序章 不思議なバッジ
なんの変哲も無い高校生活。
そんな生活が始まる朝の通学路、俺は「それ」
を拾った。 不思議な模様が彫られたバッジだった。 かなり古い感じのものだったがキズは一つも付いてなかった。
俺〜四国智明は高2にまでなってこんな子供っぽいものつけるものか、と思い自分の頭の中から物欲を追い出した。
そして、今日も始まる学校に溜息をついた。
俺は東京の中でも名門と呼ばれるK高校に通っているが、悩みがある。宿題が多いのだ。 早く家に帰って、某国民的RPGゲームをやりたいのだが、
最近では宿題に時間を追われてその時間も減ってきている。
さっきのバッジは俺の厨二病魂を刺激してくれたのだが、あんなバッジを持っていることがクラスメイトにバレたらどうなるのか………。
それは誰にもわからない。
今日も長い授業を耐え抜いて家と言う名の天国に帰還するために帰路に着いた。
「それ」はまだそこにあった。
俺は大喜びでそれをリュックの中に突っ込んだ。
思えばそこから俺は不思議な体験をすることになったのかもしれない。 家に帰ると親はいなかった。
机の上に伝言。「今日は残業で遅くなるね。」
俺に父親はいなかった。父は俺が生まれたすぐ直後にトラックに轢かれてしまったのだ。
俺は母の為に勉強をした。 母の笑顔を見る為に…
それももう疲れてしまった。宿題を終わらすともう11時半になっていた。12時半までならいいかな?、と思いゲームをした。
久しぶりのゲームは最高に楽しかった。
で、 寝不足になった。結局、母は3時に帰ってきて、俺はそれまでゲームをしていたからだ。
頭が痛いなか、交差点を通っていると轟音が聞こえた。
トラックが猛スピードで迫って来るのが見えた。俺も父さんと同じでトラックに轢かれて死ぬのか、と思っているとリュックの中からバッジが飛び出した。
慌ててしまおうとすると、「それ」は俺の胸にくっ付いて離れなくなった。 トラックが急ブレーキを踏む音も、周りの人の悲鳴も、運転手の怒鳴り声も何も聞こえなくなって
目の前が光に包まれた。