトップにホットパンツ姿。黒いキャップを後ろ前に被り、凛々しい額を露わにしているが、眉間の深い皺が、この特級執行官の今の不機嫌さを物語っていた。


「えっ? 前に来た時よりはずっとマシになった方だよ!」今田は箱を運びながら乾いた笑いを浮かべ、額には冷や汗が流れている。「見てよ、せめて床の電線はテープで全部留めておいたから……」


「前に来た時はあんたの看病のためだったから、脳が無駄な情報を自動的にフィルタリングしてただけ。」凛はソファに山積みになった期限切れの少年週刊誌や、テーブルの角に置かれた数日前のゲームディスクを指差した。「でも、これからはここが私の『生活エリア』になる。今田、あんたの生活データはもはや災害レベルよ。この一年間、一体何をやってたの?」


「それは……任務に行って、訓練して、それから読み飛ばしてた連載を消化して……」今田は首をすくめ、声がどんどん小さくなっていく。


「ちっ、分かってたわよ。私が引っ越してこなかったら、あんたはゴミに埋もれて、ZERO-DELAY史上初の『家事無能による死亡』を遂げる特級執行官になってたでしょうね。」


凛は毒づきながらも、手際よく髪を高いポニーテールに結い上げた。袖をまくり、小さなバッグからプロ仕様の低刺激手袋を取り出す。大戦中にバイオハザードの検体を扱うための代物が、今は今田のリビングを攻略するために使われていた。


「おい、モブ先輩。」


「はい!」今田は即座に直立不動になる。


「すべての窓を開けなさい。換気率が40%を切ると私の労働効率に影響が出るわ。」凛はキッチンの方を指差した。「それから、その溜まったコップを全部洗うこと。5分後には水切りラックに整然と並んでいる状態にしなさい。分かった?」


「了解! 彼女様!」今田は叱られながらも、ここを「家」と定めて忙しく立ち働く凛の後ろ姿を見て、心の中は甘い喜びでいっぱいだった。


約2時間後、乱雑だったリビングは凛の**「戦術級の掃除スピード」**によって完璧に再編された。


「ふぅ……やっと息ができるわ。」凛はソファに倒れ込んだ。疲れは見せたものの、整頓された部屋を見て、その瞳には達成感が宿っていた。


「九条、お疲れ様! 君の大好物のいちご大福を買っておいたよ。」今田はご機嫌取りのようにスイーツを差し出した。


凛は大福を受け取り、一口かじると少し機嫌が良くなったようだったが、すぐにまた冷たく鼻を鳴らした。「これで済んだと思わないでよ。今田、明日からあんたの生活リズムのデータは私が管理する。それから、この部屋のスペアキーは没収。これからは毎日夜10時までに帰宅すること。外でフラフラするのは禁止よ。」


「は、はい……」今田は笑いながら彼女の隣に座り、自然にその肩を抱き寄せた。


凛は一瞬身を固くしたが、振り払いはしなかった。ただ彼の肩に頭を預け、消え入りそうな声で呟いた。「……それから、このソファ硬すぎるわ。明日新しいのを買いに連れてって。二人で座っても窮屈じゃない、長いソファがいい。」


夜も更けてきた頃、二人は寝室へ向かった。今田の寝室はもともと狭い空間だったが、二人の特級執行官の荷物が詰め込まれたことで、さらに窮屈になっていた。


「ここ、ちょっと狭いわね。私のベッドをどこに置くか計画を立て直さないと。」凛は困ったように言った。


「ダブルベッド一つ買えばいいんじゃない?」


今田はその言葉を、夕食のカップ麺の味を選ぶ時と同じくらい平然としたトーンで口にした。


「……」


部屋の狭さに文句を言っていた凛の動きが、瞬時に凍りついた。畳んだばかりの高級なワンピースを抱えたまま、彼女の頬は目に見える速さで耳の付け根から首筋まで真っ赤に染まっていく。2キロ先の標的をも見抜くその瞳は、今やパニックで天井と床の間を激しく泳いでいた。


「あ、あんた……このモブ変態! データ外の何を言い出してるのよ!」


凛は猛烈な勢いで振り向き、今田の鼻先を指差して絶叫した。その声は任務中の指示よりも1オクターブ高かった。「だ、誰があんたと同じベッドで寝るって言ったのよ! そんな親密度、完全に数値オーバーでしょ! 私たち、同棲を始めたばっかりなのよ!」


「でも……九条。」今田は作業を止め、わざとらしく両手を広げて、4坪にも満たない小部屋を指差した。「ここにシングルベッドを二つ置いたら、移動するのに『戦術的壁登り』が必要になるよ。それに君もさっき言ったじゃない、ここは『貧乏人』の家だって。ベッドフレームをもう一つ買うのは、僕の支給ポイント的にきついんだ……」


