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婚約破棄した殿下が今更迫ってきます!迷惑なのでもう私に構わないで下さい  作者: Karamimi


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第16話:僕は諦めるつもりはない~アレホ視点~

 翌朝、いつもより早く起きた僕は、この1年サボっていた剣の稽古に精を出す。やはり1年という期間は大きかったな。随分と体がなまってしまっている。


「殿下、あまり無理をなさると、体を痛めてしまいます。もうこのくらいにしておいた方が…」


「いいや、まだ大丈夫だ。この怠けきった体に喝を入れないと!」


 そう思い、いつも以上に稽古に精を出す。ただ、久しぶりに頑張りすぎたせいか、剣の握りすぎで手が血だらけになってしまった。この程度の稽古で血が出るだなんて、本当に僕は何をやっていたのだろう…


 朝食後はいよいよガレイズ伯爵家に乗り込むため、支度を整える。昨日の夜、彼らの悪事をまとめた資料を読んだが、改めて吐き気がした。どうやら色々な魔法を使っていた様で、近々支配魔法を父上に使おうとしていたらしい。


 さらにメイドたちからの証言で、マルティが陰でリリアーナに行っていた執拗なまでの嫌がらせの数々。読んでいて途中で吐き気がした、正直目をそらしたかった。でも、目をそらしてはいけない、そう思い最後まで読んだ。


 これほどまでに酷い仕打ちをされていたにもかかわらず、僕は彼女の言葉を一切聞かず、リリアーナに文句を言っていただなんて。僕とはもう関わりたくはないと思うのも、無理はない。それでも僕は、やはり彼女が好きだ。


 どうしても諦めきれないのだ。出来れば一番の被害者でもあるリリアーナと共に、もう二度とこのような悲しい事件が起こらない様に、2人で国を作り上げていきたいと思っている。


 僕の我が儘なのは分かっている。それでも僕にとって、リリアーナ以外との結婚は考えられない。リリアーナと結婚できないなら、僕はやはり廃嫡され、1人静かに暮らしたいのだ。


「殿下、マレステーノ公爵がいらっしゃいました」


「分かった、すぐに行くよ」


 急いで公爵の待つ部屋に向かうと、既に父上と公爵、さらに今回家宅捜索を行う為に集められた騎士団長たちも来ていた。


「おはようございます、皆さま。今日はよろしくお願いします」


 急遽参加する事になったのだ。改めて挨拶を行った。


「殿下も今日、参加されると先ほど陛下にお伺いしました。殿下が一番の被害者です。それでもちろん、資料には目を通していらっしゃいますよね?」


「もちろんです。マレステーノ公爵、本当にリリアーナの件、申し訳ございませんでした。資料を読んで、正直吐き気がしました。公爵令嬢が、これほどまでに酷い扱いを受けていただなんて。それを助長したのは、まぎれもない僕です。本当に何とお詫びを言ったらよいのか…」


「それを言うなら、娘がそこまで酷い扱いを受けていたことに気が付かなかった私も、同罪です…本当に娘にはどう償っていけば良いのかと、日々考えております。それから殿下、もう娘への謝罪は不要です。リリアーナからの伝言です。“殿下が今まで私に行った事を悔いている様ですが、過ぎた事ですし、何より魔法によって操られていたのですから、どうか気にしないで欲しい”との事です」


「そうですか、リリアーナは本当に優しい子ですね。僕の事を気にかけてくれているだなんて…」


 あれほどまでに酷い事をした僕に、その様な言葉を掛けてくれるだなんて。


「リリアーナも魔法のせいだという事は、理解しておりますので。それでも1年もの間、殿下にされた事を忘れる事は無理でしょう。きっと殿下の顔を見ると、辛かった日の事を思い出し、リリアーナは苦しみ続けます。ですのでどうか、もう娘の前には極力姿を現さないようにしてください。それが唯一、娘が望む事ですので」


 僕の顔を見ると、辛かった日の事を思い出すか…当たり前といえば当たり前だ。僕はそれだけ酷い事を、リリアーナにして来たのだから。


 でも僕は…


「公爵、その約束は守れません。僕はこのまま、リリアーナに嫌われたままいるのは嫌です。あわよくば、リリアーナにはこの国の王妃として、僕と共により良い国を作り上げて行って欲しい。彼女はそれが出来るだけの器があると思っているのです」


「な…あなた様はリリアーナがどれほど傷つき、苦しんでいたのか分かっているのですか?よくその様な事が言えますね!リリアーナには、他の令息と結婚させるつもりでおります。ですから、どうかリリアーナの事は、諦めて下さい!」


 珍しく顔を真っ赤にして、僕に抗議する公爵。彼の言う事はごもっともだ。でも僕は、リリアーナを諦めるつもりはない。傷つき苦しめてきた分、彼女を僕の手で幸せにしたい。


 たとえ僕の存在が、彼女を苦しめる事になったとしても…

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