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植物マイスターが怪物と呼ばれるに至るまで  作者: 一味唐辛子
第一章 15歳の少年ウィルフリード
6/26

でかいチョウチョとラフレシア

「……着いた。」

今日は10時にネビロ達と待ち合わせの予定だ。

せっかくの休日なのだから、普段なら音楽漬けの1日にする所だが、たまには良いだろう。

「おーいウィルフ!こっちこっち!」

そこにはネビロ、アガリア、そして今の所ろくに会話の無いレティがいた。

「今日はチーム全員でお出かけなんだ?」

「お出かけぇ〜?そんな生ぬるいものじゃあないよウィルフ君?」

「これからウチらがするのは〜……」

2人は妙な感じだ。

「まぁ目的地に着けば分かるよ。ここから10分くらい歩くよ」


「ここは……冒険者ギルド?」

到着したのは王都の冒険者ギルドだった。

私が知るギルドより、いくらか大きく、随分と清潔な所だった。

「今からウチら4人でクエストを受けます!」

「いえーい!ウィルフクエスト経験ある?」

「まぁ、楽器買う為の小銭稼ぎで何回か」

とはいえ、基本的にはシアと一緒に下級の魔物を討伐する様なものだけで、パーティで挑むような、大きなクエストは受けたことがない。

「今日受ける仕事は〜、薬草集めです!」

……個人的には正直拍子抜けだった。

私の魔法による戦闘能力に期待していたのかと思っていたので、少しホッとした。

良く考えれば、植物のプロフェッショナルもどきが集まったこのパーティにはうってつけの依頼だ。

「早速受けにいこ!」


「はいはい、いつものね。おや、その子は新人さん?」

「そう!こう見えて実力は凄いんだぜ?中級魔物を一発で倒したんだ。」

「ほぅ、将来有望だねぇ。はい。4番のテレポーターね。」

冒険者ギルドには、現地まで移動魔法を使ってくれるテレポーターという機械がある。

ここのテレポーターは、私のいつも行くギルドと違って、最新の魔法が組み込まれたハイテクなやつだ。

「じゃあお願いします。」

「はーい、行先はいつものアルダ山脈ね。」

4人が乗ると、テレポーターが光だし、起動する。

シュンッ……


「……着いたよ〜」

……思っていたよりずっと山の深いところだった。

これはおそらく、かなりの数魔物が出るだろう。

「……クエストは薬草集めじゃないんですか。」

「!ふふふ、気づいたかい?ここはアルダ山脈の麓。山岳にしか居ない珍しい魔物が降りてくるんだ。」

「まぁでもそれはメインの目的じゃない。この辺は高く売れる薬草が沢山生えてるの。それをウチらの魔法でかさ増しするってワケ。」

なるほどと思った。

「なるほど、アガリアさんが成長魔法を使う。レティさんは植物鑑定で高く売れる薬草を見分ける。ネビロは……何するの?」

「俺はまぁ薬草の探知と戦闘役だけど。俺じゃ下級の魔物までしかどうにもならないからなぁ。」

「ネビロ戦闘出来るんだ」

「事前に準備しとけばね。」

「じゃあ早速作業に入ろう。ネビロ、あれやって。」

そう言われたネビロは、屈んでその辺の草に手をかざした。

「植物の精霊よ、私を薬草の元まで導け。」

そう言った直後、ネビロが触れた草が光だした。

「……あっちだって。」

「そんな感じなんだ。」

「ネビロは特に訓練に力入れてるから植物との対話が得意なんだ。他のみんなの中でも1番じゃないかな?」

「へぇ〜、意外とこのグループ優等生ばっかりなんですね。」

「照れちゃうなぁ〜」

ネビロに言われた方向に行くと、一際目立つ、白い斑点のある薬草と思わしき草があった。

「これかな。レティ、出番だよ。」

「はっ、はい……」

私は今日朝集まってからレティが一言も喋ってなかった事に気がついた。

「こ……これは「シロモンゼンマイ」です……100グラム銀貨10枚で売れます……」

銀貨10枚というと、だいたい一万円ぐらいの価値である。

「群生するので……この近くにたくさんあるかと……」

「ありがとねぇレティ。ほらウィルフ、ウチらの出番だよ。」

「ネビロは群生地を探してくれ。」

「了解」

シロモンゼンマイに手をかざす。

〈成長魔法〉!

