時間を享受する
真実が明かされた後のあの日々、時間の流れは粘り強く重たくなったようでありながら、どこか絶望的なほどに甘美な空気を纏っていた。
生活は奇跡的な平穏を保っていた。太陽は昇り、浅野は大学の講義に出席して暗室で写真を現像し、彩靜は指令が下れば姿を消し、消えない硝煙の匂いを纏ってレモンティー店へと戻ってくる。だが、決定的に変わったものがあった。「平凡」という名の薄いベールが引き裂かれた後、二人の間の空気には探り合いも羞恥心も消え、代わりに、お互いを擦り潰さんばかりの狂おしいほどの渇望が居座っていた。
彩靜は、浅野が変わったことをはっきりと感じていた。
会うたびに彼女を見つめる浅野の瞳は、単なる優しさだけではなかった。その眼差しは、彼女の輪郭を網膜の奥深くに刻み込もうとするかのように熱かった。抱きしめる力は強くなり、大きな手で彼女の腰をきつく引き寄せ、キスをするたびに「これが最後かもしれない」という狂気と独占欲が滲んでいた。
それは、過酷な体制に抗う平凡な大学生が持つ唯一の武器――出し惜しみのない愛だった。
【夕暮れ:駅のホーム】
夕陽がホームの影を長く引き伸ばしていた。電車の入線する轟音が、ぼんやりとしていた浅野を現実に引き戻す。
ドアが開き、私立高校の制服を着た華奢な彩靜が人混みの中から降りてきた。彼女はうつむき、黒いキャップの鍔を深く下げ、背中にはあの重いチェロケースを背負っている。以前なら、浅野はそれを楽器だと思っていただろう。だが今は知っている。その中には、一キロ先から命を奪うことのできるAWM狙撃銃が入っていることを。
「彩靜」
浅野が柱のそばで静かに声をかけた。
彩靜が弾かれたように顔を上げた。その瞬間、氷のように冷徹だった「執行官」の瞳が瞬時に溶け、好きな人を前にして戸惑う一人の少女に戻った。
「……健二君」
彼女は足早に駆け寄ってきた。公共の場では相変わらず恥ずかしがり屋の後藤彩靜だったが、浅野の前まで来ると、その冷えた手で彼の衣の裾をぎゅっと掴んだ。まるで溺れる者が流木に縋りつくかのように。
「お疲れ様」
浅野は自然に彼女の肩にある重いケースを受け取った。今回は「重くないか」とは聞かなかった。ただ黙って、その重みを自分の広い肩へと移した。
「今日は……任務、うまくいった?」
浅野は声を落とし、手を繋いで出口へと歩き出した。
「うん……」彩靜は頷き、浅野の手のひらを指先でそっとなぞった。その声は蚊の鳴くような細さだった。
「怪我はないわ。ただ……すごく、会いたかった」
浅野は足を止めた。駅の出口の人混みの中で、周りの目も気にせず、彼女を引き寄せ抱きしめた。彩靜の首筋に顔を埋め、深く息を吸い込む。そこには少女の体温と、彼が最も恐れている、微かな火薬の匂いがあった。
「僕もだよ」浅野は彼女の耳元で囁き、腕の力をさらに強めた。彼女の細い体を、自分の命そのものに埋め込みたいかのように。
「一分一秒、狂いそうなほど会いたかった」
彩靜は彼の胸に寄り添い、力強い心臓の鼓動を聞いた。近くの監視カメラの向こうで、零が見ているかもしれない。璟中司令が冷徹に観察しているかもしれない。
だが彼女は目を閉じ、浅野が与えてくれる、この世界に対抗しうる独占欲を感じながら、悲しくも幸せな微笑みを浮かべた。
夕陽が二人の影をストリートに長く伸ばしていた。浅野は片手で重いケースを持ち、もう片方の手で彩靜を強く繋いでいた。何度も通った帰り道だが、今日だけは緊張と弛緩が入り混じった特別な空気が流れていた。
