1幻想 ~現在~
真相は、どこにあるのか?朧げな霧の中を進むように。
それに合わせるように、激動が始まる。
「ありがとうございます。凛先生」
深々と頭を下げる患者。
「お気になさらず」
診察室の外には行列。時刻は21:00。
本来17:00で病院は閉まる。が凜は、患者を対応している。
「先生、旦那が浮気してるんだよ」
「朝ごはん、パンにしてくれない?」
こんな相談を受けている。
看護師が言う。
「先生?そろそろ、閉めましょう?」
くだらない悩み相談が、連続していた。凜は、どんな話も受け入れるから、患者が増えていく。
「みんな、先に上がっていいから」
看護師たちは、凜に言われ帰る。診察は0:00まで及んだ。
ーー
自室のパソコンの前。時刻は深夜3:00.
患者のカルテを入力していた。
凜は立ち上がると、背伸びをして、ワインを飲む。
「おいしい」
唯一の癒しの時。何もかも忘れれる気がする。
「政治家にも個人情報の保護を!この大道寺を守ってください!」
テレビのニュースで何か言っている。おぼろげながら、
ほろ酔いで、そして、そのまま夢の中へ。
ーーー
(どこに行くの?)
先の見えない闇。手を引かれている。
(・・だれ?)
通路を曲がると、黒い扉がある。
(嫌!)
引かれる。
(あそこは嫌!どうして、また入れるの?)
閉じ込めないで!
ーーー
「・・・」
時刻は6:00。
「痛・・」
2日酔いか、頭痛を誤魔化す様に、シャワーを浴びる。
凜が夢を見始めたのは、最近。
その時、メール。
(緊急会見をする@石田博士)
「え?急に何、どういう事?」
何も聞いていない。仕方なく急ぎ準備する。
ーーー
「お待ちしていました。凛先生」
「ええ、ありがとう」
専属のドライバー。
「・・小泉さんは聞いてる?今日の会見の事?」
「いいえ、何も聞いてませんよ?いやいや、自分の名前覚えてくださるとは、光栄ですよ」
「そう、そうよね。一体何かしら?」
石田研究所は、凜も副所長として所属している。しかし解らなかった。
「凜先生、発表会、楽しみにしています」
「ええ・・ありがとう」
凛は会場に向かった。