不死-イモータル-に至るまで
-第1章-
私は15才という若さで死んだ。
私は若くしてギターやドラム、果ては学校の鍵盤ハーモニカに到るまで、多彩な音楽の才を持っていた。
そんな概ね順風満帆だった人生にも、突如として終わりが来た。
交通事故。その最期は呆気なく、突っ込んでくるトラックの映像を最後にこの人生も幕を降ろした。
……かに思えた
私は例によって転生した
気がつけば赤子になっており、知らない天井。
私も日本人であった以上、そういう文化に疎かった訳ではなかったので、生まれてからの数年で「異世界」というものにも慣れた。
ドラゴンやスライム、ゴブリン等々私が転生してからすでに「15年」経った今では見慣れた日常の光景となった。
そう、15年。
私の生前と同じ年齢だ。
……前置きはこのくらいにしよう、これは15才(実質30歳)の少年による異世界譚である。
「楽しみだなぁ〜」
私の横を歩く、短い金髪がよく似合った少年、シアはそう言って頭の後ろで手を組む
私は尋ねた。
「不安じゃないのかい?」
不安じゃないはずが無い、何せこれから人生を大きくどころか完全に左右する事を確かめに行くのだから。
「だってよぉ!これで当たりスキル引けたらスーパーヒーローにだってなれるんだぜ?」
「シア、君は幼稚すぎるよ。何がスーパーヒーローだ、僕たちも将来を見据えなきゃいけない年頃だぞ」
呆れたように答える。
シアは不安を紛らわす為か分からないが、随分上機嫌で私に話しかけてくる。
「でもよウィルフ、冒険者になって大成すればありえねぇ話じゃない!なぁ、俺が当たりスキル引けたらファンファーレでも吹いてくれよ!まさか金管楽器だけ苦手って訳でもねぇだろ?」
「お前楽器舐めすぎだぞ、金管楽器は初めてじゃ音も出ないくらい難しいジャンルなんだよ」
足取りは徐々に早くなる。
「ウィルフはやっぱり音楽系のスキルか?吟遊詩人になりたいってこの前言ってたろ」
「僕の場合はスキルが無くてもなるつもりだけどね」
……まぁ実の所、私もソレに希望を見出していた。
逸る心を抑えながら歩く。
遠くにヨーロッパによくある石製の大きな建築物が見えてきた。
「先生、それで……結果の方は?」
道中の明るさとは裏腹にシアは恐る恐る尋ねる。
目の前に現れた医者のような格好の男は、スキル鑑定の結果を伝えるメッセンジャーだ。
「えっと……君のスキルは『魔道具技師』だね」
メッセンジャーはそう告げた。
「あー…うん…まぁ〜……」
シアは何か喋ろうとするが、言葉に詰まる。
「パッとしない!!とでも言いたげだな」
私は初め、慰めようと思ったが、適切でないと判断した。
「まぁ希少なスキルではあるし、悪くはない。将来的には鍛治技能も覚えられるし、お前のその鍛えた筋肉が無駄にならずに済んで良かったと思うんだな。」
そんな事を言いつつ、私は内心ホッとしていた。
物に魔法を篭めることが出来るのは魔道具技師スキルだけだ、少なくとも職に困ることは無い。
土地を買い、店を構え、仕事に従事するだけで基礎の肉体が出来上がっているシアはしばらくは安泰という事になる。
「まぁ……戦闘系じゃないけど、これはこれで悪くないかもな」
「ほら!次はウィルフの番だぞ!撃沈しろ!」
シアは気まずい空気を誤魔化すかように発破をかける。
「おぉ……先生、お願いします。」
「ええ、ウィルフリードさんだったね、ええとあなたのスキルは……」
私達は息を飲む
「『植物マイスター』だね」
場の空気が凍りつく。
……悪くはない
決してハズレスキルという訳では無い。
だが、俺にとってだけは、別の意味を持つ。
「……最悪だ」
事の経緯は6年前まで暮らしていたとある孤児院だった。
そこで出会ったある種、宿敵とも言える男と同じスキルなのだ。
気まずい空気が流れる。
静寂を破ったのはメッセンジャーだった。
「そんなに嫌だったかね?」
なおも、私とシアはしばらく喋れないでいた。
「こんな偶然……あるかよ……」
私は絶望にも似た感情を覚えた。
生前にもここまで深い感情に陥ったことは無かった。
「……帰ろうシア」
そう言って私は席を立ち、能力の詳細が書かれた書類を持ち、その建物を出ようとする。
すると、メッセンジャーから引き止められた。
「待ちなさいウィルフ君、風の噂によれば『植物マイスター』のスキルは数年前に国が総動員して探していたという話を聞いた。もしかしたら近いうちに招集がかかるかもしれない。そうすれば国の元で働ける。あまり絶望するなよ。」
安い慰めだ、その時はそう思った。
そう、翌日の朝、その話が本当だと知るまでは
作者、一味唐辛子です
初投稿ですよろしくお願いします
もしかしたら長編になるかもしれません




