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ep. 34 : ドワーフ族の決定

「何て書いてあるの?賛成って?」


「反対だそうだ…」


「…あぁ」


即興で提案した移住だけど、この森を発展させるにはドワーフたちほど適した者はいないと思っていただけに、すごく残念だ。


「ほぼ半々に分かれたけど、反対派の方が少し勝っているみたいだ。」


「…理由が分かるかな?」


「この場所に対する確信がないみたいだ。これまで僕たちが住んでいた場所は少し過酷で魔物の危険もあったけど、僕たちがよく知っている場所だからある程度の準備はできていた。でも、この場所については僕が言った良い森だということを除いて、情報がないから。」


「まぁ…そうだとしたら仕方ないか…」


ある意味、当然の結果だ。


単に引っ越すという概念ではなく、種族全体が長年守ってきた生活の場所を捨ててここに来るのだ。


ここに来たこともないのに、来るかどうか一言で言われて簡単に来れるわけがない。


「…アドソン」


僕とアドソンさんの会話を聞いていたエラが何かがあるように少し暗い表情でアドソンさんを呼んだ。


「はい、エラ様。何かご用でしょうか?」


「もしかして、この森がエルフによって守られていることも言った?」


「いいえ…こちらをエルフの方々が守っているんですか?」


アドソンさんは知らなかった様子だ。


「え?何だ…アドソンさん、知らなかったの?」


「全然知らなかった…これを言ったら結果が変わるかもしれない…」


「そして、ここに住むことになれば、森の住人としてエルフの保護を受けられるんだよ。」


「な…何だって?!エラ様!それが本当ですか?」


僕の言葉に、アドソンさんは目を大きく見開き、エラに尋ねた。


「え…そうだけど…ここを守るついでに一緒に守るって程度だから、あまり期待しないで。」


エルフがここに住むことに合意した際、住民も一緒に守ることになっていた。


実は、僕はエルフを護衛のように使おうと口にしたが、怒ったエラを見て必死に言い訳をして得た結果だった。


「エルフの方々が守ってくれる場所に住めるなんて…これだけでみんな移住に賛成するだろう、また念話を送ってみる!」


アドソンさんはすぐにドワーフたちに連絡を取るために席を立った。


「…広志」


アドソンさんが去った後、エラが依然として少し暗い表情で僕を呼んだ。


「どうした?」


「ドワーフたちもここに移住しそうだけど、移住を受けるついでに、もう一つ受け取ってもいいか?」


「誰かまた移住するエルフがいるのか?」


「エルフではないけど…」


エラらしくなく、僕の顔色をうかがいながら躊躇している。


「…何だ?君がそんな風にするから、逆に怖くなってきた。むしろ悪口を言ってよ。」


「フェンリル…」


「何…?」


「フェンリルも一緒に移住させてもいいかなって…」


「…急に何言ってんだ?」


「フェンリルがドワーフの村を襲ったけど、飯さえちゃんと与えればいい子なんだよ…俺が処理すると言ったけど、長い間一緒に過ごしてきたから、ちょっと躊躇するね…」


「…フェンリルにどれくらいの間、食料をあげてたの?」


「100年ちょっとだな…」


普通の人間の寿命より長い年月だ。


「それなら、もう君たちが育てたようなもんじゃないか」


「…そうか?そう考えるとそうかもしれないな」


「じゃあ最初からここに連れてこいよ…」


「正直、俺の頭の中でのフェンリルはただの魔物で、モレノ山脈に安定をもたらすために食料をあげていたんだ。俺たちが育てているなんて思ったこともなかった。でも、いざ殺そうと思ったら、ちょっと心が痛むな…」


エラの表情を見ると、自分でも知らないうちにフェンリルとかなり情が湧いていたようだ。


「…それでもドワーフの村を壊した魔物を受け入れるのは危険じゃないか?君たちも扉を守る立場で、そんな危険なものを受け入れても大丈夫なのか?」


「心配しないで。フェンリルが強いとはいえ、俺たちには大したことないし、飯さえちゃんと与えればちゃんと従うから…ちゃんと管理するよ。」


「うーん…いいけど、ドワーフたちの許可を得ないとダメ。ドワーフたちからすると、自分たちの村を壊した魔物と一緒に住むことに不安があるかもしれないから、ドワーフたちが許可しなければダメだ。」


「広志!念話が届いた!!!」


ちょうどドワーフの代表、アドソンさんが僕たちの方に近づいてきた。


「どうだ?今度は賛成か?」


「満場一致で賛成だそうだ!」


「そうか…賛成してもらったのに突然こんなことを言うのは少し悪いけど…」


「…何だ?まさか今になって移住を許可しないってことはないだろう?」


「いや…そんなことはないんだが、ドワーフたちに許可をもらいたいことがあってね。」


「許可?僕たちに?」


「モレノ山脈のフェンリルをここに連れてこようと思うんだけど、どうかな?」


「フェンリルを…?あの獰猛な魔物をなぜ…?」


「今までエルフたちがうまく管理してきたから、殺さずにエルフたちが育てればどうかなと思って。もちろん、ドワーフたちが嫌だと言うなら連れてこないよ。」


「そうか…まあ、エルフの皆さんが管理すると言うなら問題ないね!」


「本当に?ドワーフの村を壊した魔物だよ?他のドワーフたちとも念話で相談した方がいいんじゃないか?」


「いや、その必要はない。フェンリルが100頭いても、エルフの保護を受けられるなら大したことないから。エルフの皆さんが育てると言うなら、問題ない!」


「聞いた?アドソンさんが許可したから、フェンリルも一緒に連れてきて。」


「よし!ありがとう、アドソン!!!」


「いえ、エラ様、エルフの保護の下で生きられるなんて、むしろ私たちの方が感謝しています。それに、広志もこんな良い森に移住を提案してくれて、本当に感謝する。」


こうして封印された森にドワーフ族の移住が決まった。

読んでいただきありがとうございます。

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