第39話 優紀と香織
またアマアマ展開です。読者様、最後まで読んでください。不安で仕方ありません。
(あくまでフィクションです)
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「いらっしゃーい、待ってたよ」
春陽と綾香のマンションに訪れたのは優紀と香織だった。
香織は玄関で部屋を見回して、不思議な顔で首を傾げる。
「本当に綾香先生と春陽って一緒に住んでるんだ?」
「そうだけど? なにかおかしな所ある?」
香織からすれば、先生と生徒が一緒に暮らしているという時点であり得ない話だろう。
友達が来ても、堂々としている綾香と春陽を見て、香織はまだ信じられないのだ。
「きれいな部屋だな。良く片付いているし、小物もきれいに置かれている。春陽の部屋とは思えないな」
「ああ、部屋は綾香が掃除してくれているから、整理整頓はばっちりだよ」
「綾香先生だろう!」
優紀が呼び方を正す。
「家の中に入れば、もう生徒も先生も関係ない。俺の大好きな女性、綾香さ」
「大好きなんて言われると嬉しいです。私も春陽君ことが大好きです」
綾香が喜んで春陽に腕を絡める。
優紀と香織は納得できていないような顔をしているが、今更、優紀と香織の前で春陽は演技をするつもりもなかった。
それに今日は優紀と香織が春陽のマンションに訪れることは学校で聞いていたので、春陽と綾香は2人の前では普段通りにイチャつこうと話あっている。
そのほうが優紀と香織には刺激になっていいだろうと春陽と綾香の意見は一致している。
「玄関に立っていても仕方がないよ。靴を脱いでリビングへ上がってくれよ。今、紅茶の用意を綾香がするからさ」
優紀と香織がゆくりとリビングに歩いてくる。そしてリビングの置いてある大きなソファに座る。
香織と優紀が座ると春陽もソファに座る。
「あれから話し合ってどうなったんだ?」
いきなり核心をつく春陽に優紀と綾香は動揺を隠しきれない。
2人共顔を真っ赤に染めている。
優紀が難しい顔をして両手を握り閉めている。
「香織の事は小さな時から好きで、意識していることは伝えた。でも、それが幼馴染としてなのか、1人の女性として意識しているのか、俺には正直に言ってわからないんだ」
あまりにも優紀と香織の距離が今まで近すぎたための優紀にその弊害が出ている。
「私も優紀のことは大好きだけど、昔からの癖で、ついつい言い合いになったり、喧嘩になっちゃうことが多くて、春陽のいうように甘えることは無理だったわ」
優紀だけかと思ったら、香織にも幼馴染の習慣が染みついていて、なかなか素直に優紀に甘えられないと言う。
綾香がリビングのテーブルに紅茶を置いて、2人にクッキーを添えて差し出す。
そして何も言わずに、綾香は凄く自然に、春陽の膝の上に座って、春陽に背中を預ける。
「紅茶、冷めないうちに飲んでくださいね。クッキーも丁度良い甘さですよ」
綾香はクッキーを2枚取り、1枚を春陽の口へと運ぶ。春陽も口を開けてクッキーを食べる。
その姿をみて優紀が目を丸くしている。香織はまた始まったというように呆れている。
「いつもそんなに密着してるのか? ソファは大きいじゃん」
「俺は綾香を抱っこしているのが好きで、綾香は俺に抱っこされているのが好きだから、自然とこうなった」
当然そうに春陽が言う。
春陽が何気なく綾香のお腹に手を回して、綾香のお腹を撫でている。
その手を見て香織が首まで真っ赤にしている。
「春陽、綾香先生のお腹を触るのは止めてよ。恥ずかしいじゃない」
「ああ、ゴメン、いつもの癖で、ついつい撫でてしまうんだ。俺は家でリラックスしている時は綾香のお腹を擦っているよ」
「そうですね。春陽君は私のお腹を触るのが大好きです。いつも料理中でも触ってきますから」
綾香がフワリとした微笑みで香りを見る。
「別段、エッチな部分を触っているわけじゃない。優紀のお腹を触ってみるといいぞ。優紀のお腹は腹筋が割れていて触り心地がいいと思う」
優紀がげんなりをした顔をする。
「春陽、また香織に変な情報を流すのは止めてくれよ」
「2人共、スキンシップを取ることを恥ずかしがっているから仲が進展しないんだよ。香織、今、優紀のお腹を触ってみろよ」
