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真王と盟約の戦姫  作者: ダンタリオン
プロローグ 内乱編
5/7

叛逆


――――数ヶ月後。




「リュクシオン様!?大変です!?」


 シオンは何時も通りに政務をしていると兵士がノックもせずに息を荒げながら執務室に入ってくる。


 シオンはそんな兵士の様子に並々ならぬモノを感じ、兵士が無断で執務室に入って来た事を咎めず、何をしに来たのか訪ねる。


「落ち着きなさい。一体何事ですか?」


「・・・は、はい!そ、それが、シーワントが・・・・シーワントが何者かに占領されましたッッッ!!??」


「なっ!?どう言うことですか!?詳しく説明してください!」


 兵士はシオンの怒声にも近い声で問われた事により、慌てて説明を始める。


「は、はい!昨日、深夜三時頃、南の大砦シーワントを守護していたカーマ・イング准将から『通信用魔導具』で連絡が入りました!内容は『今、我々は何者かの軍勢に襲われています!敵の数およそ五千!敵の首領(リーダー)は不明。敵の主体は天族ですが、敵の軍には魔族も混ざっています!』と報告がありました!」


 兵士の報告を受け、シオンは難しい顔をしながらこの天空都市島アルマメイリの地図を思い浮かべていた。


 天空都市島アルマメイリ――――八角形の形で東西南北に大砦がそれぞれ存在し、中央に首都が存在する。東西南北にある大砦には、それぞれ准将以上の階級の人が守護している。


「そうですか。天族だけでなく・・・・魔族も混ざっていましたか。それで、カーマ准将はどうしましたか?」


「はっ!カーマ准将は敵に討たれたとおもわれます」


「そうですか・・・・」


「如何いたしますか、リュクシオン様」


 シオンは暫く考えた後に言う。


「秘密裏に第二訓練場に三千の兵と天馬を集めてください。私も準備が整いしだい向かいます」


「た、たった三千の兵で戦う御積もりですか!御辞めください!危険です!」


「早くしなさい!敵に余り時間を与えてはいけません!」


 シオンが兵士を一喝する。


「は、はいィィィ!」


 兵士は情けない声をだし、慌ててシオンからの命令を伝えに兵舎に駆けて行った。


「さて、私も準備をしなければいけませんね」


 シオンがそう言って宝物庫に向かおうとすると、扉がノックされる。


トントン。


「シオン兄様。御忙しいなかすみませんが、いま、よろしいですか?」


―――今は一刻を争いますが、アリスに気づかれると厄介ですね。仕方ありません。


「いいですよ。入りなさい」




△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△




―――執務室前。




 アリスはシオンに会うために執務室に向かっていると慌てた兵士が執務室から出て来た兵士を呼び止める。


「あの、何かあったんですか?」


「ア、アリス様!・・・・すいません。私の口からお答えすることは出来ません。リュクシオン様に直接お聞きください」


 兵士はアリスに呼び止められて驚きながらもしっかりとした対応で答えた。


「わかりました、シオン兄様に聞きます。呼び止めてすみませんでした」


「い、いえ。私はこれで失礼します」


 兵士はアリスに一礼してからまた走っていった。


「あんなに急いでいるということはやはり何かあったようですね。シオン兄様に確認しなくては」


 執務室の扉をノックする。


トントン。


「シオン兄様。御忙しいなかすみませんが、いま、よろしいですか?」


「いいですよ。入りなさい」


「失礼します。シオン兄様に御伺いしたいことがあるのですが・・・いいですか?」


「いいですよ、なんですか?」


 シオンが微笑みながらアリスに聞く。


「先程、執務室から慌てて出てくる兵士の方を見かけたのですが、何かあったのですか?」


 アリスはシオンの僅かな動きも見逃さないというようにじっと見つめる。


「ああ、その事ですか。彼は報告に来たんですよ。なんでも、南の都市近くに大型の魔物が現れたらしいですね」


「そうですか・・・・」


「所で私に何か用があったのではないですか?」


「はい。シオン兄様とフラン兄様も誘って久しぶりに三人でお茶でもしようと思いまして・・・。シオン兄様が時間が空いているときを聞きに来ました」


 アリスの提案にシオンは申し訳なさそうな表情をしてアリスに言う。


「すみません、アリス。私はこれから南の都市へ向かい大型の魔物を討伐しなければならないのです。それに南の都市の被害の度合い等を見に行かなければならないのです・・・・・・。本当にすみません。私はいませんが、フランとお茶を楽しんでください」


