知らぬが仏。
アレクに結婚しても良いと言ってしまってから、彼の行動は早かった。
一週間後───。
まるで前から用意されてた様に────否、実際私がこの世界に飛んできて、初めてリーチェとセリア達と採寸した時にでも既に用意されていたと思われる。
アレクは真っ黒な盛装で、私は夫となる彼の色・赤と黒の2色使いのドレスで。
あっという間に結婚式と披露式を終わらせた。
────────なんてこったい。まさかの異世界で、旦那持ちになるとは……
「綺麗でしたわ! 本当に義姉様になったのですね!」
「私にとっては義娘ですわね」
「………あんまり普段と変わらない気がするのは何故だろう…」
「まぁまぁ…後は子供が出来れば安泰なんですけれど…そればっかりは、ねぇ…」
「あ~…リーチェは魔女でも出来るって言ってたしねぇ…そのうち出来るんじゃないか?」
喜ぶ二人に圧倒されつつ、私は小さく溜息を吐いた。
──────なんだかなぁ…
アレクのヤンデレ属性は……あんまり表に出なかった。
ベタベタ甘えてくることと、常に見張られて居るくらい。
多分セックスの相手を彼のみにしていたのが良かったのだろう。
アレクとセックスするようになって約二十日。
彼の上達振りは本当に凄かった。
私が教えてないことも出来るようになっていて、逆に私が驚いたくらいだ。
「でも…貴族のオッサン連中やそのお嬢様連中や、国民に反対されなかったのはびっくりしたな…」
「あら? ミアが国家の政治に関わっている事は公然の事実でしたもの…それに【神様の御子】が相手なら文句は言いませんし、言えないのです」
「そうなの??」
「そうなのです。 ミアが【神様の御子】と名称をどう思っているかは…なんとなく解っていますけれど…【神様の御子】はこの国にとっては守り神として崇め奉られているのですよ。 神様がこの国の安泰を約束してくれたと…言われてます」
「ほほぅ……」
「実際ミアが前皇帝や現皇帝のお手伝いをしてくれるようになってからというもの、梃子摺っていた案件は全て片付きましたし…」
「……あ~…………ソウデシタネ………」
マリアの言葉が耳に痛い…。
だって私が執務を手伝って《悪い子撲滅運動》と称し、ちょっと横領していた領主とか盗賊とか海賊とか軽く痛めつけ…それはただのストレス発散と魔術の特訓だったものであり、決して厚意からではないのだ。
そして──────それはマリアの横で何も知りませんとにっこり微笑っているリーチェもノリノリだった。
「まぁ…反対勢力がないならいいけどね…それより腹減ったぁぁぁ……」
朝から準備のためにドタバタしていて、全然食事が摂れなかったのだ。
「そろそろ夕食の時間ですものね…移動しましょうか」
──────────知らぬが仏。