「調、調子いいこと言わないで! あんたのポイント、普通の執行官の3倍はあるでしょ!」


「それは君がこれから買う長いソファといちご大福の予算を貯めなきゃいけないからだよ。」今田はニヤリと笑い、ゆっくりと凛に近づき、声を和らげた。「それに、君が引っ越してきたのは、僕と一緒にいたいからじゃないの? それとも……そのベッドの上で、僕の『リズム』についていけなくなるのが怖いのかな?」


「あんた——!」


凛は言い返せずに絶句した。今田に毒舌でやり返されるのが一番癪だった。彼女は歯を食いしばり、「どこまで耐えられるかな」と言いたげな今田の表情を睨みつけた後、怒りに任せて手元のワンピースを古いベッドに叩きつけた。


「……ちっ、買えばいいんでしょ、買えば! でも言っておくわよ、ダブルベッドの配分比率は7対3! あんたは端っこで寝るだけ。中央の境界線を越えるのは禁止。越えたらベッドに感応式防護ネットを仕掛けて、朝起きたら黒焦げにしてやるから!」


「はいはい、彼女様。」今田は、悪態をつきながらもスマホで「高級ダブルマットレス」を検索し始めた凛の後ろ姿を見て、心の中で勝利の笑みを浮かべた。


その夜、二人は元の狭いシングルベッドに無理やり押し込まれる形で眠りについた(凛は今田を床で寝かせると言い張ったが、夜中に寒がっている彼を見て、こっそりベッドに戻らせた)。今田は布団の中に縮こまり、頭のてっぺんだけを出している凛を見つめ、静かに尋ねた。


「九条、本当に新しい家を買わないの? 君の資産なら、東京湾が見える豪邸だって買えるだろうに。」


布団の中から、少しだけ優しさを孕んだくぐもった声が返ってきた。


「……バカ。あいつらを頼るわけないでしょ。それに、大きな家に『モブ』がいなかったら、地下基地と何が違うのよ。あんな冷え切ったデータ、もう見飽きたわ。」


今田は一瞬呆然としたが、すぐに布団越しに彼女を優しくポンポンと叩いた。これが彼らの平凡なリズム。ベッドの領土争いは続いているが、心の同調率はすでに100%だった。


翌朝の寝室。薄いカーテン越しに朝日が差し込み、二人の顔を優しく照らしていた。


目が覚めた今田は、胸元にずっしりと温かい重みを感じた。見ると、昨夜あれほど「7対3の配分」を主張していた九条凛が、今は完全に警戒を解いた子猫のように、彼の腕の中に丸まっていた。いつもの黒いキャップはなく、長い髪が枕の上に乱れて散っている。鋭いナイフのようだった両目は固く閉じられ、長い睫毛が呼吸に合わせて微かに震えていた。


(……可愛すぎるだろ。)


今田は息を呑み、心臓が口から飛び出しそうなほど高鳴るのを感じた。彼は大胆に手を伸ばし、彼女の柔らかな髪を優しく撫でた。凛は甘い鼻声を漏らしたが、起きるどころか彼の腕の中にさらに潜り込み、小さな顔を胸元に擦り寄せた。


「特級執行官」のこの希少な寝顔、記録に残さないのはもはや犯罪だ。今田はそっと手を伸ばして枕元のスマホを手に取り、完璧な彼氏視点から、組織全員を暴動させかねない一枚を撮影した。そして、湊が作ったグループチャットにメッセージを送った。


「今起きた。すぐ出発する。[画像]」


湊: 「おいおい今田。ベッドの領土配分は想像以上に早く進んだみたいだな。これが若さの生命力か?(笑)」


彩静: 「……心拍数。写真から推測するに凛の睡眠深度は85%、でも今田、あんたの手が震えてる。あと、法律は厳格。覚えておいて。」


零(ZERO): 『この画像を「人類の幸福研究」永久アーカイブに保存しました。ちなみに九条執行官は120秒後に覚醒する予定です。今田執行官、遺言を考えておくことを推奨します。』


「ん……んぅ……」


凛はアンニュイな声を漏らし、ゆっくりと目を開けた。最初に目に飛び込んできたのは、ニヤニヤした今田の顔と、自分の頭に乗せられた大きな手。IQ157の脳内で記憶が高速リロードされる。同棲、睡眠、抱きしめ合い——。


「……っ!」凛の顔は一瞬にして真っ白から爆発的な赤へと「オーバーロード」した。


「お、おはよう、九条。」今田は気まずそうに手を引こうとした。


その時、凛のスマホが連続して通知音を鳴らした。彼女が不審に思って画面を確認した瞬間、全身が石化した。


「今、田、慎、一——!!!」


ハイデシベルの叫び声がマンションの天井を突き抜けた。凛は猛烈な勢いで枕を掴み、今田の頭に乱打を浴びせた。「このモブ変態!! 誰がこんな恥ずかしい写真を湊さんたちに送っていいって言ったのよ! 私のイメージデータが台無しじゃない!!」


