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婚約は突然に

わたくしマタン・メイヴィルがユージーン殿下に初めてお目にかかったのは6歳の頃だった。同じ年頃の選ばれた上位貴族令嬢10名が2組に分かれて、陛下と王妃様、そして殿下をまみえた組み合わせで、お茶会と称した婚約者選びが行われた。


2組目の日。他の令嬢の「わたくし、わたくし」と自己主張が強い姿に驚いた私は、微笑みを絶やさず、質問には静かにうなずく事しか出来なかった。もちろん両親から「笑みをおこたるな」と言われていたのもあったのだが、本当の理由はお菓子を口に入れすぎて話すに話せなかったからだ。食べている最中に不意打ちで話題を振るなんて酷いではないか。あの時のユージーン殿下の笑顔の裏側には、絶対悪魔がいたと思う。


おいしいお菓子といろんな紅茶に大満足で帰った私に試練は訪れた。あんなにも素敵なレディ達が沢山いたにもかかわらず、殿下の婚約者に選ばれてしまったのだ。


お父様とお母様は大慌て。どうやら有力候補は3大公爵家のご令嬢達で、私はただの数合わせだったらしい。一応我が家は建国前から続く由緒ある伯爵家であるから身分は申し分ない。しかし、今まで王室に嫁いだ例がないので作法が全くわからなかった。お父様はそれぞれの公爵家に頭を下げて、用意するものや細かいしきたりを教えてもらい、無事に王家から婚約の書状を受け取ったのだった。


王妃教育は順調だったと思う。そこそこ苦にもならずに、勉強もダンスも貴族との顔合わせも出来た。月に1度の殿下とのアフタヌーンティーでは、近況を報告して反省と改善を話し合った。


全てが順調―――のはずだった。


13歳になったある日、私は気づいてしまったのだ。


この婚約は『政略結婚』なのだと。






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