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ep. 35 : エラ、出発

ドワーフ族が移住を決定した夜遅く…エラがすべてのエルフを店の前に集合させた。


「おい!野郎ども!!全員揃ったか!!!?」


「「はい!姐さん!!!」」


エラの前に集まった17人のエルフたちが力強く返事をした。


「よし!じゃあ早速本題に入るぞ!モレノ山脈のドワーフの村がペンリルのせいで廃墟になったそうだ!それで話し合った結果、俺がペンリルとドワーフたちをこの森に連れてくることにした!」


「姐さんが直接ですか?」


エラの言葉にモヒカンが少し驚いた様子で問い返した。


「ああ。俺が一番早いから、俺が行って早く解決してくる。」


「ですが姐さんは俺たちの親分じゃないですか。他の者を送り出して、姐さんはここを守っていただいたほうが…」


「いや。これはお前らがやるべきことじゃない。俺が直接行く必要がある…俺たちの役割は扉を守ることで、モレノ山脈の魔物をどうこうすることじゃないだろう。俺の気が済まないから行くだけだ。お前らはここで扉をしっかり守ってろ。」


「はい…姐さんのご意向がそうなら、承知しました。」


「それからお前が副親分だから、俺がいない間はお前が代わりに皆をまとめろ!」


「承知しました!僕では姐さんの代わりにはなれませんが、姐さんのいない穴をできるだけ埋められるよう努めます!」


「よし!じゃあ俺はすぐに出発する!2〜3日くらいかかりそうだから、その間、みんなモヒカンの言うことをちゃんと聞いておけ!」


「「はい!姐さん!いってらっしゃいませ!」」


「ちょっ…ちょっと待って!今すぐ出発するのか?!」


「うん」


腕時計で時間を確認した。


もう夜の11時を少し過ぎた時間だ。


「今行ってもあまり進めないだろうし、ここで寝て朝に出発した方がいいんじゃない?」


「寝ないで走るから大丈夫。」


「エラ様、わざわざそんなことをしなくても大丈夫です。」


「エラ様、そんなに急がなくても大丈夫です。」


「その通りです!エラ様、明日行っても問題ありません!」


エラが寝ずに走り続けると言うと、驚いたドワーフたちが次々に声をかけ、エラを止めようとした。


「うるさいな!数日寝なくても死なない!行くから、止めるな!」


8人のドワーフたちがそれぞれ言うと、少しイラついたようなエラはすぐに走り出して森を抜けた。


「…わからん、大丈夫だろう。」


心配ではあったが、エラがものすごい速度で一瞬にして視界から消えたので、どうすることもできなかった。


「私たちは数日寝なくても耐えられますので、あまり心配しないでください。特にエラ様はもっと心配する必要はありません。」


横にいたモヒカンが真剣な表情で言った。


「…お前、なんでそんな顔してる?」


「これから私が一団を引っ張っていかなければならないんですよ。責任感の顔です。」


「責任感…そうだよな?」


「はい。」


「…そうか」


正直なところ、責任感というよりは、誰かを殺してしまいそうな表情だ。


「まあ…それなら僕も帰るか」


「兄貴も帰られるんですか?」


「うん、時間も遅くなったし、もう帰らなきゃな…でもドワーフたちは寝る場所があるのか?」


今までドワーフたちは小屋を作って生活していたが、工事が終わった今でもそこに残っているかは疑問だ。


「はい、私たちの村に作った小屋はそのまま残っています。」


「それなら大丈夫だな…じゃあ、僕は行くから、お前らも気をつけて帰れ」


「はい、兄貴も気をつけてお帰りください!」


「うん」


僕は扉を開けて中に入ればすぐにリビングがあるので、気をつけることなんてない。


「…あの、広志」


モヒカンと挨拶をした後、家に帰ろうとしたところでアドソンさんが僕を呼び止めた。


「うん?アドソンさん、どうしたんだ?」


「一つお願いがあるんだが…」


「お願い?」


「今日一晩だけでもドワーフたちをここで寝かせてもらえないか?小屋はあるんだが、今日はどうしてもここで寝たいんだ。」


ドワーフたちが突然、店で寝たいと言ってきた。


「いいけど…なんで?」


「すでに日が暮れて遅くなってるから、僕たちのペースでそこまで行くのがあまりにも時間がかかると思ってな。」


考えもしなかった。


ドワーフたちは遅いので、今出発しても朝にならないと到着しないだろう。


「じゃあ……」


「アドソン!心配するな!俺たちが村まで運んでやる!」


ドワーフたちに店で寝てもいいと言おうとしたその時、横でドワーフたちとの会話を聞いていたモヒカンが、ドワーフたちを運んでやると言って割り込んできた。


「え…え?いや、大丈夫だな!」


「遠慮するな!お前らのペースじゃ朝になるだろうから、俺たちが運んでやる!みんな、ドワーフを一人ずつ運べ!」


「「はい、兄貴!」」


モヒカンが集まったエルフたちに命令を出すと、エルフたちはドワーフたちに近づき始めた。


「いや!大丈夫だって!来ないで!!!広志、頼むから!!!」


アドソンさんは焦った様子だ。


おそらく、エルフたちがドワーフを運んだら、途中で気絶して明日の朝に目を覚ますことになるだろう。


「…じゃあ、今日はここで寝ろ」


「ありがとう!!!広志!!!」


恐怖で歪むドワーフたちの表情を見て、すぐに許可を出した。


アドソンさんは泣きそうだ。


(でも8人だから…大丈夫だろうか?)


この店でエルフは5人が限界だったが、ドワーフたちは小さいので、8人は十分に一緒に寝られるだろう。


[ぐう~]


お腹が鳴った。


そういえば、ドワーフの村が襲われたという話で夕食を食べていなかった。


「…ドワーフたちも夕食を食べてないんじゃないか?今から作って持って行こうか?」


襲撃の知らせで夕食を食べられなかったのは僕だけでなく、ドワーフたちも同じだった。


「いや…大丈夫だ、あまり食欲がない」


確かに、みんな無事だとは言ってもドワーフの村が襲撃されたとなると、食欲が湧かないのも無理はない。


「そうか…もしお腹が空いたら店にある食べ物を何でも食べていいよ、金は取らないから」


「分かった…ありがとう」


「じゃあ、僕は本当に帰るから、ちゃんと寝て、寝るときはドアをしっかり閉めて寝ろ。エルフたちも気をつけて帰れよ!」


「「はい、兄貴!」」


ドワーフとエルフたちに別れを告げた後、扉を通ってそのまま家に帰った。

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