第2話 - 山奥へお引っ越し
転生に失敗したと気づいて、はや1秒。
あっという間だった。(本当に)
なぜか事故に遭う前まで時間が戻っていて、家にいる。
今日は会社には出勤せず、有給を使うことにした。
電話でそのことを伝えたが、めちゃくちゃ怒鳴られたし攻められた。
退職代行を使うことを考えておこう。
今日中は自由なので、スーツをしまおうとクローゼットを開けたら——魔女っぽい服まで用意されて いた。
なんでここまでできて間違えて元の世界に送ってしまうのか。
とりあえず着てみた。
「かわいい...!」
すごくかわいい、自分で言うのも変だけどめちゃくちゃかわいい。
ただこの服を外で着るのは気が引けるな...
これからどうするかを考えた結果、誰もいない山奥に引っ越すことにした。
もし魔女の存在がバレれば、誘拐されて実験台にされるかもしれないからだ。
最低限の工具を買って、一番近い山に行くことにした。
当然徒歩だ。魔法で空を飛んだりしたら、さすがにすぐバレてしまう。
5日間、ずっと作業し続けて、ようやく家が完成した。
小さな小屋みたいな感じだけど、内装もしっかりしてるし、まぁいいでしょう。
これも魔法が使えるからできたことだし。
次は、家に結界を貼る、こうしないともし山に入ってきた人に見つかってしまうから。
この魔法を使うのは、とても難しいから時間がかかってしまう。
貼る前に人が来ないと良いが。
そんな願いも虚しく、結界を貼る前に、とあるおじいさんが来てしまった。
この家を見て変に思ったのか、扉をノックして呼び始めた。
「すみませーん」
怒られるのか、通報されるのか、怖がりながらドアを開けた。
おじいさんの話の内容はこうだった。
もうおじいさん自身先は長くないこと、そもそも山が広すぎて有効活用できていないこと、家族に相続しようとしたけど家族も使い道がないこと。
そして、この山を譲渡してくれるということ。
とても驚いた。
山を無償でくれるというのだから。
ありがたくいただいた。
これからこの家で過ごすことになるだろう。
たぶん、つづく。