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ep. 24 : 普通の商人ランディ

「…もしかしてエルフ族の女王エラ様ですか?」


アルデンの反応を見守っていたランディさんは、急いで馬車から降りながら言った。


(え…? ランディさんがどうしてエラを知っているんだ…?)


「お〜、俺のことを知ってるってことは、普通の人間じゃないんだな。」


「いえ、私はただの普通の商人ランディです。」


「うん…、そういうことにしよう。」


「…ありがとうございます。」


(ランディさんには、僕が知らない隠された何かがあるのか…?)


言わなかったが、すでにエラを知っていたということ…そしてただ流すことにしたエラの言葉に感謝までしているのを見ると、ランディさんには何かがあることは確かだと思った。


「ランディって言ったか?ここに頻繁に来るって聞いたけど?」


「はい、そうです。ここで物を仕入れて売っています。」


「俺たちがこの森に住むようになったことは知っているか?」


「はい…エルフたちが住むようになるとは聞きましたが、エラ様もいらっしゃるとは思いませんでした…」


「そうか、知ったからにはこれからどうするつもりだ?噂でも立てるか?」


「いいえ!絶対にそうはしません。もし不便だとおっしゃるのであれば、私も二度とここには来ません。」


それは困る。


最近はエルフたちも多く買ってくれるが、やはり最大の収入源はランディさんだ。


断りたいと思ったが、二人の会話に割り込む雰囲気ではなかったので、エラにダメだという目線を送った。


僕の目線を見たエラは、理解しているように目を返し、会話を続けた。


「いや、そう言わずに、少し噂を広めてほしいんだけど、ここの商売があまりにも悪くて、俺まで心配になるくらいなの。」


「え…そうですか?噂はすでにたくさん流しているんですが、人々が…」


「そうか?じゃあ仕方ないな…それなら噂を広めるついでに、二つほどもっと広めてほしいんだけど。」


「はい?どんな噂を言っているんですか?」


「一つ目の噂は、モレノ山脈のエルフたちが全員封印された森に移住したということ。二つ目は、封印された森に移住したエルフたちがこれまで探していたものを見つけ、理由もなく暴れ回るのをやめて、おとなしくなったということだ。」


(…エルフがここにいると噂になったら、客がもっと来なくなるんじゃない?)


再び不安そうな目線を送ると、エラは大丈夫だという目線を返してきた。


「はい、わかりました。おっしゃるとおり噂を広めます。」


「ありがと〜、もう行ってもいい〜」


ランディさんはその言葉を聞いて、エラに丁寧に挨拶した後、馬車に乗って去って行った。


「姐さん、僕たち到着しました!」


ランディさんが馬車を離れたとたん、エラを追っていたエルフたちがドワーフたちを運んできて、モヒカンが代表してエラに報告した。


エルフたちの手に持たれているドワーフたちは予想通り、全員気絶していた。


今度はアドソンさんも耐えられなかったようだ。


「お疲れ、ドワーフたちが目を覚ますまで、みんな休んでいて。」


「「はい!姐さん!」」


エルフたちはそれぞれ散らばって休み始めた。


その間、僕はエラにさっきのことについて尋ねた。


「ねえ、さっきのこと本当に大丈夫なの?」


「噂?」


「うん…エルフがここにいると言ったら、客がもっと来なくなると思うんだけど…」


「エルフがここにいるから、変な噂が出ないように事前に噂を広めておかないと。」


「…変な噂?」


「俺たちがここに住むことになったのに、君たちの店に来る客と顔を合わせることがないと思ってるのか?いや、俺たちの中の誰かは必ず門を守っているから、好きでも嫌でも必ず会うことになるよ。」


「まあ…そういうことになるだろうね。」


「それなら、ここで俺たちを見た客が噂を広めるだろう…封印された森の店にはエルフがいると。そして、その噂は次第に発展して、最終的には封印された森に行くとエルフに殺されるという形に変わるだろう。」


「…もっともな話だね。」


そんなふうに噂が広がることは、僕たちの世界でもよくあることだ。


「だから、俺たちは前もって噂を広めておく必要がある。封印された森にはエルフがいるが、そのエルフたちはこれまで探していたものを見つけて、おとなしくなったので、もはや危険ではないとね。封印された森でエルフが人を殺すというような噂が広がった後に変えようとしても遅いから。」


「お前…思ったより頭が良いな!正直、力だけが強い感じで知能は期待してなかったけど…」


「死にたいのか?調子に乗るね。」


「いや…力も強いし、頭もいいんだなと感心したという意味だ。」


「まあ、3,000年以上生きてきたから、これくらいは大したことない…他に言いたいことある?」


「もうない。」


「じゃあ、俺は中に入るね〜」


そう言って、エラは店の中に入って行った。


エラが店に入るのを見ていると、ちょうど近くに立っていたアルデンの姿が目に入った。


「アルデン!さっきお前が言ってた話、本当に印象深かったよ。」


「え?何の話ですか?」


「エルフに関する噂が悪い理由とか、エルフがこう攻撃的にならざるを得ない理由の話だよ。」


「ああ!その話ですか?ただ思いついたことを適当に言っただけなんですけど、うまくいって良かったです。」


「え…?それってどういう意味?」


「そのままの意味です。あれはただ適当に言ったことです。」


「…エルフを利用しようとする人間がいたから、人間を敵視していた時代があって、3,000年生きてきたからその長い年月の悪い噂が溜まったっていう、あの話が全部適当に思いついたことだって?」


「はい。正直、人間は最初から強く押さえつけておいたので、俺たちを利用しようなんて無茶な考えを持つ人間はほとんどいませんでしたし。ランディが言った噂も比較的最近の話なので、特に言うことがなかったんですよ。だから全部認めようかと思ったんですけど、兄貴の数少ないお客さんでもありますし、これからもここに来るたびに顔を合わせるでしょうから、俺たちを怖がらせてはいけないと思って、適当に思いついたことを言ったんです。うまくいって良かったです!」


…今日、僕の中のエルフランキングに変動が起きた。


エルフ族の口八丁のトップは、これからエラではなくアルデンだ。

読んでいただきありがとうございます。

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