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散文の後/北風(仮)  作者: 新辺守久/小珠久武
本編
12/17

アルフレイラ・三

 軍に入隊したはいいけれど、中々に厳しい就職活動だった。


 と言うのはいささか変な気もするけれど、実際に兵学校を卒業してからあちこちの空軍基地を一週間から一ヶ月毎にたらい回しにされるといった紆余曲折があった。……その紆余曲折。


 べ、別に自分の容姿や名前を悪しザマに言われて所構わずケンカを売って営倉に入れられたとかは決してない。兵学校時代とは違うのだ。


 ただ、行った先々で基地に配備された魔導機使用はお貴族様たちや順番待ちをしていた先輩たちに優先権があり、更に輪番制を採りながら乗機していたので入り込む余地がなかったのだ。


 彼らの上官に当たる基地司令なんかは俺のことを知っていたらしく、どこそこの空軍基地で魔導機の機体が空いているとかいった情報と共に転属させてくれたのだけれど、ていのいい厄介払いだったのかもしれないと考えてしまう。


 半年近く地方や辺境の空軍基地を巡りながら、申し訳程度に与えられた雑用作業をメインでこなしていたのだが、殆ど軍属らしい仕事をしていない。心を折って除隊させたいんじゃないかと勘ぐってしまうぐらいだった。


 そのことを、……初夏ぐらいに、たまたま非番が重なったゼクスさんに愚痴ったのだけど、「何故俺や父親の名前を出さなかった?」と言われたぐらいにして、そのあと少しなにかを考える素振りを見せながら、それ以外の他愛もない会話を交わした。


 こちらとしては、英雄と謂われた父の虎の威を借りるなんちゃらみたいなのが嫌だったのと、ゼクスさんに面倒を掛けたり手を煩わせたくなかっただけなのだが、この世界でも自分を前面に押し出すアピールは大事らしい。自分の容姿や名前を悪しザマに言われない限り、いまだうまく前面に押し出せない日本人的な思考が残っている。


 地方巡礼の如く各基地を渡り歩いて八月の終わり頃。そこの基地司令からやはり何度目かになる辞令を頂き、これを何回繰り返すんだろうなと考えながら、辞令に書かれていた教導部隊の文字にハテナマークを浮かべつつ指定された王都近郊の空軍基地に向かった。


 そこは、広大な敷地の中に巨大な箱型の空飛ぶ艦船が整然と投錨された、艦船専用の空軍基地だった。今回配属されたのはそこに係留していた一隻、戦艦オンワード。その艦載機が教導部隊専属の機体となる。


 空軍基地の入り口で手続きを済ませ、案内人が来るまでの少しの間、新たに受け取った書類を確認すると如何してここに配属されたのかようやく合点がいった。


 案内人に付き添われ基地の敷地を歩く。やがて辿り着いた建物の前で、先ほど貰った書類の教導官名簿に名前を連ねたゼクスさんが腕組みをしながらニヤリと笑みを浮かべながら仁王立ちして待っていた。


 そして、教導部隊に配属されて一週間後、早速魔導機の実地訓練を兼ねた輸送任務に従事した。……スピード感が半端ない。コネって凄ぇと思った。


 なんにしても、これで魔導機に触れられる、そして、大空を飛ぶことが出来る環境を手に入れられた。


 この時点で最高に楽観的な考えだったと、後になって思う。

我が妄想……続きでした。

読んで頂き有り難うございます。

次の更新は未定です。

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