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『無題』・・・prologue⑴
『無題』
㈠
ついに、題名が浮かばなくなった、訳ではない。ただ、題名を付けることに、少し違和感を感じ始めたのである。言葉などなく、意思疎通が出来れば、それが本当の幸せなら、題名なども、いらない、という範疇に入るだろう。何もかもに、疲れた訳ではない、寧ろ、これは、調整して挑戦することの端緒である。
㈡
恐らく、多くの先人が、無題、という題名を付けてきた。しかし、その模倣ではない。題名という、題名ではなく、題名がない為に、無題という題名にせざるを得なかった、と言う方が、適切だろうか。これからも、小説や詩や評論を書くが、現在の意識は、無題、と言うことなのだ。
㈢
夜の公園の、無数の星々が、我々に疑問を投げ掛けてくる様に、不可思議があった方が、地球を大切にするというものだ。俺の無神経、などと言う、規定文句の中で、俺は俺の言葉を、俺なりに操る。それは、自分が小説を執筆しているという、本体性の証である。言の葉の、連鎖作用を、自分は信じている。