序章
とある浮遊島にある城の中の一室にて、初老の男性が目の前に座っている六~七歳くらいの銀髪と金髪の男の子たちに話していた。
その近くには二歳ぐらいの黒髪の女の子と二十一歳ぐらいの亜麻色の髪の綺麗な女性がいた。亜麻色髪の女性は黒髪の女の子を膝の上に座らせている。
「では先ず始めに、この世を創ったとされる【五大神】についてですが、
【五大神】
『創造神:アイル』
『破壊神:ゼルス』
『旋律神:ファニス』
『智略神:オルズ』
『闘争神:アレス』
と言う神様がいたとされ、その神々は多くのものを地上に与えたとされた伝説があります。
創造神アイルは地上に住む生き物―――植物、動物、魔物、種族―――を『創った』。そのおかげで今、種族や動物や植物、そして魔物が生きていることができているんです。
破壊神ゼルスは種族、植物、動物、魔物に『試練』を与え、種族の成長を促しました。その試練のおかげで種族や動物や植物や魔物は進化を遂げることができました。
旋律神ファニスは種族、魔物、動物に『音』を与えた。そのおかげで種族、動物、魔物はしゃべったり、鳴いたりできるようになったそうです。
智略神オルズは種族に『魔力』と『思考力』を与えた。そのおかげで種族は魔力の使い方を覚えたり、物事を考えたり新しい事を発見できたりできたんです。
闘争神アレスは『戦う術』を与えた。そのおかげで危険な魔物から身を守る事ができた。
っと、そう言われています。ここまではいいですかな?」
初老の男性に聞かれた銀髪と金髪の男の子たちは首を縦に振る。
初老の男性はそれを見てまた話始める。
「次に大陸と五大大国についてです。では、先ずは我々が住んでいる大陸について説明をします。我々が住んでいる大陸の名は、
【アズルガイム大陸】
それはこの世界で一番大きな大陸です。この世界にはアズルガイム大陸を合わせ六つの大陸が存在します。
アズルガイム大陸には五つの大国があり、その回りには数多の中国、小国も存在しています。そして次に五大大国についてです。
【五大国家】
『神聖メリア教国』
『アッシュテール皇国』
『カテリナ連邦』
『ヴィスハイト王国』
『スラン帝国』
の五つの大国があります。
そして五つの大国はそれぞれ信仰している神がおります。それは―――
『神聖メリア教国』は『創造神アイル』
『アッシュテール皇国』は『破壊神ゼルス』
『カテリナ連邦』は『旋律神ファニス』
『ヴィスハイト王国』は『智略神オルズ』
『スラン帝国』は『闘争神アレス』
っといった具合にそれぞれが違うんです。
大国にはそれぞれ当然ながら王がいますが、我らの国にはあなた達も知っていると思いますが、今現在王は不在となっております。そして、それぞれの大国には住んでいる種族がまったく違うんですよ。では、その説明を致します。先ずは我が国から、
『神聖メリア教国』には我々天族と言う種族が住んでいます。
『アッシュテール皇国』には主に魔族と呼ばれる種族が住んでいます。
『カテリナ連邦』には主に人族と小人族と言う二つの種族が助け合って住んでいます。
『ヴィスハイト王国』には主にエルフ族と妖精族と呼ばれる二つの種族が助け合って住んでいます。
『スラン帝国』には主に獣人族と呼ばれる種族が住んでいます。
解りましたか?」
六~七歳の男の子達は無言で話を聞いている。
「次は、主な種族とその特徴を説明しましょう。
この大陸には主に八種族が住んでいます。
それは―――
【主な種族とその特徴】
我々天族には鳥のような翼があります。羽の色は髪の色と一緒ですね。天族は皆、美男・美女の集まりだと言われています。天族は基本的に長寿でもあります。
魔族にも蝙蝠のような羽があります。魔族も我々同様に美男・美女の集まりだと言われています。魔族の羽の色は全員が漆黒色です。我々と同じ、魔族も基本的に長寿。
人族は全種族の中で一番人数が多いです。魔導具の技術が種族随一と言われています。
