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Forever Love



ツヨシが亡くなって、ちょうど6ヶ月が経った頃、ツヨシの親友、ミツオが、ツヨシから預かったという小さな包みを携えて、海岸沿いに建つマンションを訪ねてきた。



「ツヨシから、『6か月経ったら、サトミに渡して欲しい』って頼まれたんです…」



貴方の子を宿したとき、貴方は歓喜して籍を入れてくれた。



海岸沿いに建つ、貴方の自慢のマンション。



貴方の腕に抱かれ海に沈む夕陽を眺めた景色を、今、 息子と眺めている。



全ては運命なのだろうか。



私は、夢を求めて生きる貴方と、愛する息子と共に、ずっと穏やかに暮らして行くのだと信じていた。



そう、永遠に。



病に倒れた貴方を見つめ、私は途方に暮れた。



貴方が永遠に旅立つ3日前、貴方は病床で、「申し訳ない」そう謝るばかり。



私は、「なんで謝るのよ」そう泣いてばかりだったわ。




「何かしら」



そう呟きながら、包装を開くと、小さな木箱が出てきた。



木箱を開けると、中から『息子へ 平成〇〇年 誕生日おめでとう 父より』、そう題した手紙20通と、『サトミへ』と題された手紙が出てきた。




『サトミへ


もう、6ヶ月が過ぎたんだね。


早いのか、遅いのか、僕には分からないな。


ごめんな。


今にしてみれば、あの日、君に出逢ったことが、果たして良かったのかどうか。


もし、それが運命だとしたら、僕は、神を呪わねばならないだろう。


結果、君を1人にすることになってしまったのだから。



僕は、神に誓ったんだ。


君を永遠に愛すると。


それなのに、まさに神も仏もないってのはこのことか。



僕は、息子に何もしてやれない。


何も語ってやれない。



小さい頃は、僕の小さい頃の話を。


少年の息子には、僕の少年の頃の話を。


思春期を迎える息子には、僕の思春期の頃の話を。


そして、二十歳になる息子には…


君と出逢った頃の話をしなくちゃならない、そう思っていたんだ。


でも、それが出来そうもない。



だから、一年一年成長するであろう息子を一生懸命想像して、手紙を書いたんだ。


誕生日に一通ずつ渡して欲しい。



君は、生きねばならない。


辛いだろうが、生きねばならない。



僕らの子と共に。



頑張ってくれ。



愛している。



どうか、元気で。



ツヨシ』



私は溢れる涙を抑えられずに、嗚咽した。


あの病床で、こんなに沢山の手紙をいつ書いたのだろうか。



息子は、貴方の優しさに包まれ、きっと健やかに育ってくれるにちがいない。



ツヨシの友人が帰ったあと、息子を抱いて、ベランダに立ち、広い海原に沈む夕陽を見詰め、また、息子を強く抱きしめた。



貴方の愛に包まれながら。



~~完~~

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