童顔ですが、何か?
夕食時、覚えて貰い易いように座って頂き。
前皇帝、前皇帝王妃、現皇帝(ちゃんと旦那って紹介したぜ)、皇女、最後にもう一度大魔女様、という順番で紹介しました。
その間、清水さん────もとい、スミレさんの反応はとてもキッラキラしていた。
ついでに、宰相と私の文官として働いてくれているパトリック・ディスター(42歳)というおっとり草食系眼鏡男性も紹介。
────ぶっちゃけスミレさん、眼鏡を掛けてほんわかとした空気を纏っている壮年に弱い。
なので、一番反応したのはパトリックに対してだった。
パトリックに可愛いお嬢さんと言われ、もじもじと頬を赤らめてちらちらと彼を見上げるスミレさん。
彼は散々聞かされているスミレさんの好みの男性像にぴったりだった。
────────可愛いじゃないか!! けしからんもっとやれ!
155センチの身長で37歳とは思えないロリ顔。
その上、Hカップという奇跡のふわふわマシュマロおっぱいを持つスミレさん。
性格も優しくて、穏やか(乙女ゲームに対しては暴走するけど)。
仕事は迅速、かつ的確。
マジ天使。
「前皇帝王妃のマリア様も綺麗だし、皇女のセリア様も可愛いし…美愛ちゃん…すっごく素敵な環境に嫁いだのね!」
「……ソウデスネ」
「ふふふ…良かった……美愛ちゃん、笑えるようになったのね…」
「……あ~……」
スミレさんは、私のことをよく知っている。
産まれた時から表情が無くあまりにも感情を出さない私は両親から愛されず、表情豊かな弟が産まれた時から完全に育児放棄されていた。
暴力や食事放棄まではされなかったが、基本居ない者として扱われていたのだ。
「美愛ちゃんはこっちに飛ばされて正解だったのね…【神様の御子】ってことは…貴女の旦那様はヤンデレタイプなの?」
「猛禽類と見せかけた子犬タイプの、プチヤンデレかな?」
「あらまぁ…美愛ちゃん…見た目に合わず、豪快なおっさんタイプだから相性良いんでしょうね」
「………」
スミレさんは、私と初めて会話をした日から“ギャップ萌え”を修得している。
「スミレさんには私の文官をして貰っても良いかな? パトリックと一緒に」
「えっ? ……良いのかしら?」
「あぁ、それが良いですね。 ミア様の所が一番安全ですし」
ユーグがにっこりと頷き認めてくれたことで、リヒト様始め王族からもすんなり了解を得た。
ただ一人──────パトリックだけが難しい顔をしていたが……。
──────────彼の誤解は凄かった。
それを知るのは、次の日スミレさんが私の執務室に来てからだったが。
──────────童顔ですが、何か?