浅野は、彩靜が着ている少し薄手の制服を見やった。整ったリボン、風に揺れるプリーツスカート。通行人の目には平凡な学生同士のカップルに見えるだろうが、浅野の脳裏には、この格好のまま引き金を引き、標的を仕留める彼女の冷酷な姿が焼き付いて離れなかった。
「彩靜……」浅野が沈黙を破った。
「ずっと聞きたかったんだけど、どうして任務の時も、いつもその制服を着ているの?」
それは単なる戦術的な疑問ではなかった。この「平凡」の象徴が、自分の見えない場所で鮮血と硝煙に染まっていくことが怖かったのだ。
彩靜は足を止め、自分の足元を見つめた。
「私にとって……高校は、最後にいた『正常』な場所だったから」
彼女は顔を上げ、ブラウンの瞳に暮れなずむ空を映した。
「健二君も知っている通り、私は周囲の環境や音、匂いに極端に敏感なの。ZERO-DELAYの世界は、氷のような金属とデータ、そして死で溢れている。あんな暗闇にずっといたら、自分が誰なのか忘れてしまいそうで……」
彼女は自嘲気味に笑った。その笑顔は夕陽の下で儚く見えた。
「この制服を着ていると、生地の感触を感じられる。教室のチョークの匂いや、机に降り注ぐ午後の陽光の熱さを思い出せるの。温かくて、単純で、少し退屈だった時間。それが私の中の『座標』なのよ。標的を仕留めた後でも、帰るべき道を見失わないように。私がただの後藤彩靜であることを忘れないように」
浅野の心が激しく締め付けられた。戦術的な変装だと思っていた服が、彼女の魂の最後の防線であり、「人間性」を繋ぎ止めるためのお守りだったとは。
「辛いことを聞いて、ごめん」
浅野は立ち止まり、彼女を抱き寄せた。重いケースが二人の足元に寄りかかる。彼は彼女の柔らかなポニーテールを優しく撫で、決然と言った。
「これからは、服に頼って思い出す必要なんてない。僕が君の新しい座標になる。君が何を着ていても、どこにいても、何をしても、君が振り返れば僕がそこにいる。君が『僕の彩靜』であることを、僕が思い出させてあげる」
彩靜は浅野の胸に顔を埋め、彼の温かな匂いを貪るように吸い込んだ。浅野に出会ってから、この制服はもう彼女にとって唯一の拠り所ではなくなったのかもしれない。
夜風が涼しさを運び、二人の影をマンションの入り口で重ね合わせた。
浅野はいつものように玄関で別れようと手を離しかけたが、次の瞬間、微かな体温を感じる小さな手が、彼の袖を掴んだ。
「浅野君……今夜、時間ある?」
彩靜はうつむき、消え入りそうな声で言った。街灯の下で、彼女の頬は誘うようなピンク色に染まっていた。
「……私の家、寄って行かない?」
彩靜からの珍しく積極的な誘いに、浅野の心臓は大きく跳ね上がった。戦場では氷のように冷静なのに、今は耳まで赤くしている少女を見て、浅野は爽やかに微笑んだ。
「いいよ。夜は暇だし、もっと君のそばにいたいと思ってたんだ」
部屋の明かりは暖かく、そして薄暗かった。彩靜はいつもならすぐに部屋着に着替えるが、今日はまだあの私立高校の制服を着たままだった。紺色のプリーツスカートが動きに合わせて揺れ、リボンは白シャツの襟元に整然と結ばれている。
「日常」と「異常」が同居するその視覚的インパクトに、浅野の呼吸は重くなった。
ソファに並んで座ると、お互いの鼓動が聞こえるほど静かだった。浅野が彼女を腕の中に抱き寄せ、パリッとした制服の生地越しにその体を感じた時、かつてない背徳感が込み上げてきた。