小人族は物作りが上手く力持ち。採掘技術と加工技術が種族随一です。小人族の平均身長は130cmぐらいと言われてます。
エルフ族は魔法の扱いに長けており、知識は全種族随一。全種族一の長寿でもあります。エルフもまた、美男・美女揃い。外見の特徴としては耳が尖っています。
妖精族は背が低く魔法の扱いに長けています。美少女揃いらしいです。妖精族の平均身長も130cmぐらいしかないくらい小柄な種族でもあります。天族、魔族と同様に背中に蝶々のような羽があります。
獣人族は全員が魔力はあるんですが、魔法は使えないんです。魔力は身体能力を上げるためにしか使えないと聞きます。彼らは全種族一の身体能力を誇ります。噂では魔法が使えない代わりに第六感があるそうです。後、獣人族は獣耳と尻尾があります。
竜人はドラゴンの羽と尻尾をもつ、全種族の中で一番強い種族です。ですが、少数民族ですね。かつては人数も少数ではなく普通の種族ぐらいはいたんですが、第一次大陸戦争で数を激的に数を減らしたのです。
ですが、竜人族は基本的に自分達のこと以外は無関心と聞きます。ジュンガレスト(アズルガイム大陸最大の山)に住んでいると噂されてます。ですが、天族、魔族、人族、小人族、エルフ族、妖精族、獣人族を過去の因縁から恨んでいると聞きます。寿命は長いですね。
ドラゴンは人語を話す魔物であり、魔物の中でも最強クラスの力を有しています。因みにドラゴンと竜人族はまったく別の生命体です。
以上が主な種族と特徴の説明です。ここまでで何か質問とかはありますか?」
初老の男性は男の子たちの方を向き言う。だが、男の子たちは言葉を発しず首を横に振るだけだった。
そんな様子に初老の男性は苦笑いしながら話を続けた。
「次はさっき説明したドラゴンについて説明しましょう。
先ずは、君主ドラゴンから―――
【三匹の竜王と十二匹の竜将】
『三匹の竜王』
聖龍皇オリフェスは光を司る純白のドラゴンと云われています。
オリフェスは三大始祖龍の一角でもあります。
魔龍帝ゼフォンは闇を司る漆黒のドラゴンと云われています。
ゼフォンもまた三大始祖龍の一角です。
神龍王シュトラールは属性が無い代わりに外のドラゴン達を軽く凌駕する程の動体視力、身体能力、体力、魔力量、自己治癒能力を持つと云われています。
神龍王シュトラールは『十二匹の竜将』の元となったネービーブルー色のドラゴンと云われています。そして、シュトラールもまた三大始祖龍の一角でもあります。
以上の三匹が君主ドラゴンです。次に将軍ドラゴンは――――
『十二竜の竜将』
嵐昇竜エアリスは風を司るエメラルドグリーン色のドラゴンと云われています。
轟雷竜タロスは雷を司るレモンイエロー色のドラゴンと云われています。
双生竜ジェルスは焔と水を司る赤と黒のドラゴンと云われています。
鋼角竜スキャナは貴金属を司るプラチナ色のドラゴンと云われています。
煌炎竜レオスは炎を司るカーマイン色のドラゴンと云われています。
仙樹竜ヴェリスは植物を司る桜色のドラゴンと云われています。
重滅竜リヴィリスは重力を司るシルバーグレイ色のドラゴンと云われています。
閃響竜スコルは音を司る白緑色のドラゴンと云われています。
影蝕竜スゥは影を司る藍色のドラゴンと云われています。
次元竜プリエスは空間を司る勿忘草色のドラゴンと云われています。
蒼氷竜エリスは氷を司るオリエンタルブルー色のドラゴンと云われています。
蠱毒竜ピルスは毒を司る菖蒲色のドラゴンと云われています。
以上が将軍ドラゴンです。
ドラゴンは三匹の君主ドラゴンと十二匹の将軍ドラゴン。そして、数十体の配下ドラゴンがいます。
次に『三人の君主』のドラゴンについてですが――――
【三人の君主と十二人の龍騎将】
『三人の君主』とは『聖龍皇』『魔龍帝』『神龍王』に認められ、龍王達が自らの力の塊を水晶に変えて、認めたモノに食させ『聖龍皇』『魔龍帝』『神龍王』の力を身に宿したモノ達の総称です。
