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セトさんと僕  作者:
13/15

異世界との別れ

「準備はいいか」


「いいよ、セトさん」


「じゃあ、いくぞ」


やって来るのは二度目となったこの遺跡で、僕は魔方陣の中心に立っている。


この場にいるのはセトさんと僕だけだ。



別れの挨拶は、昨日までで済ませた。


誰も、引き止める人はいなかった。


元の世界へ帰るべきだと、皆が言ってくれた。



セトさんが『英雄伝説』に書いてあった祈りの言葉を唱え始めると、どこからか強い風が吹いた。


不思議と、僕もセトさんも風に飛ばされたりはしなかった。


ああ、本当にこれで帰るんだ。


そう思うと、頭の中にいくつも言葉が浮かんでくる。


あれも伝えればよかった。


これも伝えればよかった。


けれど、伝えたらきっと決意が揺らいでしまうから。


だから、一言だけ伝えることにした。


「ありがとうセトさん!僕の側に居てくれて!」


もう、光が強くてセトさんの姿も見えない。


それでも、風の中で確かにはっきりと聞こえた言葉。


「俺も、楽しかった!元気でな!」


それが、セトさんと最後に交わした会話だった。



「帰るんだな、あんたは」


どこからか、女性の声が聞こえた。


それは、異世界にやって来る時に聞いた声と同じものだった。

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