エピソード9:とうとう来た1ヶ月後
あれから1ヶ月、私は晴れて念願の高校生活を送ることが出来るようになった。
最初のうちは嬉々として登校していた私のやる気と体力は日が経つにつれて衰えてきた。
高校生の日常というものが私の理想とあまりにかけ離れたものだったのである。
私を含め男2女2くらいの構成の仲良しグループを生成し、帰りに本屋やスターバックスにより勉強したり談笑したりしながら毎日を送り女2のうちの1人と恋愛に発展する…
あぁ、昔の私はなんて愚かだったのであろうか。
現実はそこまで甘くはないと言われ続けている通り究極に私が生きにくい世界と化している。
教室では美しくさえある孤立を保ち影では「ひょっとこ」と呼ばれ侮蔑の視線にさらされる。
いつも口笛を吹いているだけなのになぜそんな曲がりくねった表現を用いてまで侮蔑されないといけないのだろうか。
そんな私であるが、最近判明した事実がある。
それは田中君と私が高校で一緒になったという唾棄すべき事実、恥ずべき運命である。
田中君は厨二病のころ私の能力をコピーしたせいか、私と同様三大ボッチのうちの1人に数えられている。もうひとりは佐藤君である。
ところで、先ほど田中君の厨二病に「〜のころ」という過去のような表し方を用いたがそれはまだマシだったのが過去だったという意味での過去形である。
今の田中君の荒れっぷりはギャラリーが集まるほどの凄まじいものである。
最近の彼の厨二心をくすぐるものは見えない敵との死闘であるらしい。
休憩時間毎に大廊下で繰り広げられるシャドーボクシング的なものは学校中で噂になっており、
あれで熊を撃退したなどのデマも流れているがそれを疑う人間は出てこず
近づくものは木っ端微塵になるというただの高校生にしては異常なほどの噂の立ちように私自身もどうかしていると思ったのでその噂に確証があるのか噂の根源を辿ることにした。