第十話
束の間の再会。
的場薫の前に現れた紅い瞳の青年、的場薫は、「また救ってやったな」と冗談めかして言った。
「戦えるか?」
「行けます」
立ち上がった薫は、自身の『適性銃器』である『Outlaw M1894』レバーアクションライフルを手中に喚び出した。
それを見た青年、的場薫は表情を曇らせる。
「そいつで戦場を駆けるつもりか? ちょっと待ってろ」
青年は入ってきた穴に向け「凛子、居るか!」と叫んだ。
凛子という名前に、無意識に三科凛子を思い浮かべてしまい身をすくませた。そんな薫を他所に、壁に穿たれた大穴から一人の少女が現れた。
天鵞絨のような黒髪を後ろで束ね、口元をマスクで隠していても分かる程に美しい面持ちをした少女を前にして、薫は思わず息を呑んでしまった。
「お呼びですか、大尉?」
「彼にお前の『M8』と予備のマガジンを渡せ」
青年の提案に、凛子と呼ばれる美少女は無表情に薫を一瞥した。
「何故ですか? 見たところ、彼は『適性銃器』を持ち合わせているようですが?」
「拳銃弾のシングルショットのライフルで前線に立たせる分けにはいかないだろ? お前は『適性銃器』を使え」
青年に説得された凛子は、不承不承に「了解」と告げた。そして薫の方へ歩み寄る。
薫にしてみれば、『Outlaw M1894』をメインウェポンに戦場に立っても問題は無かったのだが、やはり制圧力の面を見ればオートマチックのライフルの方が効率が良い。ここは有り難く受け取っておこうと、心に決めた。
「どうぞ」
ずいっと無感情に『M8A2』と予備マガジンを手渡された。無感情ながら、凄みのある語彙に気圧されてしまう。
それでも薫は「ありがとうございます」と礼の言葉を述べ、それらを受け取りながら準備を整える。
「凛子、この二等兵の戦い方をよく見ておけ」
「は?」
青年の言葉に疑問符を浮かべたのは、凛子だけでなく薫も同じだった。
自分の戦闘の何を見ろと言うのだろうか。
「さぁ二等兵、くそったれの『アンデッド』共を蹴散らしに行くぞ!」
そう意気込んで、青年、的場大尉は戦場へ飛び込んで行った。
薫は青年に続き、大穴から部屋を飛び出した。
今年の更新はこれで終わりです。
皆様、良いお年を。




