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-デートってなんだ?編・夏-

屋台を横目に神社境内へ歩く二人。軽く握り合わさった二人の手と手


U木「なんかこういうのいいなぁ」


O原「ええ、先輩。」


U木「これをデートっていうのか。」


O原「ですね。…まだ花火まで時間ありますし、その辺をぶらぶら見てみましょう先輩。」


U木「だな、とりあえずお参りにいくか。」


O原「はい。」


・・・お参り終了後・・・


神社の鳥居を抜け、神様にお辞儀を済ました後、離れた手を再度、自然とつなぐ二人。


O原「先輩、何をお願いしたんですか?」


U木「世界平和。」


O原「そうですか…凄いですね。」


その割にはやや顔が赤いU木。


U木「…。」


U木の顔をチラッとみた後、視線を握りあった手に合わせ。


O原「ぼくは…、小さな幸せしか考えてませんでしたよ。小さいなぁ…、ぼくは。」


そんなO原の顔をチラ見した後、正面を向き平静を装いながら。


U木「まあ、世界平和は正月のときのお願いだけどな…今日のお願いは精一杯念じてみたよ。」


再びU木の顔を見、尋ねた。


O原「…なにを?」


瞬くような素早さで一瞬握り合った手を見、小さな声で言葉を発する。


U木「同じだ。」


O原「えっ?なんて?」


U木「腹減った。」


苦笑いしながら、目に見えた屋台を読み上げる。


O原「なんか食べますか!たこ焼き、焼きそば、かき氷…。」


U木「全部。」


思わず笑顔になり、U木にお願いする。


O原「はい!じゃあそこで座って待っててください。」


U木「でも、一人じゃ持てないだろ、いいよ。」


O原「忘れたんですか?今日はぼくのおごりですよ。神社では不覚を取りましたが、先輩には財布も触らせる隙はあたえません。」


U木「そうか?…(かき氷は)宇治金時で。」


O原「了解です!!」


・・・O原がその場を離れ、一人ベンチで待つU木・・・


U木の隣で奇抜な浴衣の着方(ローブ・デコルテ風着崩し)で、携帯端末片手に電話越しの相手(たぶん彼氏)に怒る女がいた。


連れが待ち合わせ場所を間違えて待ちぼうけをくらっている様に見える。


合流しても二人は気まずいんだろうなと思うU木。


・・・O原がパシリから戻ってきて合流・・・


O原「お待たせしました食べましょう先輩。」


U木が視線で指を指すよう隣に一瞬向け、O原に指示を出す。


U木「ああ、場所を移動しよう。」


U木が向けた視線をたどり、隣を見た後、思わず開いた胸元に視線がいった。

バツが悪そうに返事をする。


O原「は、はい。」


O原に視線を合わせず、また、O原が戦利品を両手に持っている為、手も握らず。落ち着ける場所を、探しながら、声をもらす。


U木「…男って単純だな。」


O原「すみません。」


U木「あれに比べたら俺の格好は地味か…コメントないし。」


何度か視線を歩くU木の頭からつま先まで往復させ、力を込めて言い放つ。


O原「そんなことないです。その水色の浴衣、よく似合ってますよ、綺麗です。その髪型(上げた髪)いつもと違った感じでどきどきします。絶対みんな見てますよ。」


O原の言葉を聞き、半歩程度、彼の側により、少し上ずった声を出す。


U木「そうか…、なんか急に落ち着かなくなったな。」


O原「ははは、あそこにしますか。」


U木「うん。」


・・・木漏れ陽の差すベンチで戦利品をつまむ二人・・・


戦利品をベンチの上に広げて、手を合わせた後、早速包みを開き、食べ始める。楊枝が刺さったタコ焼きを口に運ぶ。


U木「このたこ焼きでかいな。<パクッ>…うっ…。」


O原「そうですね。<パクッ>…うっ…。」


落ち込みながら、声をもらす。


二人「…残念。」


やや気落ちしながらも、O原にお願いする。


U木「まずい…こんな固くてまずいタコ焼き初めてだ。残り食っていいぞ。」


O原「いらないと言いたいですが、もったいないので頂きます。」


曇った顔を笑顔に戻しつつ、割り箸を地面に平行に持ち、待ち切れないと上半分を歯で挟んで、下半分を片手で下方に勢いく引っ張って裂き、箸を片手に焼きそばの容器を持ち上げる。


