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セトさんとの旅
そうして始まった二人での旅は、それは厳しい旅だった。
そもそもがあてのない旅で、どこに行けばいいのかすら分からない。
勇者の情報を求めて各地を回ったり、街の人に聞き込みをしたり。
めぼしい情報なんてほとんどない中で、ただ二人で旅を続けた。
そして、旅をしていて分かった事がある。
当然ながら、セトさん達魔物を未だに快く思わない人がいるということだ。
理不尽に怒鳴られた事もあった。
石を投げられた事もあった。
けれど、セトさんは決してやり返さなかった。
それは、セトさんが魔物がこれまでやってきた事を知っているからだ。
だから、俺も黙っていた。
俺は人間だからか、そういった対象にはならなかった。
セトさんがそういった扱いを受けるのは正直悲しかったし、悔しかったけど、それでも。
セトさんが、全て承知で一緒に来てくれた事が嬉しかったから。