香織は優紀の顔を見て迷っている。しかし、好奇心は優紀のお腹を触ってみたのだろう。
ゆっくりと手を伸ばして、座っている優紀のお腹を触る。
「固いのに弾力があって、柔らかい。春陽の言う通り癖になりそう」
香織は嬉しそうに春陽に報告する。
香織は優紀のお腹を触っているので、段々と優紀に身体を寄せていくが、そのことに本人は気づいていない。
春陽の膝の上に座っていた綾香は、春陽の首に手を回して、春陽の体に密着すると、春陽の首筋にキスをする。
それを見た香織と優紀が固まっている。
春陽は綾香に首筋にキスされているのに、無表情な顔つきで紅茶を落ち着いて飲んでいる。
それを見た香織は思わず口を挟む。
「綾香先生、ちょっとやり過ぎ。春陽君も平然と紅茶を飲んでないで、少しは止めなさいよ」
春陽は紅茶をテーブルに置いて香織を見る。
「綾香は俺の首筋が大好きなんだ。だから良くキスしてくれる。俺も綾香の首筋が大好きだから、よくキスするよ」
「そんな恥ずかしいことを宣言しないで」
「香織さん、エッチなことをしていません。好きな人の好きな部分にキスしているだけです。おかしなことではありません。自然なことです」
綾香がおっとりとした口調で香織に説明する。
香織が羨ましそうに春陽と綾香を見ている。
「香織、羨ましかったら、今、優紀の首にキスしたらいいじゃん。今なら誰も見てないぞ」
春陽が香織をたきつける。それを聞いた香織が優紀を見る。
優紀は体を緊張させて目を泳がせている。
「ここは俺と綾香の家だから、遠慮せずにイチャついてくれ。それでないと俺と綾香もイチャつけないだろう」
春陽は追い打ちをかけるように香織にいう。
香織は意を決したように優紀に寄り添い、優紀の首に手を回して、首筋にキスをする。
その仕草はぎこちないが、香織から色香が漂い始める。優紀は緊張して体が固まったままだ。
優紀はとても恥ずかしいのだろう。体中を真っ赤に染めている。
香織は綾香は春陽が見ているのも関係なく、何度もキスをしては甘い息を吐いている。
香織はいつの間にか、隣に座っているのがもどかしくなって、優紀の膝の上に身体を乗せて、首筋へのキスに夢中になっている。
「優紀……好き。大好き!」
小さな声で、優紀の耳元で香織がささやく。
優紀は緊張したまま動けない。今まで香織にここまで接近されたことがないのだろう。
春陽と綾香は内心で上手くいったと安堵した。
このままだと香織と優紀は幼馴染のままの関係を続けていくしかないだろう。その天秤を崩すにはスキンシップしかない。
恥ずかしがり屋の優紀から、過度のスキンシップを香織に求めることはない。
香織がスキンシップを行い、優紀がそれを黙認する、許すという2人の関係が1番自然だろうと、香織達が来る前に、春陽と綾香で話し合っていた。
香織は優紀のことが好きでたまらない。1度、恋の炎を点けば、香織は止まらなくなるだろう。
春陽と綾香がイチャつくことで、香織の恋心に火が灯るだろうと計画していた。
綾香が目を潤ませて、春陽の耳元でささやく。
「香織さんを見ていると興奮してきました。春陽君にキスしていいですか?」
「いつものようにしていいよ」
春陽は平然と答える。
綾香は春陽の顔を両手で優しく挟むと、唇を重ねてくる。ソフトタッチで唇と唇を重ねる。
それだけでも綾香の柔らかな唇の感触が春陽に伝わってくる。
いつものことだが、春陽はそれだけで幸せを感じる。
それを見た優紀が思わず声を出す。
「キスはやり過ぎだろう。いつもキスしてんか?」
綾香は妖艶な微笑みを浮かべて、優紀を見る。
「ただ、唇と唇を重ねているだけのフレンチキッスです。外国だと普通に友達同士でもするキスですね。だからエッチな行為ではありません」
それを聞いた香織が目を潤ませて優紀を見る。
「私も優紀にキスしたい。唇を重ねるだけでいいから。優紀、お願い」
「……」
優紀は混乱していた。香織のことは好きだけど、こんなことをしていいのかと自問自答している。
香織はじれったくなり、優紀の首に手を回して、優紀の顔を胸に抱きしめた後に、かすかに唇を触れさせる。
香織が優紀の瞳をじっと見つめて甘えた声を出す。
「優紀とキスできて、今日、私は幸せ。じっとしてくれてありがとう。優紀、大好きよ」
