5話 初めての戦闘
俺は、ナカータ村に着いた。
腹が減って仕方がないので、村長らしき人にお願いして早速ご飯にありつくとしよう。
ホカホカのシチューが俺の目の前に置かれた。
しかし、あくまでも俺の目の前だった。
それは村長さんの食事だった。
「君の食事はそれじゃよ。」
と、村長はテーブルの上に置いてあった豆を指差した。
ななな何だとーーー。
た、確かに依頼にはどんな食事とは書いてなかったけど………。 これはひどくないか?
一応ないよりはマシだから食べるけど。
「よし、食べたな。 それでは、早速行ってもらおうか。ゴブリンはここから2キロほど南に行ったところにある巣に住んでいる。依頼の条件となっている食事を食べたからには、儂の依頼を聞いてくれるよな?」
村長さんはとても笑顔で言った。
「え、村に来ている時に一網打尽にすれば、いいんじゃないですか?」
「君は何を言っているのかな?まさか、ゴブリンが来るまでこの村で食事にありつくつもりかね?」
はいぃぃぃ わかりましたよ。行けばいいんでしょ行けば。
「場所はここから真っ直ぐ行ってください。じきに、魔物の巣に見えるものがあるので……」
もう、早く行こ。
で、言われた道を通ったわけですが、どうしてこうなった?
目の前には、ツノが生えた狼。迫力満点ですねー。
いきなりピンチ?
「大丈夫です。狼牙族程度、智明なら蹂躙できます。」
さらっと、そんな事を言うバッツ。
あれ?あいつって俺のガラスのメンタルを舐めてるのかな? 今も怖すぎて、体が動かないんだけど……
「智明の身体能力は、高い身体能力を持つ狼牙すらも凌駕しています。」
わかった。こっちの方が速さが上だから攻撃は当たらないってことね。
はーい。ここでバッツに質問でーす。負けることは無いのがわかったのだが、どうやって攻撃すればいいの?
俺、剣とか持ってないよ。
「殴ります。」
………そうだ。俺格闘家だったわ。
そうこうしてる内に狼牙が襲いかかって来た。
長いツノをまえに突き出しながら突っ込んでくる狼牙。僕は左にステップして躱し、がら空きの胴体に思いっきりパンチした。
すると、狼牙は後脚を軸にして回転し、鋭い牙で俺の拳に噛み付いて来た。思いっきりパンチした俺が止められる訳はなく、俺の拳はの口に吸い込まれていった。
痛ったぁぁぁぁ。
狼牙の口の中で何とかパンチの方向変えて拳丸ごとかじられるのは避けたが、それでも痛い。
「格闘家固有スキル「身体能力強化」「体力増強」を発動しますか?
………発動してなかったんかーい。
いや、体がめっちゃ軽かったからもう発動してるかと思ってたわ。
恐るべし、俺の身体能力。
スキルは、勿論発動しまーす。
「スキル発動を確認。これより戦闘中は、腕力 脚力 握力 魔力が1.2倍 体力が1.5倍となります。」
よし、どっからでもこい、狼牙!
さっきの攻撃?で口を少し痛めたのかこちらにあまり寄ってこない狼牙に俺は猛スピードで突っ込んだ。
攻撃しようとしたら、さっきみたいになるかもしれないから、噛み付いて来たところを殴ろう。
俺が突っ込んできたのを見て、狼牙はツノを突き出してきた。俺は、狼牙の真似をして、殴る寸前で体を止め、右前に移動し、横っ腹を殴った。
ドスッ、と鈍い音がして狼牙は吹っ飛んでいった。
地面に倒れ、ピクピクと痙攣している。
ねぇバッツ、これって食べれるの?
「否、筋繊維が硬く食べるのには向きません。そもそも、皮がとても硬いので皮を剥ぐのも苦労します。」
ちっ、残念だなぁ。あー疲れた。闘ってる時は楽だったのになぁー。
あ、常に「体力増強」発動させとけばよくね?
「了解。スキル「体力増強」を常時発動。「身体能力強化」も常時発動させますか?」
勿論、YESだ。
そうして歩いてる内に目の前に巣?らしきものが現れた。