薬草はにょきにょきと大きくなっていく。

「このサイズなら1本15グラムくらいにはなるね。」

1本15グラム、群生地を見つければ4人で分けても相当な稼ぎになる。

「こっちに6本くらい生えてるぞ!」

ネビロの方に駆け寄る。


「今どれくらい集まった?」

「大体500グラムくらい?」

レティの籠が重そうだ。

「あの……皆さん……こっち……」

「どうしたレティ?」

レティが指を指す方には、ラフレシアのような大きな花があった。

「これ……「マヨビラフレシア」です……」

「ほう、売れば高いかな?」

「売ると高い……けど……名前の通り魔物を呼びます……もしかしたら匂いにつられて……運んでる最中に森の魔物に襲われるかも……」

「……まぁ今日はウィルフもいるし大丈夫でしょ。」

「あんま期待しないでくださいよ。魔力操作が苦手なんで、あんま森の中で炎系の魔法使いたくないんですよ。」


「そろそろいいんじゃない?」

マヨビラフレシアを担いだネビロがそう言った。

「うん、これなら一人当たり金貨1枚と銀貨が何枚か貰えそうね。ネビロが担いでるソレの値段によってはもっとかも。」

「ほーん……って、うわぁぁぁ!!」

瞬間、ネビロの身体が何かに捕まれ空高く舞い上がった。

「なんだアイツ!」

「あれは「ニシキオオタカチョウ」!」

アガリアは巨大な蝶々のような魔物を指さしてそう言った。

「ニシキオオタカチョウ?!」

「下級の魔物だけど、あんな大きいの見たことない!」

「き、きっと……マヨビラフレシアにつられて……寄ってきたんですよ……」

「レティは隠れてて!」

私は魔法の構えをとる。

「ウィルフ!火炎魔法は使わないで!ネビロが巻き添えになっちゃう!」

「クソっ!じゃあ何の魔法で?!」

「えぇっ!ウチ魔法詳しくないよ!」

「なら〈風刃魔法〉なら?!」

「多分大丈夫なんじゃない?!」

「クッソやるしかない!ネビロ、当たりそうだったら身を翻してくれ!いくぞ!」


風一太刀(シルフブレイド)〉!!


風が舞い上がり一本の刃になる。

「うわっ!!」

その刃はニシキオオタカチョウの身体を一刀両断する。

「えっ!風刃魔法って風系の魔法?!」

「だめでしたか?!」

ニシキオオタカチョウの死体と共に落ちてくるネビロをキャッチする。

「ダメ……じゃ無いけど、アイツの鱗粉には精神を錯乱させる効果があるの……もしかしたらその効果をモロに食らったかも。」

ネビロを地面に下ろす。

「大丈夫か?ネビロ?」

「……じ。」

「じ?」

目の焦点が定まっていなさそうな様子のネビロに聞き返す。

「……クソ親父……」

「大丈夫か?俺はウィルフ、見えてるか?」

「……」

「……あの世で親族に詫びろ!!」

突如、ネビロは私に覆いかぶさってくる。

ガブッ!

ネビロが私の首元に齧り付く。

「うわぁッ!」

「ネビロ!!」

アガリアが咄嗟にネビロを引き剥がし、羽交い締めにする。

「大丈夫……大丈夫だから……」


「……落ち着いた?」

「……まだ頭がクソ痛い……でももう大丈夫なはず。」

「ホント大変だったよ……アンタウィルフに噛み付いてたよ?」

「いやまじで……ほんと迷惑かけた。ごめん。」

「別に気にしてない。早く帰ろう。また魔物が寄ってきたら困る。」


「おかえりなさい……大丈夫?泥だらけだけど。」

「換金を頼むよ……今日は疲れた。」

「えっと……シロモンゼンマイと、マヨビラフレシアと、ニシキオオタカチョウの鱗粉ね。金貨5枚と銀貨10枚ね。」

金貨は大体銀貨20枚分くらいの価値。

つまり今日の稼ぎは11万円くらいという事になる。

「金貨1枚ずつと、銀貨は2枚ずつ。ウィルフは竜車の運賃で残りの2枚あげる。」

「ありがとう。じゃあ残った金貨はどうします?」

「ジャンケン。」

2万円がかかったジャンケン。かなり燃える。

「じゃあ……ジャンケンぽん!」

「あっ……あっ……ご、ごめんなさい……」

勝ったのはレティ。

なんだろう、レティが金貨を獲得したはずなのに、凄く心苦しくなった。


「じゃあウィルフはまた明後日!」

「ばいばーい。」

今日は特別疲れた1日だった。

最近は疲れた1日が多い。


だが、楽しくないわけじゃない。

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