「・・・分かりました。フラン兄様を誘いますね。お勤めご苦労様です」


 アリスは笑顔で言い一礼をしてから執務室を後にする。


「・・・・すみません、アリス」


 シオンはアリスの気配が消えたのを確認してから呟くようにいう。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△



 フランは何時もと違い、第二訓練場でグラドス元帥と魔法を使った訓練をしていた。すると、今日に限ってやけに人が集まってきていて、フランは不思議そうに集まってきている人達を見ていた。


「ナァ、グラドス。なんか人が集まって来てねェか?」


「うむ!そのようですな!何かあったのかもしれませんぞ!」


―――相変わらずデケェ声だな。これで普通ってんだから驚きだぜ。・・・グラドスが大声を出したらどうなるんだろうな?


 フランがそんなことを考えていると、フランとグラドス元帥のもとに一人の兵士が近づいてくる。


「グラドス元帥!こんなところにいましたか」


「どうかしたのか!?」


「はい。・・・ですが、フラングール様の前では申し上げにくいのですが・・・」


「アァ?何で俺がいると言えねェんだよ」


 フランは兵士にわりと本気の殺気を込めながら言う。すると、兵士はフランの殺気にビビりながら説明を始めた。


「ひぃっ!?・・・・も、申し訳御座いません!・・・じ、実は、南の大砦シーワントが何者かの軍勢に落とされたらしいのです!それをリュクシオン様に報告したら、敵の五千に対し、こちらは三千で言いとおっしゃったので今、兵をここ――――第二訓練場に集めているところです!」


「・・・・シオンの野郎、俺にはなにもなしかよ」


 フランの呟きは誰にも聞こえなかった。


「う~む!よし、分かった!私も行こう!」


「助かります。グラドス元帥」


 フラン達が話していると、第二訓練場にシオンが大鎌――――守刀(しゅとう)翠月(すいげつ)を手に持って入って来ていた。


 シオンは第二訓練場に入るなり辺りを見回して集まっている人数を確認する。


「大分、集まったみたいですね」


 シオンの目の前には約二千五百人の兵士達が集まっていた。


 シオンが話していると、肩を叩かれる。シオンは「誰だ?」と思い振り返る。すると、そこにいたのはフランだった。


「オイ、シオン。俺に一言もなしで行く気かよ」


「フラン!?・・・何故ここにいるのですか?」


「俺はここでグラドスと訓練をしてたんだよ」


「・・・そうですか。では、フランも行きますか?」


「当たり前だ!連れていかないって言われてもついてくぜ」


 シオンはフランの言葉に「そうですか」と笑いながら答え、集まった兵士達の方を向きなおす。


「では、余り時間がありません。此処にいる人数で向かいます」


「お、お言葉ですが、リュクシオン様。この人数で勝てるんでしょうか?もう少し人数が揃ってからの方がいいんじゃないでしょうか・・・・・?」


「勝てます。・・・・いえ、勝たなければならないのです。それに数が全てではないですよ。大切なのは貴方達―――勿論、私やフラン、それにグラドス元帥、一人一人が心の底から信じ願うことです・・・・。私たちは決して負けない!いや、勝ちたいんだ!っとね」