かつて、彼女はいつも柔らかなルームウェアを着ていた。それは守るべき脆さを感じさせたが、今は違う。この制服は、彼女が背負う過酷な宿命を思い出させると同時に、今この瞬間、彼女が「自分だけの女の子」であることを強調していた。
「浅野君……」
浅野の熱い視線に、彼女は怯えた子鹿のように縮こまりながらも、甘えるように彼の胸に顔を寄せた。
浅野は腕の中の「女子高生」を見つめた。守護欲と男としての原始的な独占欲が胸の中で混ざり合い、抑えきれない炎となって燃え上がった。彼は大胆に手を伸ばし、彼女の細い腰を掴んで、自分の体に強く押し付けた。
「彩靜……」浅野の声は低く掠れ、拒絶を許さない力強さを帯びていた。「その格好の君、本当に綺麗だ……。誰にも見せたくないくらいに」
彩靜は小さく声を漏らし、浅野から伝わる驚くほどの熱を感じた。制服の生地が擦れ、かすかな音を立てる。彼女は無意識に浅野の首に腕を回し、指を彼の短い髪に潜り込ませた。
「……じゃあ、浅野君だけに、見せるわ」
彩靜は目を閉じ、自ら顔を上げて、これまでにないほど激しいキスを求めた。この瞬間、「座標」であった制服は、彼女を守る殻から、二人の感情を点火させる導火線へと変わっていった。
寝室にはオレンジ色の小さなランプが一つ灯り、壁に重なり合う二人の影を描き出していた。
ベッドが小さく沈み込む。彩靜は柔らかなシーツの上で、浅野の熱いキスと荒い息遣いに脳が完全にシャットダウンしていた。戦場では冷静に弾道を計算する天才的な頭脳も、今はまともな言葉一つ紡げず、ただ赤みが頬から襟元へと広がっていくのを許すしかなかった。
浅野は彼女の両側に手を突き、上から彼女を見つめた。
純真さと座標の象徴である制服を纏い、緊張で胸を上下させる少女。その鋭い瞳は今、とろけるような信頼と熱に満ちている。浅野の内心では激しい葛藤が起きていた。彼女の純粋さを愛おしく思う一方で、いつ崩れるか分からないこの世界への焦燥感もあった。
(今、抱かなければ……次はいつになるか分からない)
その想いが理性の最後の一線を焼き切った。浅野の瞳が暗く沈み、重厚な熱を帯びた体が制服越しに彼女を押し潰した。二人の狂ったような鼓動が重なり合う。
「彩靜……」浅野の声は掠れ、切実な独占欲が滲んでいた。「今回……いいかな?」
「あ……っ!? す、するの……?」
彩靜は声を上げ、身体をびくりと震わせた。「青」として残酷な光景は見てきたが、男女の事に関しては真っ白なままだった。浅野の愛に満ち、しかし欲望に燃える瞳を見て、彼女は屋上での抱擁を、死線を越えたあのキスを思い出した。
明日が終点なら、この制服が最後の防衛線なら、その防衛線の向こう側にあるすべてを、この男に捧げたい。
彩靜の迷いは一秒だけだった。彼女はすべての武装を解くように脱力し、恥ずかしそうに目を閉じて頷いた。
「うん……浅野君となら、いいよ」
寝室の空気は熱気と情欲で完全に支配されていた。整っていた白シャツはボタンを外され、彩靜の白い肩に乱れたまま掛かっている。
浅野の手によって最後の薄い布が取り払われると、少女の最も隠密で純潔な場所が、月光と彼の視線の前に晒された。それは視覚的な衝撃だった。冷徹な殺し屋の顔と純真な制服という外殻の下に、これほどまでに柔らかく温かな彼女がいたとは。
「いくよ」
浅野の声は野獣の唸りのように低かった。
「ば……バカ! そんなこと……っ」