最後に十二人の龍騎将ですが――――
『十二人の龍騎将』も十二匹の竜達に認められ竜達の力の塊である水晶を食したモノ達のことです」
初老の男性はふぅーっと息をつき、また、話始めた。
「では、最後に九呪刀の説明をしましょう。
【九呪刀】
九呪刀とはアズルガイム大陸一の刀匠『|立花 秀遂《たちばな しゅうすい》』と言う人族とアズルガイム大陸でトップクラスの魔法使い『セフィーロ・フォレス』と言うエルフ族が共同で作った、この世界最硬クラスの特殊な能力をもった刀のことです。
その刀とは―――
崩刀:朦呀
守刀:翠月
喰刀:瑪瑙
怨刀:瑠璃
瞬刀:翡翠
伸刀:玻璃
鉄刀:琥珀
双刀:黒玉・紅玉
の七本と二刀一対の合計九本のことです。
九呪刀は選ばれたモノしか扱えません。もし、選ばれたモノ以外が九呪刀に触れればたちまちに呪いが掛かります。
呪いとは、だんだんと体の自由が利かなくなっていき、立つことも儘ならなくなります。そして、最後には心臓が停まって死んでしまう。と、言う話も聞きます」
初老の男性が九呪刀の説明をし終わるとほぼ同時に十二時を告げる鐘の音がきこえる。
初老の男性は鐘の音がやむと、ゆっくりとした動作で頭を下げて部屋を出ていく。
「今日も、とても勉強になりました。ありがとうございます、ロックスさん」
ロックスと呼ばれた初老の男性は律儀にも立ち止まり女性の方を向き言う。
「ありがとうございます、リディア様」
ロックスはもう一度頭を下げ、今度は退出していった。
部屋に残ったリディアは二人の銀髪と金髪の男の子の方を向く。
「シオン、フラン。ロックスさんが言っていた話をちゃんと理解できたかしら?」
「当然ですよ」
「僕も理解していますよ」
「シオンとフランは頭がいいのね」
リディアはそう言いながらシオンとフランの頭を笑顔で撫でる。
シオンとフランは嬉しそうに目を細めていた。
リディア、シオン、フランが話しているときに、部屋の扉をノックする音がする。
リディア達は話をやめて、扉を見つめる。
「リディア様、入っても宜しいでしょうか?」
男性の声が扉の向こうから聞こえる。
「ええ、いいですよ」
ノックをした男性が「失礼します」といい、部屋に入ってくる。
ノックをした男性はシオンとフランを見て一礼してから話始める。
「失礼します。リュクシオン様、フラングール様。グラドス元帥からの伝言です。『リュクシオン様とフラングール様は昼食後、動きやすい服装に着替え第一訓練場に来てください!』っと仰ってました」
「『分かりました』っと、グラドス元帥にお伝えください」
「はっ!」
ノックをした男性はシオンの言葉に敬礼をした。
因みに『シオン』と『フラン』と言うのは『リュクシオン』と『フラングール』の愛称である。
グラドス元帥の伝言を伝えると一礼してから部屋を出ていく。
「グラドス元帥が何のようかしら?」
「動きやすい服装。っと言っていたので戦闘訓練だと思います」
「シオンとフランはもう戦闘訓練を始めたの?」
リディアが心配そうに聞いてくる。シオンとフランはそんなリディアに慌てて説明する。
「せ、戦闘訓練と言っても基礎の基礎だから、武器の握り方や武器をちゃんと使えるように体を鍛えてるだけだから」
「そ、そうそう。それに僕達はまだ六歳だよ、戦闘訓練のできる体づくりしかやってないよ」
「・・・そう、それを聞いて安心したわ」
リディアは慌てながら説明するシオンとフランを
見て無意識のうちに笑顔になっていた。
シオンとフランは立ち上がり第一訓練場に向かっていく。
††††††††††
シオンとフランは自室に戻りメイドに着替えを手伝ってもらい、動きやすい服装に着替え、第一訓練場についていた。
第一訓練場は軽く千人は入れるような大きさで床は地面になっており天井には夜でも使えるようにライトがついている。
「グラドス元帥はどこでしょうか」
シオンはそう言い訓練場の入り口から訓練場の中を見回してそう言った。フランもシオンと同様に第一訓練場の中を見渡していた。