 シオンの話を聞き兵士達はシオンになにも言わなくなった。


「では、向かいましょうか。南の大砦シーワントへ」


「アア」


『はい!』


 兵士一同とグラドス元帥は声を上げた。人数が多かった為かシオンとフランは顔をしかめていた。そんなとき、兵士が寄ってきた。


「リュクシオン様、フラングール様、これを」


「ありがとうございます」


「アア」


 兵士が四人がかりでシオンとフランにそれぞれ、黒の天馬(黒天)赤の天馬(赤星)を連れてくる。

 因みに黒天も赤星も二メートルを越える巨馬だ。それに加え、黒天も赤星もシオンとフラン以外を絶対に背中に乗らせてもくれない。


「・・・あの、リュクシオン様は鎧を着けないのですか?」


「はい。私にはこの翠月がありますから」


「その翠月の能力が分かったのか?」


「ええ、分かりましたよ。まだ、能力は説明出来ませんが・・・・いずれ話します」


「そうかよ。その日を待ってるぜ」


「・・・・・。では、フラングール様がこれを」


 兵士はシオンの言っていることを理解し、シオンのために持ってきた鎧をフランに渡す。

 フランは兵士から鎧を受けとり着始める。

 余談だが、今この第二訓練場にいるグラドス元帥を含めた兵士の全員が白い鎧を身に付けている。


「では、皆さん、行くとし―――」


「ちょっと待ってください!」


 シオンは「なかなか、出発出来ませんね」っと思いながら、声を遮って叫んだ声の主をシオンとシオン以外の者達も見る。そこには、二人の女性が立っていた。片方は黒髪の可愛らしい容姿の女の子。叫んだのは黒髪の女の子だ。もう一人は綺麗な淡い金髪の髪の凛々しい顔立ちの綺麗な女性が立っていた。


――――アリス?っとでしょう(だァ)?


 シオンとフランが淡い金髪の綺麗な女性を見つめているとグラドス元帥が何時も通りの大きな声で言う。


「おう!これはアリス様とシルヴィア殿ではありませんか!どうかしたのですかな!?」


「オイ、グラドス。そのシルヴィアってェのは誰だ?」


「うむ!シルヴィア殿は私と同じ『熾天使(セラフィム)』の一人ですよ!」


「それに加え、この国で唯一の女性元帥でしたよね?」


 グラドス元帥の説明を聞きシオンは誰か分かったのかシオンが補足して説明する。


「そうなのか」


「そんなことより、アリス。貴女は何故、此処にいるのですか?」


「すいません、シオン兄様。シオン兄様を捜しているとき、兵士の皆さんがここに集まっていくのを見かけたのでつけてきました。つけている途中でシルヴィアさんと出会いました」


「・・・・・では、質問を変えます。何故つけてきたのですか?」


 シオンは予想のついている質問をわざわざアリスに訪ねる。


「シオン兄様。私も連れていってください」


「「ダメ(です)(だァ)」」


 アリスの言葉にシオンだけではなく、黙って話の流れを見ていたフランまでも否定的ね事を言う。

 アリスはそんな二人に目の前まで詰め寄る。


「ど、どうしてですか?何故、私は連れていってくれないのですか?」


「アリス。私たちが今から行くところは貴女が思っている以上に危険なのです。なので、そんな危険な所にアリスを連れては行けません」


「私も兄様達と同じ様に今まで戦闘訓練は受けています。足手まといにはならないつもりです」


「そうゆう問題じゃねェんだよ、アリス。それにお前は俺達が何をしに行こうとしてるかホントに理解してんのかァ?」


「・・・南の都市へ大型の魔物を狩に行くんじゃないんですか?」


――――オイ、シオン。お前、アリスにそんな事言ったのか?


――――ええ。あの時は咄嗟だったので・・・・。


――――どうすんだよ?ホントの事を言うかァ?


