3 博士糾弾
勝手に亡き父の研究、脳内シナプスコントロール を、自分のものにした石田博士を糾弾しようとする凛。
「どうしてですか石田博士?」
凛と石田博士。1対1。地下駐車場。
「そんなに興奮して?どうしたんだ?凛」
「当たり前でしょう?父の研究を勝手に発表して!」
声を荒げる。車を開けながら、
「フフ。まあ乗りなさい」
「・・・」
ーー専属ドライバーが運転する中。
「理由は何なんですか?」
石田は煙草に火を付ける。
「おっと、煙草は、大丈夫だったかな?」
「ええ、構いません。答えてください。」
煙草を吸うと。
「いつか、こうなる時が来る」
「え??」
「宝の持ち腐れだとは、思わないか?凛?」
「何の事ですか?」
「総一朗の研究だよ。脳内シナプス活性化。これを埋らせておくなんて勿体ない」
「だからって、何が関係あるんですか?」
「考えてみたまえ、結局このまま、研究を隠していて何になる?」
「・・・」
「公開して、医療の役に立つべきだろう?」
「・・・」
「総一朗もそれを望んでいるはずだ」
「・・それはありません」
「ん?」
「父はこの研究を進めることを望んでいません」
「フフ、何故そんなことが言える?」
「父は私の目の前で、言いました、ごめん。って」
「・・」
「後悔してるんです・・」
「凛。君のいう事は、悪いが信じられない。目の前に居た、というが、それなら、なぜあれだけの爆発の中、無傷だったんだ?」
「それは・・」
「捜査の結果、君は精神的ショックによる、記憶障害があった、カルテにも残ってる」
「・・・」
「とにかく、もう言ってしまったことだ。今更変えられない」
「博士!・・」
車は目的地に到着する。
「凛、その内、君の力を借りることになる。だからしっかりしてくれ。」
石田は車を降りた。
ーーその後、凛の病院へ向かう。
「・・よろしければ、飲み物はいかがですか?」
運転手が話しかける。
「ありがとう。さっきの話、聞こえてたの?」
「いいえ、全く。この車の機能で、後部座席との音声はシャットアウトされています。
今、石田博士が解除されました」
「そう、聞いていてほしかったわ。1人じゃ心細くって」
「聞ければ、良いんですが。お力になれず、申し訳ない」
「いえ、いいのよ、ありがとう」
凜は、総合病院センターに到着する。
ーー
「おはようございます」
看護師たちと共に、今日も患者を診る。