「ガハハハハ!すみませんなぁ!王子様方!呼び出しておいて私が遅刻とは!」
シオンとフランが第一訓練場のなかを見渡しているとやけにデカい声が聞こえ、振り向く。
二人が振り向いたそこには、四対の翼をもつ歴戦の戦士のような筋骨隆々で翼と体の所々に傷があり、顎には髭を生やしている二メートルをこえる巨体の強面のおっさんが立っていた。
「グラドス元帥、相変わらず顔が怖いですよ」
フランが少しふざけた口調でに言うとグラドス元帥と呼ばれたおっさんもわざとらしく額に手を当てて言った。
「いやはや!これは手厳しいですな!」
グラドス元帥は豪快に笑いながら言った。そんなグラドス元帥にシオンとフランは苦笑いしながら訪ねる。
「「グラドス元帥、どうして遅れたんですか?理由はちゃんとあるんですよね?」」
「いやなに、第三訓練場で集団演習をしてたんですよ!」
「それはご苦労様です」
「いえ、大したことではないですよ!さて、訓練を始めましょうか!」
グラドス元帥はそう言い訓練場の中央に向かう。シオンとフランもグラドス元帥について中央に向かった。
グラドス元帥は中央に着くなりシオンとフランにふり返る。
「 まずは体を暖めましょうか!では、早速王子様たちにはこの訓練場の回りを十周走ってもらいましょうか!それから訓練を始めましょう!」
グラドス元帥はそう言い何故か自分が訓練場の回りを走り始める。シオンとフランもグラドス元帥の後をついて走る。
††††††††††
十周走り終えたシオンとフランは息を少し切らしていた。だが、グラドス元帥はまだまだ、余裕の表情で二人に話しかける。
「ガハハハ!では、次は素振りでも、やりますかな!」
グラドス元帥はそう言い、重りの付いた棒をシオンとフランは手渡した。
シオンとフランは素振りを始めた。
シオンとフランは素振りが終わった後、腹筋をして腹筋が終わるとまた訓練場の回りを走り、を繰り返した。
その後もグラドス元帥の訓練は暫く続いた。
††††††††††
グラドス元帥との訓練を終えたシオンとフランは同じ部屋|(寝室)に戻っていた。
「ねえ、シオン。毎日同じことの繰り返しで嫌だって思ったことはない?」
「いきなりですね。私は思ったことはないですね」
「・・・そうなんだ。僕は毎日思ってるよ。だって、いくら父上が亡くなって僕達しか後継ぎがいないからって、まだ、六歳の僕達の自由になれる時間がないなんておかしいと思わない?」
「・・・仕方ないですよ。いずれ私かフラン―――貴方のどちらかが王にならないといけないのですから。それに今から学んでおけばそれだけ多くの事が学べます。それはグラドス元帥との訓練にも言えますよ」
「・・・・それはそうなんだろうけどさ。それでもやっぱり僕は嫌いだな。決められたことしか出来ない今の環境がさ・・・」
「・・・・・そうですか。とにかく、今日はもう遅いです。寝るとしましょう」
シオンはそう言い電気を消し、静かにベッドに入り眠りにつく。フランも話し相手がいなくなりやむなくベッドに入り眼をつぶるのだった。
フランの言うとおり、シオン達は毎日同じことの繰り返しだった。
先ず、朝早くに起床し自室にて朝食。その後、談話室にて教育係のロックスにいろいろなことを学ぶ。
ロックスの授業が終わると昼食をとる。それが終わると第一訓練場でグラドス元帥との訓練をし、グラドス元帥との訓練が終わった頃、ちょうど夕食時で、夕食を食べ終わると自室に戻り眠る。
毎日、その繰り返しだったが、シオンはそれが嫌いではなかった。
シオンはこの毎日のサイクルを自分が王になるためにはやらないといけない義務だと考えていたからだ。
だが、フランはシオンとは真逆の考えだった。わざわざ自分が王になるためにこんなことやらなくてもシオンが王になってくれる。フランはそう考えていたのだ。
「・・・・やっぱり、僕の考えは間違ってるのかな」
フランの呟きは誰にも聞こえることはなかった。