U木「口直しに焼きそばだなぁ。<パクッ>…よかった普通で。」


O原「そうですか。」


しばらくパクついた後、笑顔が消えて、無表情になるU木が感情を込めずに言う。


U木「O原さん残念なお知らせがあります。」


O原「なんですか?」


U木「麺、キャベツ、たまねぎ、紅しょうがはありますが探っても探っても肉が見当たりません…。」


O原「マジですか。」


U木「全部やる。ほれ」


O原「マジすか。」


やや疲れた顔でU木が最後の緑色の氷の塊をスプーン片手に持ち上げる。


U木「この気持ちを静めるのかき氷だな。<一口頬張る。>…これだけははずさないな。よかったなんか安心した。」


O原「なんかすいません。残念な感じで。」


笑顔を取り戻して、O原を見つめ言う。


U木「大丈夫。O原は悪くない。屋台はちゃんと選ばないといけないってことが分かっただけ、よかったよ。」


O原「そうっすね。」


食べさしのかき氷をO原に渡しながら、視線を右上向け、何かを思い出しつつ話す。


U木「そういえばかき氷で思い出したけど…。」


渡されたかき氷を受け取りO原が答える。


O原「はい。」


腕を組み、目をつぶりながらU木が語る。


U木「親父が手刀で割った氷でかき氷食ったことあったなぁ…あん時のシロップはブルーハワイだったなぁ。」


苦笑しつつも瞳の輝きは鈍らず素直な感想をO原が口に出す。


O原「凄いのか凄くないのかはわかりませんが、その記憶は中々消えないでしょうね。」


父の話題を出してしまった為、無意識的にO原の顔を見るが予想と違う反応であった為、思わず笑みをこぼしつつ話を続ける。


U木「だな、でもそん時の俺は(かき)氷に夢中だった。」


U木の笑顔につられ、少しオーバーに答える。


O原「マジすか。」


U木「マジだ。…食べ終わったら、ごみを片付けてそろそろ本格的に屋台回りますか。」


O原「そうっすね。」


・・・屋台散策後、日も落ちてきた為、二人は手をつなぎ、花火の観覧スペースに向かう混み合った列に並び移動中。・・・


前の方で、女性がドサクサに紛れ尻触わんなと誰かに怒鳴っている。


O原「先輩。」


U木「なんだ。」


O原「尻は僕が守ります。」


少し呆れたように返事をするU木。


U木「もっと気の利いた言い方ないのか。」


握り合った手に少し力を入れてU木だけ聞こえる声量で言う。


O原「先輩は僕が守りますもう離しません。」


U木「そうか。」


・・・空には舞い上がる花火を観覧スペースから見上げる二人・・・


視線を夜空から離さないが、握った手も離さない二人。


U木「綺麗だな。」


O原「ですね。」


U木「さっきはありがとな、正直嬉しかった。」


O原「そうですか…でも、本心ですから。」


U木「………花火、ホント綺麗だな。最後まで見ような。」


O原「はい。」


U木「…今日は最後まで守ってくれるんだろ?」


O原「もちろんです。」


O原の顔を見ながら願うように言う。


U木「家までな?」


U木の顔を見つめ返し、真剣に答える。


O原「はい。」


・・・数日後・・・


雑貨屋にて二人で携帯端末用のストラップ物色中。

「お揃いのリングストラップが良い。」としきりにU木が言う。

U木の手には真新しい携帯があった。



※U木先輩の両親の説得はU木母の(合格の)一言であっさり完了しました。母は偉大です。

ちなみに、U木父がいない時に左手を掲げながら、U木母がリングストラップを買いなさいと忠告したのは秘密の話です。

楽しんで頂きありがとうございました。


こちらのお話ですが初めて取材し、その中のエピソードを散りばめております。


それにしても、少し前に書いた物の為、最近の時勢を考えると微妙に表現を変えないといけない箇所が多いのですね(笑

まだヘッポコ物書きですが勝手に言葉狩りの恐怖に震えております(笑


実はこのお話はスピンオフが何作品かあります。

反応が良ければ、そこら辺も加筆修正し、アップ予定です。


U木先輩、かわいい。

O原君、見直した。

と思って頂けましたら、下にある評価やブックマークで表して貰いますと励みになります。


道 バターを宜しくお願いします。


他にも作品をアップしています。

作者ページを見て頂きますとなんとなんと!?簡単に見つかります(笑


ではでは別のお話でお会いできる事を楽しみにしております。

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