表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セトさんと僕  作者:
4/15

セトさんと僕

「…で、お前はなんで戻って来た?」


「だって、やっぱり怖いから」


1ヶ月後、僕は魔王を倒すこともなく、セトさんの元に戻って来た。


決まり悪く笑う僕を、セトさんは困ったように笑って出迎えた。


「魔王を倒さないと、元の世界に帰れないんだろ?」


「…」


大好きなセトさんの言葉が、今は残酷に僕に届く。


セトさんは、相変わらず困ったように笑っている。


まるで、聞き分けのない子供を諭すように。


「ミーナは、魔王を倒さないといけない。そうしないと元の世界へは…」


「帰れなくていいよ、そんなの!」


セトさんの他人事のような言葉に、思わずそう叫んだ。


「セトさんだって分かってるんだよね!分からないはずないよね!?」


「…そうだな、悪かった」


セトさんは、僕の頭をぽん、と軽く叩いた。


僕が辛い時、いつもセトさんがしてくれる事だ。



闘いで負けて悔しかった時。


他の剣闘士に「人間だから弱いのは仕方ない」と慰められた時。




「お前に、俺を倒せ。なんて酷い事を言ってしまって」


大きな爪を、僕を傷つけないように丸めて、鋭い牙のある口で笑いながら。



いつだって、セトさんはそうしてくれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