未来
掲載日:2026/05/31
貴女は笑っている。おそらくは僕の愚行を見て、くつくつと笑う。
白い建物のバルコニーの椅子に座り、貴女は遠くを見ている。
その光景を見るのが好きだった。
ふとその光景に自分もはいれたら。
けれども現実はそうではなかった。
こんにちは、の一言が出ない。
それも女王のような人に対するときは当然か。
またある日、そこを通りがかる。
期待などしなかった。
けれども言わなくては永遠に言えない。
「あのう、どちらからお越しなんですか?」
その人は笑って言った。
「私は月から来たのよ。地球の大気は美味しいのね。」
それだけでよかった。
それだけでなんとか生きられる。
貴女と僕は確かに線と線で時に交わる。
『未来を見ていて』そう言いたいが我慢する。
未来には遺産がある。それも取り尽くせられないほどの。