「痛っ、痛いよ! それは君が可愛すぎたからだろ!」


「黙れ! 可愛いって言うな! あんたのスマホ、今すぐフォーマットしてやるわ!」


「分かった、ごめん、僕が悪かったよ。ほら、早く出発しよう!」


湊、暁、彩静がすでに席に着いており、今田と凛が遅れて到着した。凛は私服姿だが、黒いキャップをいつもより深く被っている。テーブルの上は和やかな雰囲気だったが、彩静がジュースのグラスを置いた瞬間に空気が変わった。


彼女の深い淵のような茶色の瞳が、レーザースキャナーのように凛をロックオンし始めたのだ。


「ん……?」彩静は首を左に15度傾け、凛の耳の付け根を凝視した。


「ん……?」続いて右に15度傾け、視線を鎖骨の方へと泳がせる。


凛はあまりの視線の鋭さに鳥肌が立ち、持っていたフォークをへし折りそうになった。彩静の眼光はまるで服を透かして見ているかのようで、IQ157の論理では、これが単なる「近況報告」ではないことを確信していた。


「何見てんのよ、冷淡女!」凛はついに耐えきれずテーブルを叩いて立ち上がった。頬は血が出るほど真っ赤だ。「あんたの視線データは私のプライバシー権を著しく侵害してるわ! それ以上見たら眼球をフォーマットしてやるから!」


見つかった彩静は動じることなく瞬きをし、極めて自然な(そして後ろめたい)動作で向き直り、自分の皿のサラダを見つめながら、天気予報を読むような淡々とした口調で言った。


「別に。今日の光の反射率が少し変だと思っただけ。」


(ピコーン——)


凛のスマホがテーブルの上で震えた。彼女が怪しみながら画面を開くと、その顔色は真っ赤から紫がかった赤へと変色した。


彩静からのDM:


「あんたの体にキスマークがないか見てただけ。今朝の今田のあの写真、二人の距離は0.03センチだった。今田の『攻撃性』が私の予測より低いみたいで、少し失望したわ。」


「……彩、静——!!!」


凛は悲鳴を上げ、羞恥心のあまりテーブルの下に潜り込んでしまった。黒いキャップだけがテーブルの上に残されている。


「おい彩静、あいつに何を言ったんだ?」湊はニヤニヤしながらワイングラスを揺らし、丸まっている凛を見つめた。「例の『法律』の事後相談か?」


「別に。生理データの学術的な交流。今田、あんた頑張りなさい。舐められてるわよ。」彩静は無表情にトマトを口に運びながら、困惑しきった今田に視線を向けた。


「な、何を頑張ればいいんだよ!」今田は頭を抱えた。この席は彼にとって公開処刑場でしかなかった。


暁は隣で静かにため息をつきつつ、テーブルの下でそっと湊の手を握った。騒がしい仲間たちを見つめながら、彼女は思った。これこそが命を懸けて手に入れた、冗談を言い合える、何よりも大切な日常なのだと。


「じゃ、湊さん、行きますね。」


「あぁ、またな。バカップルくん。」湊は手を振った。


深夜の街。街灯が二人の影を長く伸ばし、遠くで都会の喧騒が聞こえるが、この路地裏は異常なほど静かだった。


「あの……凛。」


今田は足を止めた。心臓の音が自分でもうるさいほどに響いている。隣で腕を組み、まだ食事の席でのことをぶつぶつ文句を言っている凛を見つめた。


「何よ? まだ彩静が言ったデータのことを考えてるなら、今すぐ黙ることを勧めるわ……」


「キスしてもいい?」


「……はぁ?!」凛は停止ボタンを押されたように硬直して振り向いた。キャップの下の両目が丸くなっている。「あんた、このモブ変態、頭湧いたの? ここは外よ! いつ一般人が通りかかるか分からないし、もし撮られて組織に伝わったら……」


「関係ないだろ。今は任務中じゃないんだから。」


今田の声にはいつもの気弱さはなく、むしろ油圧ドアの下で空を支える時のような力強さがあった。彼は凛の「IQ157による拒絶の論理」が終わるのを待たず、手を伸ばして彼女の肩を掴み、優しく、けれど強引にレンガの壁へと押しやった。


「ちょっと、あんた……んっ!」


凛の驚きは、今田の突然のキスにかき消された。朝の微睡みの中のような軽い触れ合いではない。「証明してやる」というような、独占欲に満ちた攻撃的なキス。今田の手のひらが凛の熱い頬を包み込み、指先が長い髪の中に紛れ込む。


