No.3 クリスタリスト王国1
side朔
道中は、王族の暗殺のために徒歩だった。
うん。水地様辺りになると、息をするように空を飛行できるのでそこまで苦痛ではないが、訓練もしてない少女に長時間歩き続けるのは苦痛だった。
整備されていないことも合間って、足がもう痛い。
ティフィスは気遣ってくれてるけど、遅れをとるわけにはいかない。
これでもこの世界の神となったのだ。
教わった通り神は威厳がなくてはならない!
ます、最初に出会ったのはスライムだ。
不透明の青。あまりきれいじゃない。ペンキみたいな色だ。
この世界では、魔族と魔物がいるらしいが、人間と野性動物と関係は一緒なので、別に普通に倒した。
スライムは騎馬としても使えるが、バランスボールで跳ねて前進するみたいなことになるらしく、諦めた。
乗るとしたら狼みたいなやつか、馬がいいな。
お婆様はスライムとか粘液生物とかを、うまく使役してベルトコンベア見たいに動かすことができるらしいが、私にはむりだ。
「先ほどのモンスターは、スライム種族の最劣化のゼリーといいます。スライムと違いゼリーのような固さですね。」
「へぇ、ゼリーね。スライムじゃないんだ。」
「えぇ、あなた方の言う、アールピージーなるものでは初期に出てくるモンスターのようですが、ここでは違います。
スライムはもっと魔素の濃い場所に生息するモンスターで、物理攻撃無効のモンスターです。倒す方法は魔法一択。」
「へぇ、スライムってもっと種類いるものなの?」
「はい。鉱物を生成するジェリー、透き通った色のジェルゼリー、燃料になるジェム、そして魔素の濃い場所から生まれるスライムですね。
強さとして、スライム、ジェリー、ジェルゼリー、ジェム、ゼリーの順に弱く固形に近くなります。」
「燃料になるのもいるのね。」
「えぇ。そうですね。スライム種族の知能は低いので考えればすぐ倒せます。ゼリー程度だと子供が4.5人で怪我なく倒せますしね。あぁ、でもスライムによくにた別の生物もいます。真っ黒で大きな口を持ったものと、奇妙な鳴き声を発する黒く、所々さまざまな色を発する液体生物。彼らは知性が高く、従属できればいい使い魔にできます。」
「……無形の落し子とショゴスかしら?奇妙な声はテケリ・リ!じゃないの?」
「ぁ、知ってましたか。そうです。」
「落し子がこっちにいるのはビックリしたけど、ショゴス辺りなら予想はしてたわ。是非ともショゴスは使役したいわね。向こうでは機会に巡り会う前にこっちに来たから。」
裏日本じゃ、ショゴスは二種類いた。
食用とペットだ。
食用はまんまゼリー。ただちょっとうるさくて動くぐらい。ペットは番犬にも使い魔にもなるようなもので、まんまだった。
それからの道中は平和なもので、旅商人がはまったのを助けて、お礼に乗せてもらったりして、すぐに目的国についた。
ティフィスはドールから貰っていた変身薬により黒髪の青年に変身した。
国はお祭りモードで警備はゆるゆるだ。
これから王都に向かうまで、徒歩だと一週間かかるのだが、機嫌の良い商団の人たちが私とティフィスを拾ってくれた。
ティフィスは名バレするの可能性があるで、ティフィーと呼ぶことになっている。
この世界では男名とか女名はないらしい。なんか、某ウサギキャラクターみたいな名前だ。
私は朔のままで問題ないが、私とティフィー(ティフィス)は兄弟ということになっている。
で、宿屋でまず最初の問題が起こった。
「兄ちゃん、妹ちゃんと二人旅かい?」
「ええ。そうです。」
「あー、どうする?兄弟水入らずか、シングルを二つとるか?」
「どうします?」
どうします?って言われたって、ほんとは兄弟じゃないし、人間相手とはいえ私は半分は入ってるけど、一応神族だから。
ここは兄弟だし二人部屋が好ましい?わからない。
こうなると、たいへんだ。ああ!私にテレパシーが使えたら!
でも、イケメンと同室か…悪くない!
それより宿屋のおっちゃん、私たちをちゃんと兄弟って見えるみたい。これからこの国の現国王とか王族を暗殺するってのに、だますのは後ろ髪が引かれるな。
とても幸せそうなのにね。まぁ、こんなところでやめて放棄とみなされ水地様来るといけないしね。
「これから話さなきゃならないし、二人部屋でいいでしょ。お兄ちゃん。」
「そうだね。」
「そうかい!じゃあ宿泊名簿に名前を書いとくれ!」
「書いたよ!」
「おお、兄ちゃんがティフィー、妹ちゃんがサクだな。」
「ええ。」
「二階の一番奥のへやだ。一階は酒場になってるがそこでがっつりと飯が食える。うまいからって食べてばっかじゃ、舌が肥えちまうからほどほどになってな!がははっは‼」
随分と元気なおっちゃんだな。樽でビール飲むのがすきそうだ。
で、部屋だけどかなりきれいにされている。
この国はざっと見る限り滋賀県のように国の中に巨大な湖がある。滋賀県と大きく違うのは、湖の上に水上都市があるってくらいだ。水上都市の真ん中に王の城はないが、巨大な祭壇のようなものが見えた。
聞いてみたところ、祭壇ではなく神の御殿らしい。
たぶんこの世界の創造主を祭ってあるのだろうと思っていたら、精霊様というものを祭っているらしい。
私の所属は、仏教とか西洋系とか、神道や原始神道とかじゃなくて、もっと大雑把なものだ。
だから御殿とかは必要じゃないらしい。水地様曰く、『必要ないけど、もらったら普通にうれしい。』
まぁ、話は王族関係に戻すけど、明日はあの御殿で祭典があるらしく、国全体が浮かれていた。
つまり、チャンスだ。
祭典で紛れこみそこでやる!完璧だ。
ティフィスと打ち合わせをしてお互い眠った。
ほんと、昨日はそれだけで、夜は何もなかった。
お風呂が大きかったのと、星がきれい。空が幻想的な色をしてたよ。