――――・・・・。仕方ないですね。本当の事を言うしかないですね。


 シオンとフランは内緒話をしていた。そんなシオンとフランを見てアリスは首を傾げていた。


「すみません、アリス。私は貴女に嘘をつきました」


 シオンはそう言い頭を下げる。


「えっ?シオン兄様、どう言うことですか?」


「私達が今から向かうのは南の大砦シーワントで、向かう理由は大砦シーワントが何者かの軍勢に落とされたからです」


「・・・・・。戦争になるから私は連れて行けない。っとそう言うわけですか?」


「はい」


「でも、私は毎日治癒魔法の修行やシルヴィアさんに剣術を習っています。戦いは駄目でも治療をしたりとかなら大丈夫です。それでも駄目なのですか?」


「すみません。それでも、連れていく事は出来ません」


「ですが、シオン兄様。私も何かの役にたつかもしれません。それとも私が女でまだ十五歳(子供)だからですか?」


「ナァ、アリス。シオンはお前を死なせたくないんだよ。戦場じゃあ何があるか分からねェからな。つまり、シオンはシスコンって事だな」


「フラン、何を言うんですか。私はシスコンではないですよ。それにフラン―――貴方こそシスコンだと私は思いますよ?」


フラン「アァ?ふざけんなよ。俺の何処がシスコンだよ」


シオン「明確な理由をここで述べましょうか?」


フラン「上等じゃねェか」


 シオンとフランがどっちがシスコンだと言い合っていると、アリスがシオンとフランに問いかける。


「・・・そうなんですか?シルヴィアさん、グラドスさん・・・?」


「「恐らく・・・いや、確実に、リュクシオン様とフラングール様はシスコンでしょう(ね)(な!)」」


 シルヴィア元帥とグラドス元帥は同時に肯定した。


「リュクシオン様、フラングール様」


 シルヴィアは今だに言い合っている、シオンとフランに少し大きめの声で話しかける。

 シオンとフランはシルヴィアの声で言い合いをするのをやめてシルヴィアの方を向く。


「「ですか(だ)??」」


「アリス様を私が守る。っという条件付きでアリス様の同行を許しては頂けないでしょうか?」


 シオンは暫く考えてから返答する。


「・・・・・シルヴィアにそこまで言われるとはね・・・分かりました。アリスの同行を認めます」


「ナッ!?」


「えっ?本当?・・・ありがとうございます!シオン兄様!それから、シルヴィアさんもありがとうございます!」


 アリスは喜びの表情を浮かべシルヴィアに抱きついていた。シルヴィアは困惑した表情でアリスを見つめている。


「オイ、シオン。そんなにシルヴィアってのは強いのかよ?」


「はい。シルヴィアは《熾天使》の中で『守る』と言うことに関しては一番ですから」


「それは、シルヴィアの魔法がそうゆう類いのモノって事か?」


「ええ。恐らくそうでしょうね」


「恐らくって、どういうことだよ?」


「私も詳しくは分からない。っということです」


 フランはいまいちシルヴィアの強さが分からなかったが「熾天使の一人だから強いだろ」と思いこれ以上追求するのは辞め、アリスに話しかける。


「アリス。お前も行くなら、鎧を身につけとけよ」


「はい、フラン兄様」


 アリスはシルヴィアから離れ兵士の一人を呼び止めて言う。


「女性用の鎧は何処にありますか?」


「はっ!女性用の鎧ならあちらに置いてあります!」


 呼び止められた兵士はビシッと敬礼をしてから、第二訓練場の端の辺りを指差しながら言う。

 アリスは兵士の指を差している方向を目線で追い、女性用の鎧の置いてある所を確認する。


「ありがとうございます。忙しいところを呼び止めてすいませんでした」


「はっ!有り難きお言葉です!では、失礼します!」


 兵士はそう言い何処かへ行ってしまう。そんな兵士を見ていたシオン、フラン、アリス、シルヴィアは思った。


『『絶対にグラドスの部下だ』』


っと。

 グラドスはシオン、フラン、アリス、シルヴィアに見られて不思議そうな表情をしていた。


「グラドス元帥。貴方にはここを守ってもらいたいのですが、いいでしょうか?」


「分かりました!ここは私にお任せください!」


 グラドス元帥は迷った様子を見せたものの了承した。


「頼みますよ。ここにはアステル元帥もいますからね」


 フランはシオンの言葉を聞き「アステルって誰だ?」と首を傾げていたがシオンに聞く前に出発の準備が整う。


 シオン達は全員が用意でき、最終的に二千六百五人集まった。


「それでは、皆さん。出発しましょう!天井を開けてください!」


 シオンが言うと第二訓練場の天井が開く。開いた天井からシオンが真ん中に、右にはフラン、そして左にはアリスとその後ろにシルヴィア元帥と言う片方が短いV字型になり飛び立っていく。

グラドス元帥は敬礼をして見送っていた。



 南の大砦シーワントを目指して――――。




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