一目惚れした女は侍女で幽閉した
俺はアレン・ランドローバー。
この国の王子であり、継承順位で1位だ。自分で言うのも何だが、幼少から鍛えていたのと恵まれた才覚により剣では負け知らず、勉学に置いては3日で極めた。
その為に3男でありながらも、兄たちよりも美しい容姿と勉学、武道、政治、人心掌握術により時期国王になることが決定した。
しかし、そんな俺は・・恋をした事がない。
笑える話かも知れないが、実際俺に見合う女が存在しないのだ。学校では綺麗な女は存在していたが、頭の無いバカな奴ばかりだし、そりゃ言い寄ってくる女の中には
学年トップの才女もいたが、体が弱い。
軍に所属する女は強いが、見た目が汚く頭が弱い。
この国では女性は聡明であっても賢しい事を美学としない文化であり、体を鍛えるのは身分が低い女で見た目が汚い奴ばかりである。
しかも身長は出来るだけ小さく、弱々しい女が良しとされてる為に俺の周りの貴族はそんな奴ばかりだ
正直俺は、身長は高めの女が好みで体が強く、尚且つ頭も良くて、度胸のある女が好きだ。
・・見た目は何でもいいが、中性的な奴がいい
そんな変とも言える好みを持つ俺は好きな奴が出来なかった。
「王子、後宮入りの女性が現れました」
「そうか・・」
しかし、それでも時期国王として王妃は選ばなければならない。正直、選ばれた女達はどれもこれも小さく弱々しい為に気分がのらないが、仕方の無い事だろう。
「来たのはシャルテット様です。とても可愛らしく純粋で優しい女の子ですよ」
「そうか、通せ」
扉が開かれて現れたのは、秘書の言ってた通り可愛らしく優しそうな女だった。
多分この国での『理想の女』をクリアしており、男達が望む、頭が弱そうで力が弱そうで可愛いだけが取り柄の女だった。・・・つまらん
そう思って、ふとその女が連れている侍女を見ると・・
俺の好みドストライクゾーンの奴がいた。
男か女か分からない顔に、俺より小さいがこの国では珍しい長身。
正直、どっちなのかは分からなかったが、飾りっ気のない動き安そうなメイド服で女だと分かる。
整った綺麗な顔立ちではあるが、この国の男には余り好かれないタイプに見えた・・・しかし、好きになった
「もう下がっていいぞ」
「は、はい!」
シャルロットと言う女は出て行き、侍女も続けて出て行こうとしたが
「お前はちょっとまて」
俺は引き留めた。
この時の俺はちょっと頭が可笑しかったんだと思う。初めての一目惚れでパニックになった俺は・・・
「痛っ!!」
ぶん殴ってしまった。
周りは仰天し、侍女も何が起きてるのか分かってなかったが、次の瞬間・・・俺も殴られた
そこからは、単なる殴り合いに発展した。彼女は武道をたしなんでいるのか、拳が重く普通に兵士としても戦えそうであった。
しかし、我に返った周りの護衛達に取り押さえられ、思いっきり殴られた彼女は意識を失っていた。
「何やってんですか!?王子!!」
年若い秘書がそう叫ぶ
「しら・・・ろ」
「はい?」
「こいつの事を調べろ!こいつは王妃の間にいれる」
「は!?え、王妃の間って・・・」
困惑する秘書を無視して、俺は侍女を抱えて王妃の間に連れて行った。
王妃の間は別名、幽閉所と言われている。
窓の外の光景は辺りを絶景であり、鼠落としと言われる建設で、侵入者は入れない。
同時に窓からの脱出も不可能である。ドアの外には兵士達がウロウロしてる為に出ることも出来ない。
先代の国王が幽閉するために作ったらしい。
「えっと・・・これが彼女の情報です」
と、ビクつく秘書を尻目に書類を見る。
カルラ・リオセス。
母は遊女で死亡、父はクレスター家の当主、つまりカルラはシャルロットの異母妹に当たる。
幼少の時から長身で、運動神経が良いことから剣を習わせられ、シャルロットを守る役割にされる。
頭も良いらしく、学校には奨学金で通っていた。
しかしそれを疎ましく思った正妻が理不尽に怒り、実力が有りながらも、学校を辞めている。
基本的に棒読み口調の無表情な為に、動かないでいると人形に間違われる事がしばしばある様だ。
しかし、人格者でもあるらしくシャルロットを大切にして、仲は良いらしい。
要約すると、兵士と同じ戦闘能力があり、奨学金が狙える位頭が良く、見た目は俺好みの中性的な女・・
「・・・よし、カルラと結婚しよう」
「えぇ!?で、でもこの子は・・ちょっと・・」
「そろそろ起きる頃だと思うから行ってくる」
「え!?王子ィィィ!!!」
秘書の声を無視して部屋へと急ぐ。
彼女に拒否されまくり、口論となり、面倒臭くなって実力行使をして子供作りに励もうとして、ぶん殴られるのは、もう少し後の話