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植物マイスターが怪物と呼ばれるに至るまで  作者: 一味唐辛子
第一章 15歳の少年ウィルフリード
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日常の範疇の日

「僕はどうすべきだろうか」

私は親友、シアに尋ねる。

「そういうのはよぉ、お前で考えた方がきっと上手くいくぜ」

シアは晩御飯の、油っこいチキンナゲットのような料理を頬張りながらそう言った。

「つーかもう割と考えまとまってるんじゃねぇの?」

「今考えているのは、ここで暮らせる1年間は通って、その後住み込みでやっていくっていうのはどうかなって。」

私は先刻、ドストフさんから受けた提案(強制)について悩んでいた。

「別にいーんじゃねぇの?つか、その話受ける前提なんだな」

「断る権利があるか定かじゃないけど、あったとしても受けるつもりだよ。今の僕にとってこんなに魅力的な提案は無い。」

1年後には帰る場所もなくなる1文無しにとっては、働き口は必須だ。

「ふーん。まあ心変わりもあるよな。こっから先は全部自分で選択しなくちゃいけないんだ。俺にばっか頼ってんなよ〜?」

これはシアの言う通りではあった。

しかし、住み込みの難点は寮制である事だ。

シアとは生まれたばかりの頃からの友人で、転生してから長らく友達を作ったことが無かった。

そのせいで私の初対面の相手に対するコミニュケーション能力は著しく低くなっていた。

「まぁ、苦手な事は克服しなくちゃね」

まだ考える時間は丸1日ある、そう思いながら床に就いた。


朝起きると、いつもなら隣のベッドで寝てるシアがいない。

施設の他の友達に尋ねる。

「シアどこに行ったか知らない?」

「シアならさっき「この街一番の鍛治職人の所へ行く」って言って出て行ったよ。なんでも、弟子入りするんだとか。」

ほぉ、と思いつつ、その行動力には感心した。

一昨日スキルが判明したばかりなのに、少し行動を起こすのがお互いに早すぎる気がする。私は受動的だが。

「シアが居ないんなら、今日はアレをしようかな。」

そう言い、私は施設の共有倉庫を開いた。

「今日は……この子にしよう。」

倉庫の中からフルートを1本手に取り、私はスキップでとある場所へと向かった。


がやがやと、騒がしい音がする。

そこには、甲冑を纏った大男や、立派な杖を携えたウィッチ、さながら聖女のような格好をした者まで居た。

そう、ここは冒険者ギルド。

基本的にクエストの受け付けなんかをしてくれる場所取りだが、今日来た理由は違う。

ここの冒険者ギルドには無償で使える訓練施設がある。

何も無い日にはギルドに許可をとり、その空間で楽器を弾かせてもらっているのだ。

今日はそれだけでは無い。

明日から魔法の訓練に入るのだから、魔法に体を慣らしておきたい。

幸い、魔法は得意な方である。

出力を出しすぎる癖があるが、甘く見ても人並み以上に使える。

「よぉウィル坊!今日はフルートか?」

冒険者ギルドに通う中でできた、知り合いの魔法使いのおっちゃんだ。

こっちの施設に越してきてすぐに仲良くなったから、もう6年の付き合いにもなる。

「今日はそれだけじゃない。魔法の練習をしようと思ってね、今日からはちょっと真剣にやろうと思うんだ。」

「おお!それならおっちゃん教えられることあるで!」

「あぁ、演奏が一通り終わったら指導役をお願いしてもいいかな?」

「ガッテン承知や!ついにウィル坊が魔法に本腰を入れる気になったか!」

とりあえず椅子に座り、演奏を始める。


「さすがやなウィル坊!」

「まぁ物心つく前からやってるから。それで、魔法の指導をお願いしたいんだけど、頼める?」

「ウィル坊が俺になにか頼むなんてここに初めて来た時以来やな!」

魔法訓練場に移動する。

「とりあえず1発、なんでもいいから魔法撃ってみ。」

私は火炎魔法の構えをとる。

「〈火炎球(ファイアーボール)〉!!」

目の前を覆い尽くすほど大きい火炎の球が現れる。

「おい!魔力操作雑すぎやろ!そんなん数発撃ったらぶっ倒れるで!」

そんな事言われても出来ない事はすぐには出来るようにならない、これでも必死に抑えたつもりなのだ。

「てかこれ、どっかに当てるまで消えないんだよな」

「ちょっと待ってろ……〈消失魔法〉!」

バシュッ!!

