10 ~over ACT~ 手術前夜
脳腫瘍の 蔵戸 卿。19歳。現代の科学では、治療不可能と言われている。
しかし、手術は決行される。
脳内シナプス コントロール。
今は亡き、凛の父の研究によって。
「卿くん。明日の手術、頑張りましょう」
「・・・」
「心配?」
凜が面談中。
「全然」
「そう、強いのね」
「いや、俺は寝てるだけだから。楽」
「そうかもね」
ーーー
マスコミ
「明日、蔵戸卿さんの手術が、人類始まって以来の、研究。シナプスコントロール、によって、行われようとしています。石田教授、これはどんな手術なんでしょう?」
「ええ、卿くんの脳内の腫瘍は、巨大で、5㎝程と推察されます。通常は、脳神経に複雑に絡み合い、摘出は不可能と言えます。しかし、脳内シナプスをコントロールする事により、全治が可能になります」
「一体どういう理屈なんですか?」
「シナプスコントロールで、神経の伝達路を、変えるんです」
「はい??」
「まあ、一般人には理解は難しいでしょうな」
「え、ええ」
「この方法によって、術後の後遺症は出ないでしょう」
「・・はあ、しかし、なぜ言い切れるんですか?」
「執刀医の、冴木凜。彼女の腕は確かですから」
ーーー
自室。凜はベットに横たわり。手に液体の入ったビンを持っている。
ラベルには(over ACT)
(お父さん、私、いけないことしてるかな?・・解らないの。何が正しいのか。けど、言ってたよね、迷ったら、人の命を救えって。だから、私、蔵戸卿を助けるから、いいよね?)
ビンを握りしめて、凜は眠りについた。
◆ 黒い夢
底なし沼から、助けを求める手。私は手を伸ばす。
もう大丈夫。
しっかりと手を握り締めて、引く。
だけど、私は、底なし沼へ、沈んでいく。
(どうして?なんで私が?ねえ、お父さん!?)
声は届かない。




