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プロローグ
勇者と魔王の戦いは何年もの間続けらていて、魔王が打たれたのはもう数十年もまえのことになる。
だが、魔王が打たれたとして、平和になったというわけではなく、魔族側に統制されていた魔物が、統制する者が居なくなったことにより、昼夜をとわず叫び、貪り、襲うようになっていた。
人々は必死に祈りを捧げ、いつしか神の道具でしかなかった“精霊”というものは、“精霊様”と呼ばれる意思あるものになってしまった。
“精霊様”はこれから生まれてくる“間王”という神の代行者と“間者”と呼ばれる者達の存在を嫌い、信者に魔族として滅ぼすものとして人間に教え込んだ。
そして勇者が生まれた。
勇者は間王を殺すために作り出された道具でしかない。
だから、真実を知るものはこう言うのだ。
「精霊様こそ、本物の魔物だ。」と。
神はしばらく精霊をどうにかするために、試行錯誤してあることに気がついた。
「違う世界を作ってしまえばいいんだ。」と。
この世界を誰かに押し付けて楽園に移ってしまおうと。