……火炎球が一瞬にして消える。

「あー……これは結構訓練が必要そうやな……」

「……頑張る」


……4時間後

「まぁこんなもんやろ。あの出来からなら随分上手くなった方や。」

4時間も魔法を打ちっぱなしだと流石にヘトヘトになる。

ただでさえ出力に抑えが効かないのだから、当然普通の人間より疲れるのは早い。

「いや本当に感謝してる……おっちゃんも疲れたでしょ」

「いいってことよ!もうあんま声張り上げる力も残ってへんけどな!」

と、そんな会話をしていると

「おい魔法使いのおっさん!ちょっと来て!」

と、ギルドの方から呼ぶ声がした。


「なんや!」

呼ばれた方に行ってみると、そこには捕縛されたアルマジロのような魔物がいた。

「コイツさっき人里に降りてきた魔物なんだけど、皮膚が硬くて捕らえたは良いものの、トドメがさせないんだよ。」

「なるほどね〜、ウィル坊、何かいい案あるか?」

おっちゃんは高出力の攻撃魔法が得意ではない。

それに今は私の訓練で消失魔法を多様したせいで、残存魔力がほとんどない。

今なら私の方がまだ威力の高い魔法を使えるだろう。

「分かりました。殺せばいいんですよね?」

「おお、妙案でもあるんか?」

幸いまだ1発分くらいの魔力は残っている。

「えっと、こいつの口を僕の方に向けてくれませんか?」

「いいけど……こいつ口を硬く閉じてるぞ」

「大丈夫です。じゃあ……」

魔物の口に手のひらを当てる


火炎球(ファイアーボール)〉!!!


グチャッ!!

魔物の穴という穴から血肉が飛び散る。

「おっ!おまっ!アホぉ〜、、」

「ほら、こうすれば魔物の体内に魔法を撃ち込める。」

「こんなっ……掃除誰がすると思ってんねん……ギルドの人に迷惑やろがぁ……」

まぁ……それは申し訳ないが中級クラスの魔物だったし、殺せって他の条件言われなかったから……というのはいい訳だろう。

「ご、ごめん。僕も掃除手伝ってから帰るよ。」

「お前冷静に見えてそういう節あるでな」


「はぁ〜、今日は疲れたよ。最後のは自分で作った仕事だったけど。」

なんて呟きながら晩御飯のトマトスープのような料理を啜る。

食堂の入口からカツカツと足音がする。

「ウィルフ、お前も随分疲れてんな。」

そう言ってシアは私の向かいに座った。

「シア、君の方はどうだったんだ?」

「いやーもう大変!門下に入れてもらおうとおもったんだけど、門下生の人も師の人も全員気が強いのよ!こりゃ俺みたいな繊細ボーイには難しいかもねぇ」

「アホ言うな、職人志望なら決めた事はやり遂げろ。」

そう発破をかけて、私は飯を口に運ぶ。

「とりあえずメシとってこい。」


食べ終わった私達は自分の部屋に戻る。

明日は研究所にもう一度行ってどうするか伝える。

迎えの竜車が朝に来る予定なので、早めに床に就く。

「なぁウィルフ、俺上手くやって行けると思うか?」

「少なくとも僕よりは上手くやるだろ。もっとダメなやつに意見を仰ぐなよ。」


ドッドッドッド

ドラゴンが走ってくる音がする。

「来たかな、」

王都行きの竜車停の前で待つ。

竜車が到着した。


緊張を抑え、竜車に乗り込む。

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