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セトさんと僕  作者:
3/15

旅立ち

その日は闘技場が休みだったので、セトさんとはそこで戦うことになった。


ここには僕とセトさん、それから審判として、セトさんの友人のリリカさんしかいない。



リリカさんは、この闘技場の女性職員だ。


職員必須の資格である、公式審判の資格も持っている。


得体の知れない経緯の僕がここで働けたのは、この人が色々と掛け合って、無理を通してくれたお陰だ。



「では、審判はリリカが務めさせて頂きます!双方構え!」


リリカさんの合図で、構えの姿勢をとる。


セトさんは、変わらずそこに立っているだけだ。


セトさんは強い。


本気を出せば、僕よりもきっと強い。


だから、セトさんには構えなんて必要ないんだ。


「始め!」



合図と共に僕は駆け出した。


元々小柄な僕は、先手をとられて攻撃を受ければ致命傷になりかねない。


だから、僕はなるべく攻撃を受けないように先手必勝で攻撃する。



「いいか。お前は確かに小柄だが、小さい奴には小さいなりの戦い方があるんだ」


戦い方を教えてくれたのは、セトさんだった。


セトさんは、他にも色々な事を僕に教えてくれた。



今思えばそれは全部、僕が『勇者としての役割を果たしたい』と言った時のためだったんだと思う。




決着は、思った以上に早くついた。


セトさんが膝を着くのと同時に、「そこまで!」というリリカさんの声が闘技場に響いた。


セトさんは「強くなったなあ、ミーナ」と笑いながら言った。


でも、僕は少し悔しかった。


セトさんが本気で闘っていない事くらい、ずっと一緒にいた僕には分かっていたから。




旅立ちの日。


見送りに来たのは、セトさんだけだった。


この三年間で親しい相手も出来たけど、生憎今日は平日なので、来れないのは仕方のないことだった。


それに、僕がこの冒険で魔王を倒しに行くと言うことを知っているのは、セトさんだけだ。


「行ってきます、セトさん」


「頑張れよ、ミーナ」


セトさんの言葉に、僕は頷いた。




そうして、僕は魔王を倒す旅に出た。


セトさん曰く、少し時間はかかるが、隣の街へ行けば魔王の居場所が分かるらしかった。

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