第十話
目覚めよ、そして吼えよーーーー
的場薫は『Re.SAA』回転式拳銃を取り出し、一ノ瀬優の亡骸へ銃口を向ける。
戦死した兵士へ対する処置の一つだ。
死因が変異する前の『不死人』のものなら行う必要は無いのだが、今回の場合は変異種に重傷を負わされて殺された。
確率で言えば、百パーセントの数字で彼女は『不死人化』してしまう。
そうなれば、彼女は我々の敵となってしまう。
意識があろうが無かろうが、もう人間で無い限り、殺さなければならない。
そんな事、薫には出来ない。薫だけでなく、誰だって元戦友に銃口を向けるなど考えたくも無いだろう。
故に、死後直ぐに『対不死人弾』を撃ち込む事で、死体の『不死人化』を防ぐのだ。
薫は銃口を、彼女の心臓へ向ける。
通常は確実を喫して頭部へ銃弾を撃ち込むのだが、それだけは例え死んでいたとしても薫には出来なかった。
「イチ、せめて安らかに眠ってくれ…………」
一息に引き金を弾く。
乾いた銃声が鳴り響き、『対不死人弾』が撃ち放たれた。
薫は涙を拭い、『適性銃器』である『Outlaw M1894』レバーアクションライフルを手中に呼び出す。
トリガーガードと一体となったレバーを捻り、初弾を薬室に込める。
「すまない。仇は、必ず僕が討って見せるーーーー」
一ノ瀬優の亡骸にそう告げた的場薫は、彼女の体を抱き上げて踵を返し歩み出す。
薄暗闇の中で、彼の紅い瞳が妖しく煌めいた。
予告みたいなノリで、一話分を使いきる。




