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婚約破棄した殿下が今更迫ってきます!迷惑なのでもう私に構わないで下さい  作者: Karamimi


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第34話:今の僕が出来る精一杯の事【後編】~アレホ視点~

 僕が文句を言おうとしたところで、公爵に止められた。そして深呼吸をすると


「リリアーナは…マルティ嬢が殿下に魅了魔法を掛けたせいで、殿下から酷い叱責とマルティ嬢からは酷い暴言に暴力を1年近く受けて参りました。日に日にやせ細り、生きる希望すら失い、どうか私を修道院に入れて下さい!と、修道院に泣きつきに行ったくらい精神的に追い込まれたのです。それほどまでに娘は深く傷つきました。殿下の魅了魔法が解け、マルティ嬢が裁かれて既に半年以上過ぎておりますが、未だに殿下の顔を見ると、あの時の記憶が蘇り、辛そうにしております。そんな娘の傷に塩を塗る暴言。許せとおっしゃる方が、どうかと思いますが」


 そう言うと、公爵があの時の会話を流し出したのだ。何度聞いても胸糞悪い。


 あまりの酷い暴言に、令嬢たちの家族も見る見る真っ青になっていく。


「この言葉を聞いても、許せとおっしゃるのなら、私は令嬢たちに、リリアーナの名誉を深く傷つけたという事で、裁判を起こします。そこで大勢の貴族にこの会話を聞いていただき、皆に判決を下していただく事にしたいと考えております」


「そんな、裁判だなんて…ここまで酷い暴言を娘がリリアーナ嬢に吐いていただなんて。本当に申し訳ございません。娘は勘当し、修道院に入れる事にします。ですのでどうか、裁判だけはご勘弁を」


「我が家もです。もちろん、公爵家には多額の慰謝料もお支払いいたします。ですので、どうか裁判だけは」


 皆が口々に訴えている。この国で3本の指に入るほどの権力者で、父上の右腕でもあるマレステーノ公爵の娘、リリアーナにこの様な暴言を吐き、さらに公爵家から裁判を起こされたとなれば、彼らはもう貴族界では生きていけないだろう。


 自分の家を守るためには、娘たちを切り捨てるという訳か。まあ、妥当な判断だな。ただ…


「修道院に入れるとおっしゃられておりますが、まさか王都の修道院ではありませんよね?最悪王都の修道院の場合、献金を餌に、娘たちを快適に暮らさせることも可能です。でも僕は、彼女たちにはしっかり償ってほしいと考えているのです」


 王都の修道院でも、今まで贅沢三昧していた貴族令嬢にとっては、苦痛でしかないだろう。でも、僕は彼女たちにはもっと厳しい世界で、自分の行いを悔いてもらいたいのだ。


「とおっしゃいますと…」


 皆が僕の方を一斉に見ている。ただ、令嬢たちは自分たちが修道院に行く事が決まり、泣きじゃくっている。


「この国で一番厳しいと言われている、最北の街にある修道院に行って頂きたいのです。あの地で、ぜひ反省して頂きたいと思っております」


 この国で一番厳しい修道院。ある人は、刑務所よりも酷いと言われている場所だ。分厚い塀で覆われており、修道院とは名ばかりの荒くれ者たちが集まっている場所だ。ただ、そんな荒くれ者を更生させるため、さらにいかつい監視員がいるとの事。


 もちろん、規則もかなり厳しく、破れば相当ひどい目にあうとの事だ。家族では手に負えない様などうしようもない女性たちが行く場所として、世の女性たちから恐れられている。


「そんな…ちょっと悪口を言っただけで、あのような場所に送るだなんて。さすがに厳しすぎますわ」


「そうですわ、せいぜい王都の修道院に半年程度が妥当です!」


 必死に訴えてくる令嬢たち。


「ちょっと悪口を言っただけ?せいぜい王都の修道院に半年程度が妥当?君たち、全然反省していないね。わかったよ。公爵、彼女たちは全く反省していない様なので、やはり裁判を開きましょう。裁判で彼女たちの罪を明らかにすべきです。そうすれば彼女たちも、納得できるでしょうから」


「殿下の言う通りですな。わかりました、では至急裁判所に告訴状を提出いたします。それでは私は準備がありますので、これで」


 公爵が部屋から出て行こうとした時だった。


「お待ちください、マレステーノ公爵殿。分かりました、娘は最北にある修道院に無期限で入れる事にします。ですから、どうか裁判だけはお許しください」


「そんな…お父様…」


「お前は黙っていなさい!そもそも、リリアーナ嬢にあんな酷い暴言を吐くだなんて。自分がどれほど恐ろしい事をしたのか、わかっているのか?とにかく、お前には私の言う通りにしてもらうからな」


「そんな…」


「我が家も殿下と公爵殿の言う通りにいたします」


「うちもです」


 皆が一斉に声を上げた。


「それじゃあ、彼女たちは最北の修道院に行ってもらうという事でいいかな?」


「「「「はい、もちろんです」」」」


 最北の修道院に行く事が決まった瞬間、彼女たちは声を上げて泣き出した。さらに


「いやよ、行きたくない!お願い、助けて」


 と、必死に訴えだしたのだ。そう言えばマルティもこんな感じで大騒ぎをしていたな。醜い女は、最後まで醜いのだな…


「それじゃあ、3日以内に彼女たちを旅立させてください。後日本当に修道院に入れたか確認しますから。それから、半年ごとにきちんと修道院で生活しているか、チェックさせてもらいます」


「承知いたしました。とにかく我が家は、娘を勘当するつもりでおりますので」


「我が家もです」


 どうやらどの家も、令嬢たちを勘当する様だ。これ以上自分の家に火の粉が被らない様に、皆必死だな。



 約束通り数日後、令嬢たち4人は最北にある修道院に旅立って行ったらしい。さらに各家から、正式に彼女たちが勘当された事が貴族中に報告された。これで二度と、彼女たちが貴族界に戻ってくることはないだろう。


 様子を見に行ってもらった使用人の話では、相当しごかれている様で、かなりやつれていたとの事だ。これに懲りて、少しは真面目な人間になってくれるといいのだが…


 なにはともあれ、リリアーナを傷つける者を排除できた。これでリリアーナも、安心して社交界に顔が出せるだろう。


 ただ…


 彼女たちの暴言を聞いて、改めて僕はリリアーナになんて酷い事をしてしまったのだろうと後悔した。そう、僕はあの令嬢たち以上に、酷い言葉をリリアーナに投げかけ続けたのだから…


 そんな僕が彼女たちを裁くだなんて、滑稽だな…なんて考えている自分もいる。


 自分で過去は変えられない、未来だけを見ようと決めたのに、どうしても過去を振り返り、落ち込んでしまうのだ。


 ダメだ、弱気になっては。僕はリリアーナに認めてもらえる様に頑張ると決めたのだから。いくら僕が後悔しても、リリアーナを傷つけた過去は変えられない。それならば、これからはリリアーナを全力で守って行こう。僕の命が尽きるまで、ずっと…

次回、リリアーナ視点です。

よろしくお願いします。

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