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【連載版】竜の器と囚われの贄姫 ~竜にされた家族を助けるため、貴族の家を飛び出し世界最強の男と傭兵になります~  作者: 神崎右京
第三章

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第24話 泥沼の恋路② (Side:カルロ)

 やがてシャロンは、俺と一緒の空間にいることにも慣れてくれた。自然に会話を交わせるようになり、今までは兄にしか見せたことがなかった愛らしい笑顔も、俺の前で零してくれるようになった。

 直接口説くことは悪の大王(アルヴィン)に禁止されていたので、アルヴィンに制止されないギリギリを探りアピールし続けた。少しでもラインを超えると、どこからか颯爽とアルヴィンが現れ、やんわりと話題を奪ってそのままシャロンを連れ去られる。

 ――たぶんあれは、全部のデートについて来て監視していたんだろう。

 

 贈り物は、アルヴィンに制止されるリスクが一番低いアプローチ手段だった。手紙は鬼より怖い兄に検閲されるが、贈り物は危険物でなければ普通に届く。

 だから、貴族は花言葉に特別な意味を持たせると知って、何一つ興味がなかった植物図鑑を購入し、意味を調べ尽くした。

 特に、シャロンが好きだと言った薔薇を、色や本数を変えて何度も贈った。薔薇には恋人に向ける花言葉が多いから助かった。

 花を贈った後、シャロンから気恥ずかしそうに頬を染めた微笑で礼を言われれば、天にも昇る気持ちになった。


 三日もあれば実家に戻るアルヴィンを笑っていたのが可笑しくなるくらい、俺も必死に時間を見つけてはシャロンのもとへ通った。何度もアルヴィンにブロックされたが、めげなかった。

 それでも、一緒にいられない時間の安否が心配すぎて、世界に一つしかない最高級の魔道具を作った。婚約指輪らしく宝石を着けたかったが、付与した魔法が強すぎるのか金剛石すら粉々になってしまったので、シンプルな指輪になった。

 王族に献上しても良いくらいの強力な魔法を秘めた指輪だ。世情に疎いシャロンは、その希少価値などわからないだろうが。

 もう二度とやりたくないと思いながら、不眠不休で一週間かけて作り上げた。

 だが、飾りの一つもない指輪を愛しそうに左の指にはめて、時折幸せそうに見つめて微笑む横顔を見たら、何百個でも作ってやりたい気持ちになるから不思議だ。


 ――アルヴィンがシャロンのことになると急にポンコツになる理由が、やっとわかった。


『アルヴィン、もういいだろ。いい加減、シャロンの正式な婚約者として公に宣言してくれ――!』

『は?何を甘えたことを言っているんだい?学園を卒業するまでは、君は叙爵されない。そんな君との婚約を、早期に正式に発表するシャロンのメリットなんて、どこにあるんだい?』


 シャロンにメリットなんてない。あるのは俺のメリットだけだ。


 一日も早くシャロンとの関係を公にして、他の男に取られないよう囲ってしまいたい。

 遠回しな表現や態度ではなく、ちゃんと眼を見て気持ちを伝えたい。

 シャロンには、『兄の親友』でも『人畜無害な護衛』でもなく、一人の男として、意識してほしい――


『妻としての役割は求めないって言ったのは君だよね?肩書だけがあればいいんだろう?』

『わかった。俺が悪かった。当初と状況が変わったことを認める。お前の妹に本気で惚れてしまったことは謝る、謝るから――!』


 愛だの恋だの情だので、アルヴィンは動かない。どれだけ探しても、シャロンの社交デビューを早めて正式な婚約発表をするに足る”利”は提示できなかった。

 結局、学園を卒業する一年前まで、アルヴィンは一度も譲らなかった。


『仕方ないな……今年で僕らも卒業だし、今のところ君に不祥事の予兆はない。次の社交シーズンで、シャロンのデビューとしよう』

『アルヴィン――!』

『それまでに、もしシャロンが君との婚約に否定的なことを言いだしたら、即解消するからね。慢心せず、天使に仕える従僕の根性を忘れないでほしいな』


 相変わらずの暴君っぷりだったが、それでもやっとこの関係を前に進められると思えば、感動に胸が打ち震えた。どうやったらシャロンに本気の愛の告白を受け入れてもらえるか、あらゆるパターンを考えて必死に準備した。


 ――その社交シーズンの手前で、とんでもない事件が起きて、結局、準備は丸ごと無駄になったのだが。


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