凛の脳内は一瞬でフリーズした。すべての戦術分析、防御のリズムが、この瞬間ピンク色のノイズへと化した。今田の胸を押し返そうとしていた手は、いつの間にか彼の襟元を強く掴んでいた。静かな通りには二人の交差する吐息と、今田の溢れんばかりの情熱だけが漂っていた。


今田はゆっくりと唇を離し、作戦が成功したような少し意地悪な笑みを浮かべながら、視界が潤み、立っているのが精一杯な様子の天才少女を見つめた。


「……これで、攻撃性のデータは目標値に達したかな?」今田は得意げにウィンクした。


「……あんた、この……変態モブ!!」


凛は慌ててキャップを深く被り、爆発しそうな顔を隠そうとした。その声は事後の熱を帯びて掠れている。「よくも外で……監視カメラに撮られたらどうするのよ! 零にキャプチャされたらどうするのよ!」


「撮られたら撮られたでいいよ。僕は彼女にキスしてるだけなんだから。」今田は彼女の手を握り、恋人繋ぎをして大股で歩き出した。「行こう、帰るよ。」


凛はうつむき、歩き方はぎこちなかったが、その大きな手を振り払うことはしなかった。ただ、小さくぼそりと呟いた。


「……今の……動き……まぁ、合格点はあげるわよ。」


深夜の今田家。空気にはボディソープの香りと、顔が赤くなるような熱気が混ざり合っていた。


風呂上がりの凛が出てきた。彼女は少しゆったりとしたシルクのパジャマを着ている。帽子を被っていない濡れた髪が肩にかかり、白い肌が明かりの下で艶かしく輝いていた。


「……何見てんのよ。それ以上見たら目玉えぐり出すわよ。」凛は今田の熱い視線に気づき、無意識に襟元を掴んだが、その声には明らかに覇気がなかった。


今田は新しく買ったダブルベッドの上に座り、大戦中でも見せなかったような「悪役」らしい笑みを浮かべた。彼は隣の大きく空いたスペースを叩き、挑発的な視線を送る。


「九条、配分比率は7対3だって言ったよね? 今、僕は1しか占めてない。残りの9は空いてるよ。君は『接管テイクオーバー』しに来ないの?」


「ちっ……あんたってやつは……」


凛は歯を食いしばり、顔を真っ赤にした。だがIQ157の計算では、ここで寝に行かなければ、今田はもっと「攻撃的」な方法で自分を引きずり込むことを確信していた。彼女は不承不承といった様子で歩み寄り、ドサリと横になると、今田に背を向けて自分をミノムシのように布団で包んだ。


「言っておくけど、中央線は越えないで……んあっ!」


次の瞬間、背後から温かくて力強い腕が、布団ごと彼女を包み込んだ。今田が耳元で、勝ち誇ったような低い声で囁く。


「ごめん、今夜は中央線なんてないんだ。」


(翌朝、ZERO-DELAY レモンティーショップ。快晴)


店のドアが開き、凛がいつも通りキャップを深く被って入ってきた。だが今日いつもと違うのは、襟元を高く隠すのではなく、わざと首を傾けていることだった。白く細い首の横に、これ見よがしにクロスさせた二枚の絆創膏が貼られている。


カウンターを拭いていた彩静の手が止まった。彼女は首を傾け、茶色の瞳を微かに見開き、その絆創膏を正確にロックオンした。


「ん……?」彩静は雑巾を置き、凛に近づいて周りを一周した。「それは……作戦中の負傷?」


「ふん、さあね。」凛は得意げに顎を上げ、わざと髪をかき上げてその部分を強調した。「どっかのモブが昨日急に暴走して、攻撃性データがオーバーフローしちゃって。私も困ってるのよね。冷淡女、あんたのデータベースも更新が必要なんじゃない?」


後ろから店に入ってきた今田は、その光景を見て危うく平地で転びそうになった。顔を真っ赤にし、必死に彩静に手を振る。「ち、違うよ! それは彼女が昨日……」


「説明は不要。データは正直。」彩静は頷いた。表情は相変わらず冷たかったが、その口調には稀に見る揶揄が含まれていた。「今田、あの0.03センチの中で重大なブレイクスルーを果たしたみたいね。凛、あんたの防衛線……完全に崩壊したわね。」


「なっ、誰が崩壊したってよ!」凛は彩静に逆襲されるとは思わず、案の定また激昂した。


カウンターの奥でお茶を淹れていた湊は、騒がしい若者たちを見て苦笑しながら首を振り、隣の暁に言った。


「どうやらこの店の『セキュリティシステム』には、今後『バカップル禁止』のプラグインをインストールする必要がありそうだな。」



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