彩靜はシーツをきつく握りしめ、恥ずかしさで泣き出しそうになりながらも、本能に従って足を震わせながら開いた。
浅野は独占欲を抑えきれなかった。大きな手で彼女の胸を力強く掴み、その驚くべき弾力と熱を感じながら、腰を沈め、力強くストレートにその聖地へと踏み込んだ。
「何だこれ……最高すぎるだろ……!」
包み込まれるような衝撃に、浅野の脳はパンクしそうになった。
「あ――っ!」
短く高い声を上げ、天才スナイパーの冷静さは瞬時に崩壊した。彩靜は慌てて両手で顔を覆い、魂まで揺さぶられるような羞恥心から逃れようとした。
だが、今の浅野は彼女を「完全に所有する」という狂熱に支配されていた。彼は彼女の手を払い、指を絡めて枕元に押さえつけ、潤んだ瞳で自分を見つめるように強いた。
ピッチを上げると、部屋に水音が響き渡る。
「彩靜の中……気持ちよすぎて、止まれないんだ!」
浅野は彼女の唇を塞ぎ、喘ぎ声をすべて吐息の中に閉じ込めた。そこにはもう殺し屋も大学生もなく、ただ愛の深淵に堕ち、肉体の繋がりで残酷な現実を忘れようとする恋人たちがいるだけだった。
酸素は薄く、熱を帯びていた。浅野は未来への恐怖をすべて、原始的な衝撃へと変えてぶつけた。
「――っ! 健二! 少し、優しくして……健二! 健二……っ!」
彩靜の小さな体は、浅野の重みの下であまりに柔らかかった。狙撃銃を支えるあの揺るぎない手も、今は無力に彼の背中に縋り、爪を立てるしかなかった。甘く、そして泣き出しそうな声が、二人の理性を粉々に砕いていく。
乱れた制服のシャツ、歪んだリボン。そのコントラストが浅野をさらに駆り立てた。彼女の奥深くが痙攣し、彼を永遠に閉じ込めようとするのを感じた。
「彩靜……君は僕のものだ……。誰にも渡さない……!」
轟くような浅野の声と共に、快感は臨界点に達した。彼は最後の一滴まで注ぎ込むように腰を振り、彼女の魂の深淵に触れようとした。彩靜は視線を彷徨わせ、ただ彼の白濁したリズムに合わせて震え、声を上げるしかなかった。
最後の一撃。
「――っ!!」
彩靜の目が大きく見開き、快感で足先まで丸まった。浅野は渾身の力で、その熱い愛を彼女の中に充填した。満たされる感覚の中で、彼女の引き裂かれた魂が、ようやく繋ぎ合わされたような気がした。
浅野は彼女の胸元に顔を埋め、柔らかな肌に暗い赤色の跡――キスマークを残した。それは彼だけの標だった。
「君は僕のものだ。後藤彩靜としても……『青』としても」
彩靜は呆然と天井を見つめた後、震える手で浅野の背中を抱きしめた。
「うん……あなたのものよ……」
【翌朝:マンションの一室】
カーテンの隙間から、朝陽が乱れたベッドに優しく差し込んでいた。
浅野はゆっくりと目を開け、昨夜の余韻を噛み締めた。床には、自分の白いシャツと、彩靜の制服が折り重なって落ちている。激しかった昨夜を物語る無言の証拠だった。
隣で眠る少女に目を向ける。彩靜の頬にはまだ疲れと余韻が滲んでいた。陽光が彼女の華奢な肩と、昨日自分が刻んだ赤い跡を照らしている。
夢ではなかった。昨日、自分はこの最強の執行官を、一人の女の子として完全に手に入れたのだ。
「最高だな……」
浅野は独占欲に満ちた満足感を覚えた。すると、小腹のあたりに再び原始的な衝動が突き上げてきた。
彩靜が目を覚まし、浅野の「盛ん(・・)」な様子に気づくと、顔を真っ赤にして抗議した。
「ば……バカ。見すぎよ……」
浅野は答えず、再び彼女に迫った。彼にとって、この「独占」のゲームは始まったばかりのようだった。