香織の心からの素直な言葉に、優紀の顔が驚きに変わる。
今まで、こんな素直な香織を見たことがなかったからだ。
優紀の目から見ても、今の香織の心には棘がなく、素直で可愛い美少女に見えた。
優紀は本当は香織の素直で優しい顔が好きだった。
春陽が綾香と唇を離して、優紀を見る。
「人は人に見られているのが常習すると、殻を被るもんだよ。今の香織が本当の香織だよ。可愛いじゃないか」
「ああ、今日の香織はいつもの数倍も可愛い。どうしていいかわからん」
それを聞いた香織が目に涙を溜めて、優紀の首に縋りつく。
「いつも強がってばかりでごめんなさい。素直でなくてごめんなさい。本当は優紀のことがいっぱい、大好き。これが本当の私なの」
優紀も諦めたようにポツリポツリと話始める。
「俺も、香織の前だといつも強がってばかりだ。素直になれない。本当は香織のことは特別に思っている。でもそれが好きという感情なのか、幼馴染という感情なのか、俺にはわからない。ごめんな」
「それでもかまわない。私が優紀好きだから。これからは家にいる時は素直になってもいい?」
「ああ、春陽みたいに甘えさせてあげられるかわからないけど、香織は特別だからな。甘えてくる分にはいいぞ」
とうとう優紀の心が柔らかくなった。
香織を見て優しく微笑んで、髪の毛を撫でている。
香織は夢中で唇を重ねる。
これで明日から、優紀と香織も意地を張らずにお互いに一緒に登校できるだろう。
春陽はそんな2人を見て安堵の息を吐く。
すると春陽の肩にしなだれていた綾香が耳元でささやく。
「私、2人を見ているとモヤモヤが溜まってしまいます。春陽君とキスしてモヤモヤを解消したいです」
「いいよ。おいで」
春陽はキュッと締った綾香の腰に手を回して、綾香をギュッと抱きしめる。綾香は我慢できなくて春陽の唇を吸う。
優紀はそれを見て目を丸くする。
「いくら何でも、それはやり過ぎだろう!」
春陽は綾香と唇を離して平然とした顔で優紀を見る。
「基本的に俺から綾香に求めることはしないよ。綾香がしたいようにさせているだけだよ。綾香は甘えただから、香織に当てられて興奮してしまったらしい」
「一線を超えたらどうするんだよ」
春陽に聞いているが、これは優紀が悩んでいることだろう。
香織と仲良くなって止められなくなる自分が出てきたらどうすればいいのか不安なんだろう。
「だから俺からは綾香に求めないって言ってるだろう。俺は綾香を甘やかすのが好きなんだ。俺は綾香といれば十分に幸せだからね」
綾香はすごく甘えてくるが、エッチな部分は絶対にさせてくれない。綾香が許可したことだけしかできない。だから春陽は綾香に任せてしまっている。
「いつもながら春陽は妙な所で割り切ってんな」
「だって綾香は大人の女性だし、してはいけないことの分別を持ってる。綾香に任せておくのが1番だよ」
最近の綾香の甘え方が増しているので、綾香を大人の女性として見えなくなっている。
春陽にとって1人の愛しい女性だ。
自分が愛しく思っている女性が甘えたがっていれば、できる範囲で甘えさせればいい、春陽はそう考えていた。
綾香は優紀と春陽が話している間、放置されていることがイヤらしい。
すぐに春陽の唇は綾香に奪われた。
それを見た香織が甘い息を吐く。
「私にはまだ、そこまでの勇気はないかも。心の準備が必要。今でも心臓がドキドキしているから」
それを聞いた勇気が安心した顔で微笑む。
そして香織の艶々した黒髪を手で梳いていく。
「俺達は俺達のペースで進もう。春陽と綾香先生のペースについて行かなかくていいよ。あれはイチャイチャし過ぎだ」
「見てるこっちが恥ずかしくなるものね。でも今日は2人に感謝だわ。私、こんなに素直になれたのは久しぶりだもん。優紀、もっとキスさせて♡」
「仕方がないな。今日だけだぞ。家だと歯止めがなくなりそうで怖いからな」
そういって、香織がフレンチキスをしてくるのを優紀も受け止める。
明日から香織の雰囲気は変わるだろう。優紀も今までのように恥ずかし過ぎることはないだろう。
2人の変化が楽しみだと春陽は密かに思った。
綾香は春陽の唇を吸って、目をトローンと蕩けさせている。
一番の甘えたさんは綾香だな。




