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セトさんと僕  作者:
1/15

僕は剣闘士

僕は剣闘士だ。


剣闘士は年齢制限があって、10歳からでないと剣闘士にはなれない。


僕は年齢は分からないけれど、一年前セトさんに「お前は10歳くらいだから10歳ってことにしろ」と言われたので、今は11歳、ということになっている。




セトさんは、僕の主人だ。


一年前、僕が街の外で立ち尽くしていた所を、たまたまセトさんが見つけてくれた。


セトさんは、僕が持っていた身体に似合わない程に大きな剣を見て言った。


「お前、剣闘士か何か?」


僕は記憶がなかったので、「分かりません」と素直に言った。


「馬鹿野郎。ここは分からなくても剣闘士って言っときゃいいんだよ」


「じゃあ…剣闘士です」


「そうか。つまりお前はどこかの町で大敗して、悪い主人に荒野に捨てられた剣闘士なんだな」


「ちが…はい、そうです」


彼の目が言っている。


そういうことにしておけ、と。



「そうかそうか可哀想に。ならこの優しい王様がお前の主人となってやろう」


そう言うと、彼は僕の手を握って歩き出した。


「おじさん、王様なの?」


「ああそうだ。そして、お前は王様の気まぐれで拾われた可哀想な剣闘士だ。それ以外の何物でもない」


彼にそう言われると、段々本当にそうだった気がしてくる。


そうか。だから、こんな所に一人で立っていたんだ。


「ところで、剣闘士って仕事は知っているか?」


「分からない、です」


「剣闘士って言うのは、色んな人と戦う仕事なんだ」


「こわい、ですか?」


「ああ、こわい仕事だ。でもお前はそれをやらないといけない」


「なぜ、ですか?」


「お前は、強くならないといけないからだ」


その言葉の意味が分かったのは、それから一年後のことだった。

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