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散文の後/北風(仮)  作者: 新辺守久/小珠久武
本編
10/17

アルフレイラ・一

 なにがどうなってこうなってしまったのか判らないけれど、この世界に生れ落ちてから三つの歳を数えた辺りで、前世の日本人としての記憶が生えてきた。いや、思い出したと言うべきだろう。


 地球は日本の片田舎で仕事や趣味に没頭して人生を謳歌して、それなりの年齢で寿命を迎えた男の記憶。


 惜しむらくは、人生の伴侶たる女性に巡り合えなかった事か。いや、趣味の一つとして漫画やアニメ、ライトノベルを嗜んでいて、そこに登場するヒロイン達を二次元の嫁として何人も抱えていたからある意味で幸せだったのかもしれない。


 取り合えず、二度目の生を受けられた事に喜びつつ、今世の両親の元で子供ならではの「何故、何、如何して?」いった形で言葉を覚えながらあれこれと質問しては、この世界の情報やら知識を収集していった。


 そうして見えてきたのは、科学はそれほど発展していなかったものの、この世界では当たり前の様に魔法が存在しいて、それによって不便さを補って余りある文明が構築されていた。


 残念ながら、電卓やパソコン、スマートフォン等の精密電子機器を見掛ける事は無かったけれど、魔素やマナ、エーテル触媒、そして魔法陣を駆使した現世界は下手すると前世界の地球より発展しているかもしれない。そんな思いを抱かせる魔導文明が開花した世界。


 その情報を元に、前世で嗜んでいた趣味のゲームやラノベの知識や記憶を引っ張り出して、ダメ元で自分の身体をもって色々と試してみた。


 まぁ、参考にしたのはファンタジー系異世界に転生転移した物語の主人公の如く、物心付く前から自分の内面にある魔力を練って様々な魔法を行使して、様々なヒロインをはべらせて世界中を旅していた。そんなラノベだのだが、知識が偏ってる気もしないでもない。


 それでも六歳の頃になると日頃の鍛錬と独学のお陰で体内魔力循環による身体強化を覚えて、九歳になった辺りで魔力量だけは大人顔負けの力量に達していた。「ラノベの情報ってマジだったのかよ……」と思ったのは内緒の話だ。


 反面、想像だけでは魔法は発現せず、何かしらの魔導の法則やら秘匿された技術なんかを学ばないといけないらしい。それと、骨格や筋力の成長阻害されたのか、身体の発育成長が同世代と比べて遅れているようにも感じた。


 この頃か。母に連れられて初めて王都に連れて行ったのは。新しく制式採用された新型の魔導機のお披露目を兼ねた国威高揚の軍事パレードを見物したのは。あとは、まぁ、父親がその展示飛行の搭乗員ってこともあったのだけれど。


 王都から少し離れた田舎に住んでいた為、王都に集まる人、人、人。この世界でもこれほどまでに様々な人に溢れていて、母に手を繋いでいてもらえたけれど、小さい身体ながら人波にもみくちゃにされ目を回しそうになった。


 王族と巨大艦ローテシルトの巫女が乗り込んだ御召艦おめしかんが上空に現われると、程なくして王都のメインストリートで軍事パレードが始まった。


 最初に勇壮な行進曲を奏でながら軍楽隊がやってきて、続いてカラフルな軍装を纏って統率の取れた行進をする兵隊がやってきた。


 目の前で列はどんどん進んでいき、儀仗兵っぽい騎馬隊とか輸送用の馬車や動力車が通り過ぎていく。けれども、戦車みたいな無限軌道の動輪を付けた車両が見当たらなかった。


 飛行機械があるのに攻撃用の車両兵器が無いとか、アンバランスな文明進化しているなと眺めていたら、その後ろから砲台を乗せてゴッツイ足でゆっくりと歩く四足型の戦車っぽいのが現れた。ゴーレム型移動砲台というらしい。


 どうやら動輪ではなく足を生やす方に進化したようだ。ゴーレム技術があれば、その内、人型兵器の登場もありうるんじゃなかろうか。脳内の片隅にそんな期待がぎった。


 でも、一番興味が引かれたのは、軍事パレードが始まった辺りから見えていた、やはりファンタジー創作物なんかで定番の大空に浮かぶ飛行戦艦。そして、その脇に随行する、前世で見慣れた飛行機に近い形をした、飛行物体。


 一緒に見ていた母は覚めた感じで見ていたけれど、父から事前に話を聞いていたのか、最近制式採用された魔導機だと淡々と説明してくれた。


 強いて例を挙げるのであれば、自分が前世で生きた時代では既に型遅れとなった、申し訳程度に風防が前面に取り付けられた、操縦席が剥き出しの単葉機や複葉機みたいな飛行機だ。違いがあるとすれば推進力を作るプロペラが無いことか。


 特徴的なのは機体下部の……ハードポイントって言うんだっけか、そこに取り付けられている武装。


 初めは増槽やミサイルに見えていたのだけれど、近付くにつれてそれが剣や突撃槍、魔杖だというのが判った。近接戦闘や投射攻撃、魔法防御を行う装備らしく、なんとも飛行機らしくない装備だな、と思った。


 そんな装備を施した制式魔導機に混じって、色合いが派手で明らかに制式のと違っているものや、角などゴテゴテした装飾を取り付けた魔導機も飛んでいた。


 なんでもエース専用や貴族のお偉いさん用に改造したものらしい。航空力学を無視した装飾や形状を見るによくそんなんで飛べるな、と感心した。


 前世の科学技術の知識が下地がある自分にとっては、ここはファンタジーな魔導文明が発達した世界なのだし、魔力や魔法の魔導的なナニかでゴリ押しで強引に飛ばしているのだろうと思う事にした。


 誰でも、魔力があれば魔導機関とエーテル触媒を使って飛ばす事が出来ると言うのは大変な魅力的な話である。


 そして、その欲求に従って軍事パレード終了後、魔導機に乗る為の情報収拾を始めた。といっても情報源は主に父だったのだが。


 前世の趣味の一つで、戦闘機のフライトゲームが大好きで大嵌りしていた所為もあってか、それとも身体が精神年齢に引っ張られた結果なのか、幼少から魔力を鍛えていたのはこの為だったのかもしれないという謎の天啓を受けたからなのか。俺の心の中で大空を自由に飛びたいという気持ちに火が点いてしまった。


 けれども、それを享受出来たのは半年間だけだった。


 父が、国境紛争に出征したのだ。

我が妄想……続きでした。

読んで頂き有り難うございます。

次の更新は未定です。

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