僕は誰と…?
「ごめんなさい、私たち別れましょう。」
あっけなく終わった俺の初恋。実ったと思ったのもつかの間、一か月もたたずに終わってしまった。
第一章 初恋
僕は佐藤望です。高校一年生です。あ、はい。生粋の陰キャです。年齢=彼女いない歴の僕は初恋などもなく生涯誰とお付き合いするわけでもなく死ぬのだと思っていました。そんな考えが壊れたあの日。今でも忘れられない。
四月、高校受験に合格した僕は見事三坂高校に入学しました。
「うわぁぁ、陽キャ多すぎるんだよ…」
しかし、夢の学校だったここは陽キャが通う高校になってしまっていたらしい。目立たないように生活することを目標に僕の二倍近くある校門をくぐった。
「のーぞみ!おっはよぉ!またよろしくね♡」
この声は幼馴染の後藤るなだ。幼馴染だからと言ってよくあるラブコメのような展開になったりは絶対にない。僕はこいつが嫌いだ。たぶんあっちは陰キャの僕をからかって楽しんでいるだけだ。そんな二人の間に生まれるラブコメなんてあるわけがないだろう。高校でこそは離れたかったんだがな…僕はこいつをそんな目で見たこともないしみたくもないが、こいつは美少女、らしい。もてる、らしい。中学生になって周りの男どもがそんなことを言っているのをよく耳にしていた。小学生の頃はまだ仲が良かった。お互いの家に行くなんて当たり前、休日も放課後も常に一緒だった。いやだなんて思ってなかったし、むしろ毎日が楽しかった。しかしあいつがかわいいと噂されるようになってから、告白なんて日常茶飯事になってからすべてが変わった。僕と一緒に歩いているとくすくす笑われ、ばかにされる日々が続いた。まあそりゃあそうだろう。かわいいとちやほやされるるなと、陰キャでクラスでは友達もいないような僕。並んで歩いてたら誰だって笑う。だから僕はあいつと距離を置くようにした。でもそれが失敗だった。るなは僕にくっついてくるようになった。
「ねえ望!なんで距離とってんの?」
「…は?べつにとってないじゃん」
「とってるじゃん!!私のこと嫌いになったの…?」
(なるわけないじゃん、でも僕といたらだめなんだよ)
「もういいから友達のとこ行きなよ。」
そう言って別れた僕は一人になりたくて空き教室へ向かった。ガラガラ、ドンっ
「はぁあ、なんでこんなことになってんだよ…」
「何かお悩みのようね?私でよければ話を聞くわ。」
「うぉっ、…誰だ?」
一人だと思ってた教室には先客がいたようだ。靴の色を見た感じ三年生だな。顔は…目線を上にあげたら思わず息を飲んでしまった。なんだこの美少女は。アニメの世界から出てきたのか?別世界に住んでいる人だというのはすぐに分かった。
「初めまして、佐藤望くん。中田心寧よ。よろしく。」
「あ、はい。初めまして。なんで僕の名前…」
「だって君、有名人だもの。」
「え!?僕が有名人?」
「あの後藤るなちゃんと付き合ってるっていう、ね?」
「いやっ!あの、あいつとは付き合ってません!!ただの、幼馴染です!」
「ふぅーん?まあ知ってたけど。」
「な、なんなんですか!からかうだけならやめてください、本気で嫌です。」
「ごめんなさい、でも私ならあなたのことわかってあげられるわよ?」
「どういう意味ですか?」
「さあ?どういうことだと思う?」
僕は話をしていてもあまり意味が無いと思えてきてこの部屋を出ることにした。
「そう、まあいいけれど。なにか聞きたくなったらいつでも歓迎するわ。」
そう言って中田先輩は紙を渡して去っていった。
ったくなんだったんだよ…でも、僕あの人の容姿、声、字何もかもが頭に染み付いて消えそうにない。胸の奥がきゅってする。なんだこれ、甘い感じ。初めての感覚だ…