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――本当は奈美夜様はシェフに全部作らせたんですけどね。唯一手伝ったのは、重箱に詰める作業くらいですよ(廿浦・談)


「ごめんね、ナミヤちゃん。疑ったりして……! 余りにも豪華なお弁当だったからつい……!」


「まあ、聖様ったら♡」


「じゃあ、さっそく食べようか? あっ、でも。生徒と教師がこんなところで一緒にお昼ご飯を食べてたら怪しまれないかな?」


「聖様、それは心配ご無用ですわ。さあ、周りなんか気にせずに一緒に食べましょう!」


「ああ、そうだね……!」


――二人はそう言ってお弁当を仲良く食べ始めた。彼の言った大丈夫とは、私が出口で見張りをしているからです。誰かが近づけばスタンガンで気絶させます。そう言う風に、体にインプットされて刷り込まれてますから。因みに二人は出会ったあと、同じ学校で生徒と教師であることを知りました(廿浦・談)


「わぁ、この卵焼きなんか美味しい! 俺、卵焼き大好きなんだよね! ナミヤちゃんはきっと将来、いいお嫁さんになるよ!」


「せっ、聖様……!」


 その言葉に自然と顔が赤らめた。しかし、1つ不安が過る。彼は奈美夜が男の娘とは知らない。むしろ見た目から女の子と勘違いしてる。ついでに着ている制服もベタに女子用の制服だったからさらに彼を混乱させた。未だに真実を言えないまま、奈美夜は大好きな彼のお嫁さんと言った言葉に妄想の中で喜びつつも、本心では暗い気持ちになった。


「あっ、あのね。聖様、わたくし貴方に聞いて欲しいことが……」


「ナミヤちゃん――」


 彼は突然、じっと奈美夜の顔を見つめてくると名前を呼んだ。そして、ゆっくりと顔を近づけてくるとキスをしようとしてきた。


「昼間からこんな気分になるのは、いけないことかな?」


「せっ、聖様……!」


「ナミヤちゃん、俺の可愛い天……」


『グォアアアアアアアアアッツ!!』


「きゃあああああっ、聖様ッ!」


 その瞬間、彼の体に電流がビリビリと走った。そして、そのまま倒れるように寄りかかって気絶をした。


「ケダモノは油断も隙もあったもんじゃないですね。この廿浦、主君である奈美夜様のお側を一時も離れません。やはりこのまま息の根を止めてやりましょう」


「つづうらー! なんてことするのよ! 何も気絶させなくてもいいじゃない! せっかく彼とキスできると思ったのに邪魔しないでよ!」


「不潔な考えはおよしなさい。お坊ちゃまには、もっと相応しいお方がきっと現れます。このような階級の低い獣にその唇を容易く奪わすとはもってのほか! 目を覚ましなさい!」


「なっ、何よー! つづうらのバカァッ!!」


「コラお待ちなさい!」


 奈美夜は泣きながら重箱の蓋を投げつけると、保健室から飛び出して走りながら出て行った。


「ふぅ、まったく飛んだ跳ね返りですね。こっちの身にもなって下さいよ」


 廿浦は口にタバコを一本咥えると、それを吹かしながら気絶している聖矢をめんど臭そうに脇にあるベッドに寝かせて立ち去った。



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