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異世界から帰る方法
「セトさん、僕、元の世界に帰るよ」
「そうか、俺もそうするべきだと思う」
僕の言葉に、セトさんは笑って頷いてくれた。
ひとまず英雄伝説を図書館から借りて、僕達は借りていた宿屋へ戻ることにした。
元の世界に帰る儀式のやり方は、例の絵本に書いてあった。
その宝石を持って、ある街外れの遺跡へ行く。
そこに魔方陣を描き、魔方陣を描き終えた一時間以内に、異世界に帰したい『勇者』を魔方陣の中心に立たせる。
この世界で生まれた者が祈りを捧げると、『勇者』は元の世界に帰る事ができる。
「もしかしたら、家のどこかに隠してあるかもしれない」
「じゃあ、家に帰って探してみよう」
その日の夜、夕飯を食べながら話をした。
ちなみにこの旅の費用は、僕の剣闘士として勝利した際の賞金を切り崩している。
剣闘士としての活動がここで役立つとは思わなかった。
「カナリに無理矢理押し付けてきたから、リリカに怒られるだろうな」
「怒るだろうね、リリカさん」
「…まあ、仕方ないか」
そう言って笑うセトさんは、英雄伝説にあったような恐ろしい魔王ではなく。
ただの、どこにでもいる魔物の男性だった。