日差しが部屋を熱くする中、彩靜は身体の痛みを堪えながら制服を着直していった。背中を向け、たどたどしくボタンを留め、プリーツスカートを穿く。そしてベッドの端に座り、黒のオーバーニーソックスを引き上げる……。
その純真な仕草は、浅野にとって昨夜以上に致命的な誘惑だった。
彩靜がリビングへ逃げようとすると、浅野が無頼な笑みを浮かべて言った。
「おい、まだ逃げるなよ。……手伝ってくれない?」
彼は再び元気になった自分の「そこ(・・)」を指した。彩靜は呆れ果て、溜息をついた。
「……浅野君、本当に大バカ者ね」
彼女は文句を言いながらも、再びベッドのそばに戻ってきた。狙撃鏡を覗くあの手で、彼女は認めるような優しさを持って、彼の膝に手を置いた。
「……一回だけだからね。終わったら本当に朝ごはんを食べるんだから」
寝室には濃密で蒸せ返るような熱気が立ち込め、朝の光が彩静の整った制服と乱れた長い髪を照らし出していた。それは極めて歪でありながら、官能的なコントラストを描き出している。
浅野はベッドの端に腰掛け、両手で彩静の後頭部を優しく、しかし逃がさないように押さえた。普段は冷徹な「天才スナイパー」である彼女が、今は従順に自分の前で跪いている。その光景に、浅野の支配欲はかつてないほどの充足感で満たされていた。腰を突き出すリズムと、手に込める力が強まるにつれ、昨夜とはまた違う、頭の芯が痺れるような快感が再び全身を駆け巡る。
「ん……んぅ……」
彩静の細い喉から、くぐもった声が漏れる。生理的な刺激によって、彼女のブラウンの瞳には涙が浮かび、その姿は無防備で、抗いがたいほどに誘惑的だった。
快感が頂点に達しようとしたその時、浅野の瞳が暗く沈んだ。自分の愛と独占欲のすべてを彼女に刻み込むかのように、彼は彩静の整ったポニーテールをぐいっと力強く掴んだ。
「彩静……!」
低く唸るような声と共に、溜め込んでいた愛着をすべて、彩静の喉の奥深くへと注ぎ込んだ。
「ごほっ! げほっ、げほっ……」
突然の衝撃に、彩静は激しくむせ返り、体は無意識に震えた。浅野の膝を支えていた彼女の手が、ぎゅっと白くなるほど握りしめられる。白かった頬は酸欠と羞恥によって、どろりとした赤紫色に染まっていた。
「飲み込んで」
浅野は彼女を見つめ、拒絶を許さないほどに優しい声で告げた。
彩静は潤んだ瞳で彼を見上げた。その眼差しには、三分ほどの恨めしさと、七分ほどの抗いようのない溺愛が混じり合っている。彼女は喉をかすかに動かし、その「服従」を象徴する行為を、苦しげに、しかし最後までやり遂げた。そのまま、彼女は力尽きたように浅野の足の間に突っ伏し、新鮮な空気を求めて大きく肩を上下させた。
「ひどすぎるわ……浅野」
彩静は顔を上げ、手の甲で口元を拭った。その声は、ひどく掠れてしまっている。文句を言いながらも彼女は彼を突き放さず、むしろ甘えるように、昨夜の匂いが残る彼のシャツに頬をすり寄せた。
「これが……付き合う代償なの?」
彼女は小さく呟いた。浅野の指先で揺れるそのポニーテールは、まるで完全に手懐けられた小さな獣のようだった。
ようやく朝食のテーブルに着いた二人。彩靜は恥ずかしさでうつむいたままだった。
浅野は愛おしさが爆発し、テーブル越しに彼女の小さな手を握った。
「彩靜。これからも、毎日こうして過ごそう」
彩靜は少し疲れた、しかし最高に輝く微笑みを浮かべた。
「ええ。あなたが……この手を嫌わないなら」




