表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

信頼

部屋。暗くて狭い部屋に若い男と女が向かい合っている。だが、二人とも普通ではなかった。


男は手以外を鉄鎖で椅子に縛り付けられている。その椅子は4本の足ががっちりと床に埋まっている。


女は四肢を鎖で天井と床に固定され、微動だにできずにいた。


部屋の隅には古ぼけた箱。男のそばにも箱、それ以外には何も無い。


男は医師でアラン、女は無職でノアと言った。二人とも相思相愛であり、結婚も考えていた。


さらに言えばノアには子供を孕んでおり、妊娠8ヶ月の身であった。


二人とも麻酔で眠らされてから数時間経つ。先にノアが起きた。


ノア「え、ここはどこ?なにこの鎖。あっ、アラン起きて、アラン」


アラン「えっ?こ、ここは・・・なぜ動けない。ノア、君もか、大丈夫か」


ノア「けがはないけど。でもどうなってるのか全然分からないわ。私たち監禁されてるの?」


アラン「ちょっと待って。・・・全く動けない。残念だがそうみたいだな。


だがおかしい。監禁するならただ縄で結べばいいこと。こんなややこしい方法はとらないはず


だ。おまけにあのドアが開いている。といっても君にはみえないか。」


ノア「ねぇ。アランの頭の壁に文字が書いてある。」


アラン「なんだ、読んでくれ。」


ノア「えっと・・・暗くて読みづらいけど・・・なんとか・・・


今回のターゲットは君達だ。君達は今、生死の淵にいる。生きるか死ぬかは君達の勝手


だ。では本題に入ろう。部屋の隅に箱が見えるだろう。そこにはアランの鎖を外す鍵がある。


そして君の側の机にも箱があるだろう。それは医療用のメスと針と糸だ。そしてノアの鎖の鍵


はノア自身の胃のなかにある。もう分かるだろう。アランはノアの胃を切り裂き、鍵を取り出


して鎖を外す。傷口を縫ってからノアに鍵を取りに行かせる。こんな簡単なことだ。では、健


闘を祈る。」


アラン「・・・・・そういう事か。この犯人は狂っている。俺たちを試してるんだ。なにが面


白いのかはわからないけど、この糞ったれ!」


ノア「もしかして、本当に・・・・切るの?」


アラン「そんなことは出来ないさ。第一、麻酔も消毒液もないのに君自身が持たないだろう」


ノア「大声で叫べば・・・」


アラン「この犯人はかなり用意周到だ。狂ってるがな。多分山奥か、人気のないとこだろう」


ノア「それじゃぁどうするって言うの。」


アラン「とりあえず・・・箱の中を見よう。」


紙に書かれていた通り中にはメスと糸と針。他には何もなく、ここで手術まがいの事をするな


ど不可能に近かった。そもそもアランは医師なりたてで手術の経験にも乏しく、まともな環境


でさえ上手いといえる手術は出来なかった。アランがメスを取り出した。


ノア「・・・・・?まさかする気?」


アラン「だってそうしないと二人とも死ぬ運命だ。この犯人はおかしいが頭はいい。これ以外


に方法で助かることはできないはずだ。」


ノア「待って、あと数時間でうんこが出るかも。」


アラン「出たところでここからじゃ君のお尻まで手が届かない。」


ノア「赤ちゃんは?赤ちゃんだっているのよ。この子を見殺しにするき?」


アラン「仕方ないだろう。子供なんてまた産めばいい。今は助かることが先だ。」


ノア「あなたって最低!!」


アラン「仕方ない」


アランが黙って銀色に輝くメスの刃を上に立てた。


ノア「ちょっと待って!!私は?私は麻酔もなしに腹を切られるのよ!!あなたはただ助かる


だけ?」


アランはおもむろにノアの服を上にずらす。恐怖で叫んでいるノアを無視して刃を大きく膨ら


んだお腹に突き刺した。


ノア「がああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!あなた完


全にいってる。これじゃ犯人と変わらないわよ!!!」


アラン「全然違う!!俺はしたくてやってるんじゃない!」


ノア「無抵抗な彼女にメスをいれるのよ!実験用のモルモットと一緒にしないで!!」


泣き叫ぶノアをよそにとうとうメスを大きく横にスライドさせた。鮮血が飛び散り口の中で血


の味がした。ノアは髪の毛を振り乱しながら狂気し、激痛にのたちうんでいる。さらにアラン


は肉を掻き分けて手探りで胃を見つけ出し、無常にもメスを入れていく。右手の指が胃酸でヒ


リヒリと痛む。ノアは激痛から首を落として気絶している。吹き出た生ぬるい血がヒザの上で冷え始


める頃、アランは確かに胃の中で金属質の物体に触れた。胃の中に両手も突っ込み、感覚の失


なっていない左手で鍵をがっちり捕らえ、引きずり出した。アランの頭の中はもはや自分が助


かることしかなかった。


鍵をすぐさま自分の鎖の鍵穴え差し込む。が、回らない。


アラン「そうか、これはノアの・・・」


アランは糸と針を取り出し、震える手つきで荒っぽくノアの胃はほっといて皮を縫い始めた。


縫合が済むと鍵でノアの手錠から外し、地面に倒れこんだノアの顔を何度も蹴って無理やり起こした。


アラン「さぁ!この鍵で足の鎖を外してあそこの箱の鍵を俺によこすんだ!」


ノア「うぅぅぅぅ・・・い・い・い痛い」


アラン「さぁ早く行け!君が先にくたばったらどうする!?」


ノアはかすかな精神と莫大な生命力で足枷を外しほふく前進で進んでいく。ドアへ。


アラン「おい!そっちは箱じゃないぞ!おい!まさか逃げる気か?俺をおいて?」


ノア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


アラン「おい!なんとか言え!この糞あま!!」


ノアは喋る気力もなくドアの外へと這い出た。


アラン「おおおおおおおおおおおおおい!!まてええええええええええ!やめろおおおお!」








アランは悲しみに暮れていた。アランの目の前に飛び込んできたものとは今まではノアの死角


となり見えなかった向こう側の壁に書いてある文字に気付いた。


「愚かなアランへ告ぐ。このメイン「ターゲット」は君だ。このゲームをクリアするには相手


との絶対的な信頼関係が必要だ。そんなことも気付かないようじゃ、君は生きるに値しない。


ここで死ね。」


アラン「くっっっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」




    

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