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攻略法を見つけたのにやっぱり好感度は下がらない!?

 


「あ、今またレイ様の好感度が上がりました。これで十段階の内、九ですね」


「何でやねーんっ!!」


「ぐはっ! 姉様、何を!?」


 思わず、レイの頬を平手打ちしてしまう。


 突然の事に驚くレイ。

 そりゃそうだ。

 私でも、何が起きたんだ、と戸惑うだろう。


「あ、姫様。レイ様の好感度が、一つ下がりました」


「なんだと!?」


 まさかの攻略法を見つけてしまった。

 確かに平手打ちされて、良い気分にはならないだろうけど!


 凄く悩んで悩んで、こうもあっさりと好感度を下げられるとは!


「レイ、ちょっと痛いけど我慢して頂戴ね?」


「ね、姉様……?」


 頬をさすりながら怯えるレイには申し訳ないけれど、なるべく痛く無いように平手打ちする。


「えい、やぁっ、とりゃっ!」


「うわっ、ぐはっ、ぐへっ!?」


 交互の頬に、痛くならないように。


「そりゃっ、ていっ、ほやっ!」


「いたっ、姉様、いたいっ!」


 結局、頬が赤くなってきてしまったので、ここらでやめる事にする。


 私は、ライラの方を向いて訊ねた。


「ライラ、どうよ!?」


「姫様、やりました! 今ので好感度は五に下がってます!!」


「よっしゃぁあっ!」


「何が!?」


 ガッツポーズをする私。

 そして、そんな奇怪な姉の行動に驚き、レイは叫んだ。


「レイ、ごめんなさいね。痛くして。でももう大丈夫。色々と終わったから」


「姉様の情緒が怖いです!」


 恐怖を感じているレイはさておき、当面の心配はしなくて良いだろう。

 どんどん好感度が上がらないように、これからはレイと適切な距離を保てば、MAXまではいかないはず。


 となると、次の問題は。


「貴方ね、ラムド様」


「え、僕も平手打ちされるの?」


 レイ同様に、戸惑うラムド様。

 当然の疑問である。


 彼の綺麗な頬に平手打ちするのは、私も苦しい。


 けれど、ここは心を鬼にして。


「ラムド様、失礼します。えいっ!」


「おおっ」


 レイより遠慮がちに、優しく平手打ちする。

 いきなりこんな事をされて、ドン引きするか怒ってもおかしくないのだが、ラムド様の反応はそのどちらでも無かった。


「ステラ姫の最近の遊びかい?」


 全く気にしていない様子だ。

 しかも、何故か笑っているし……。


 何故そこで笑う。


「ライラ、ラムド様の好感度は?」


 ライラの方を向いて、小声で聞いてみる。


「変わりませんね、十のままです」


「やっぱりか……ラムド様、私に対して怒りとか無いんですか」


「怒りなんて無いよ。君のやる事全てに意味があると思ってるし、次は何をしてくれるのか僕はとても興味があるんだ」


「どんだけ寛容なの……」


 完全にお手上げ状態だ。

 ラムド様の好感度を下げるなんて、絶対に無理なんじゃない?


「はぁ……ますますノーマルエンドが遠のくわ」


「仕方ありませんね、私が助け船を出してあげましょう」


「要らないわよ。ライラの助け船なんて、期待してないわ。どうせ、ろくでもない提案でしょ」


「失敬な。私だって、一応ゲーム進行役であり、姫様をサポートする執事でもあるんですから。貴女様の不利になる事は致しません」


「どうだか……」


「まぁお任せ下さい!」


 信用していないと言ってるのに、気にもしていない様子のライラ。

 なんとも良い性格をしているなぁと思う。


「先程、イベントで好感度を下げる方法の話をしましたよね?」


「……あぁ、なんか相手が嫌がるセリフを言うと下がるってやつ?」


「そうです。今、レイ様の登場によりラムド様と三角関係イベントが起きる条件が整ってるんですよ。これは、攻略対象者であればどなたとでも、何回でも起きるイベントなので覚えておいてください」


「分かったわ。で、具体的にはどうしたら良いの?」


「まず、好感度を下げたいと思う人と違う人の方に寄り添います。この場合、ラムド様の好感度を下げる為に、彼の前でレイ様と過ごしたいアピールをして下さい。当然、ラムド様は嫉妬して自分じゃダメなのか? と思いますよね。そこで、姫様は言うのです!」


 ライラが、ビシッと人差しを天に示した。


「私は、レイの方が好き、と」


「その場合、レイの好感度が上がるじゃない」


「上がったら、すかさず先程やった感じでビンタをして好感度を下げましょう」


「めっちゃやばい女じゃん、私!」


「けど、それしか方法がありませんから」


 ほんまかいな、と思わず疑ってしまうが仕方がない。

 他のやり方なんて思いつかないので、今はライラの作戦に乗るしかないのである。


「えーっと、まずはレイと過ごしたいアピール、ね」


 私は、チラッと横目でラムド様を見ながら、レイの方に寄っていく。


「ねぇ、レイ。お姉ちゃんと、今からデートに行かない?」


「えっ、姉様と!? 良いの!?」


 レイの顔がニヤけていく。

 相変わらず、素直で可愛いなぁ、弟よ。


「良いわよ。私、ラムド様とデートしたくなかったし、退屈してたの。行きましょう」


 と、レイに腕組みしてみる。


 ここまでアピールすれば、さすがにラムド様も傷付くはず。


「退屈って、僕じゃダメだったのかい?」


 キター!

 待ってました、そのセリフ!


 ここで私がそうだ、と肯定すればラムド様の好感度は下がるわけね。


「えぇ、ラムド様じゃダメです。私は、レイと一緒が良いのですから」


「姉様……いたっ!?」


 レイの好感度が上がった気がしたので、すかさず弟の頬にビンタしておく。


「分かったよ……」


 ラムド様は、しょんぼりして言う。

 これはさすがに、好感度が下がっただろう。


「じゃあ僕は、ライラとデートしてくるね」


「ん?」


「んん!?」


 私もライラも、呆気に取られた瞬間であった。


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「今のビンタで十に上がりました!」 レイ君には変態エリートの道は厳しいか。
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